見出し画像

【読書レビュー①】尾八原ジュージ「庭」

こんばんは。PisMaです。

今回は小説投稿サイト「カクヨム」で連載されているホラー小説「庭」を読みました。


「庭」の著者は「みんなこわい話がだいすき」も執筆している尾八原ジュージ様。全編75話。

1話から19話まで読みましたので、ここまでの感想を書いていきたいと思います。


まずはあらすじをざっくり紹介。

物語は夫婦の孝太郎と桃子が、新しい住居に引っ越してきたところから始まります。孝太郎はお坊ちゃんとして育った背景が感じられるものの、両親や兄弟と仲が悪い様子。桃子が自分たちには無相応だと思うくらい大きな家は、孝太郎の両親がメンツを保つために立派な家を建てたのだとか。立派だけど土地代は安く抑えたい、との理由で事故物件を購入していたようでした。

新居の建った土地は過去に何人か亡くなっているとの情報のある、いわゆる曰く付きの土地でした。火事、自然死など縁起でもない死因が並びます。

そしてなんといっても一番奇妙なのは、母屋から少しはなれた敷地内にある離れ。
「絶対に中に入るな」と立ち入りも禁じられたその離れは、ひと家族が住めそうなくらいの大きさで電気も通っておらず、鍵がかかっていて全く人を寄せ付けまいとしているようでした。
孝太郎が父に離れの鍵の話をしても「鍵は無い。あれは大きめの祠だと思え」の一点張りで、絶対にあの家に人を入れてなるものかという意志を感じざるを得ません。離れには一体何があるのでしょう。


新しい家に引っ越すようになってから、桃子はお腹が強く張る日が増え、体調が悪くなっていきます。離れの窓に人の頭が写っているような心霊写真が撮れてしまったりと霊の影が近づいているようでした。
家を建てた工務店の人と一緒に訪ねてきた、鬼頭と名乗る女性は何か事情を知っている様子。離れを見つめたまま、「まだ出ていません」と呟いたのも気になります。

お腹が張って痛むことは臨月間近の妊婦には日常的なことなのかもしれませんが、お腹の中の子どもが苦しみ、母に警鐘を鳴らしているようでなんだか緊張しました。

そして、桃子は夢を見るようになります。
寝ている間に窓をコンコンと叩かれる。閉めていたはずの扉が薄く開き、そこを顔のない子供が覗いている。とてもリアルな夢を見ている……と思いきや、慌てた様子の孝太郎に急いで止められて我に返る。

桃子は寝ている間に、裸足で庭を歩いて離れに向かっていたのでした。

日に日にリアルさを増していく夢。幽霊を信じないが故に誰に相談するのも馬鹿らしく、日々の恐怖に我慢している桃子が痛ましいです。

なんとも気味が悪かったのは、再び新居を訪れた鬼頭に「子供か女性が出てくる夢を見なかったか」と聞かれたとき、桃子の意思とは別の人の意思で「帰ってほしい」と思っているのが不気味でした。
誰か別の人が桃子の意識を乗っ取っているのではないでしょうか。推測ですが、自我や意識のない赤子に幽霊が身体を乗っ取ろうとしていたらすごく嫌です。

長くなりそうなので本日はここまで。
だいたい4話分くらい続けたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
赤子に自意識は存在するか。

おやすみなさい。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,685件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?