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【読書レビュー①③】尾八原ジュージ「巣」

こんばんは。PisMaです。
本日も「巣」の続きを書いていこうと思います。
前作はこちらです。

祖母の訃報が飛び込んできた朝。

亡くなった祖母の表情は穏やかで最近体調が良くなかったこともあり、「大往生」だったと判断されました。
祖母の葬式での参列者は親戚が少ないこともあり、入院や寿命で参列者はほとんど居らず寂しい葬式でした。帰る頃には皆がぐったりと疲れ切っていて、なぜ疲れているのにこんな家に帰らなくてはならないのだろうと思わずにはいられません。

祖母はあの部屋の中で亡くなったのでしょうか。

しかし祖母が見つかったのは祖母の自室だったため、「誰かが運んだのでは?」そんな身も蓋もない疑問を美苗は頭から振り払います。
日常のなかのふとした作業でも、祖母が亡くなったことを実感し「寂しい」と声をこぼす綾子さん。美苗は綾子の寂しさに寄り添おうとするものの、綾子は

「おばあちゃん、いるかしら」
「まだこの家にいるかしら」

と呟きます。

すると廊下の方からぱたぱたと足音が聞こえ、廊下とキッチンを隔てる廊下の前で止まります。
なかなか扉が開かないので、綾子が開けると廊下には誰もいません。
この時、家族はリビングに全員集まっていたのです。寒くなる背筋。

この日から真夜中以外にも得体の知れない物音が響くようになってしまいました。


美苗はたまらず苦情を言いに不動産屋に駆け込みますが全く聞く耳を持ってくれません。それでも「あの部屋に入らなければ大丈夫という話だったのに全然違うじゃないですか」と食い下がります。
すると「大丈夫というのも霊能者の先生の判断なので、言われた通りにお伝えしているだけです」との解答。美苗は「その霊能者の方というのは鬼頭さんか」と聞いてみるものの、個人情報だからと突っぱねられてしまいます。

美苗は今更ではあるものの「井戸の家」について調べることにしました。不動産屋ではもう情報は出てこなそうだったため、あの家に関わった霊能者の先生についてなにか情報がないか、調べることがないかと考えました。
そんな日から10日ほど経ったある日。

鬼頭さんからメールが入ります。

「もうわたしの人形ではどうにもならないと思います。ごめんなさい。あの部屋に入ってはいけません」

これが、鬼頭さんから送られてきた最後のメールでした。

本日はここまで。
祖母が亡くなり、家の容態がかなり悪化した様子ですね。しかも祖母はまだ家の中にいるようです。この家で死ぬと家に縛られてしまい成仏できないのかもしれません。
鬼頭さんもお手上げの状態でいきなりハシゴを外されたような感じで美苗さんはたまったものではありません。かなり展開が鬱屈としてきていてハラハラしますが、美苗さんは無事にこの家から出ることができるのでしょうか。

お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
死んでも出られない家。

ご機嫌よう。

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