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【読書レビュー④】米澤穂信「可燃物」

こんばんは。PisMaです。
本日も本を読みました。

今回読んだのは表題にもなっている「可燃物」。
内容控えめで、気になった部分の感想を書いていこうと思います。

こういう話を読んでいて興味深いなあと思うのは、自分の知らない知識が聞ける点ですよね。

「可燃物」は連続放火が起こるところから始まるのですが、お話の中に消防の方から話を聞く場面が出てきます。放火の観点から見ると、生ゴミは水分が多く燃えにくいため放火に向かないとか、最近の天気の状態でよく燃える日と燃えない日があるとか。
私は天気ひとつとっても、雨が降るか降らないか〜辺りしか意識しないので、火災が起きるとという視点は面白く感じました。

あと、全く見たことのない漢字が出てきて驚きました。漢字には多少詳しいつもりだったのでちょっとショック。
ちなみに「恢復」という字です。
意味は回復するという意味と一緒で、昔使われていた漢字だそうです。りっしんべんにはい。なんかの当て字でしょうか。本を読むとこういう見たことない漢字に会えるのも楽しいですね。

今回の話はいつもよりも少し文量が多かったからか、葛警部のカフェオレ菓子パンタイムが2回挟まれていました。
なんで頑なにカフェオレと菓子パン?おにぎりとかも食べたらいいのになどと思っていましたが、もしかしたらこの描写は葛警部が食に興味がない・別メニューを考えるような時間もないの暗喩なのでは、と今更思い始め。これで葛警部にアレルギーがあるよ、みたいな食に言及する話が出てきたらなんかすごいですね。

結局犯人は、火災にトラウマのある人物が犯した意図的な火災であり、職場のスーパーマーケットの可燃物処理に不満があってわざと火災をおこして可燃物処理方法を変えさせたといった感じの動機でした。この小説、良かれと思ってやりすぎる人が多いな。
この辺りで犯人の動機に気づく葛警部はやっぱり頭の回り方が半端ではない、というのを再確認。
しかし、上司には葛警部のワンマンゲームになっていて上手く部下が育っていないのではと叱咤される面もありました。

そこでも葛警部は平然とした態度を取っていましたが、駒として働く部下と指揮を取る警部の構図がとても強いのでここもちゃんと物語内で拾われるんだなぁとここでもびっくり。
ちゃんと読んだ人の疑問や感想に気づいて話が進むのが面白いです。米澤穂信作品は相変わらず緻密で丁寧な場面作りをしてくれるなあと実感できました。

本日はこの辺りで。
また読めたら続きを書きます。

お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
トラウマへのリベンジは計画的に。

おやすみなさい。

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