見出し画像

【読書レビュー⑤】「イヌは何故愛してくれるのか」

こんばんは。PisMaです。

このレビューも早いもので第5回目。
こちらの本は7章までなので、あと2回でこのレビューも終わりになるかと思います。


今回も第5章「起源」で気になったところをまとめていこうと思います。だんだん長くなっていますので、目が疲れていない時にどうぞ。

イヌの愛情は何を意味するのか。
前回では生物学の力を借りましたが、次は考古学の目線から古代の文献をもとにイヌの愛を深掘りしていきます。

古い文献の中でも最も熱烈な文献は、2000年前の古代ギリシャの哲学者アッリアノス。
ローマ皇帝に目をかけられて兵から帝国議会議員になるようなすごい人でしたが、回想録には自身の愛犬ホルメへの愛を綴っています。

2000年前から愛犬家が居たと思うと微笑ましいような、人類は何も変わらないような感覚がありますね。

また「イヌにまつわる最も古い文献」は4000年以上前の古代エジプトの墓碑。
そこの文章では「王の護衛だったアブウティユウには王家秘蔵の棺、上質な亜麻布、香を与えられた。」とあります。
この待遇だけでかなり上等な扱いを受けていたのだろうというのが伺えます。

また他の動物との判別が難しいとされているイヌの骨の中でも、「現存する最古のイヌの遺骸」は14223年前(縄文時代の中盤あたり)の生後7ヶ月の子犬の骨。
子犬の骨を調べたところ、この犬は病気を患っておりヒトの看病がなければ7ヶ月も生きられなかったのでは?と考察されています。
根拠が甘いとの指摘もあり、確定はできないようですがこれが本当ならばヒトとイヌは14000年前から絆を結んでいた証拠となるのでしょう。

文字が確立された時代では、イヌたちはもう既に私たちの知るイヌになっていた可能性が高そうです。

では原初のイヌはどこからやってきたのか。

ポピュラーな説では「狩りの助手にするために人懐こいオオカミの子を飼い始めた」という説。しかしこれは以下のような理由から否定されていきます。

・そもそもオオカミは強いからヒトの手を借りなくても狩りができる
・オオカミは獲物を分かち合うような事を許さず、別種族の生物と協力しない
・シンプルに危険すぎる

狩りの助手にするどころか、オオカミを選んで繁殖させることは当時の人類には不可能。ではどのようにしてイヌに近いオオカミが出現してきたのか。

イヌ学界でのレジェンド、コッピンジャー夫妻は「人類が定住した場所に出来るゴミを漁る為に近づいてきた一部のオオカミたち」なのではないか、としています。

ヒトの作る独特の象徴「ゴミ」には様々な動物が近寄ってきます。ヒトには無用でも、他の動物たちからしたら食糧や住処の材料になる。
なるほど、と目から鱗が落ちる思いでした。ヒトから逃げないオオカミであればあるほど、ずっと多くのものを手に入れることができる。
そんな流れから、徐々にヒトに近いオオカミという存在が生まれつつあったのかもしれません。

しかし、このヒトに近いオオカミたちも最初からヒトを愛した訳ではなかったでしょう。
イヌがヒトへの高い耐性を獲得するに至ったのは「狩り」が始まってからの時期が一番有力視されています。

温暖化する不安定な環境の中で、狩りを成功させる。そのためには、森の中を駆け回り獲物を追いかけたのち見つけ出す技術が必要でした。

ヒトが狩りをする上で喉から手が出るほど欲しかった要素。それを持っていたのがイヌだったのではないか。
そこから協力関係が生まれ始めたのではと考察されているようです。

それでは狩りを共にするようになったイヌは長い進化の末、ヒトの相棒となったのか?

しかし、これは比較的短時間でイヌが登場したのではないかという他の科学的根拠が存在します。

それはあるキツネの実験でした。

ソヴィエトで行われた実験は、人懐こい狐を選び次世代の子を作る。それを何世代も続けていくというシンプルかつ長期的な実験です。

研究開始から3年目にて既に穏やかなキツネが増えていき、ヒトが近づいてくるのを見て尻尾を振ったキツネはわずか第四世代目の子。選択する行為にはほんの数世代で動物を変える力があると証明した実験でした。
この世代のキツネたちはヒトに抱かれることを好み、自らヒトの腕に飛び込んできて鳴き声をあげて喜ぶそうです。可愛すぎます。

もしかしたら、最初のイヌもヒトの側に寄ってきてからほんの少しの間で友達になっていたのかもしれません。

たくさん削ってもどうしても文章がこれだけ長くなってしまいます。もう少し短く書けるようにしたいですね。

夜も遅いので、本日はこのあたりで。

お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
何万年もの前の子犬に思いを馳せて。

おやすみなさい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?