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【読書レビュー④】「ずっとお城で暮らしてる」

こんばんは。PisMaです。
また少し「ずっとお城で暮らしてる」を読めたので、続きをレビューしていきます。


「何もかも私がいけなかったんだわ。自分がどれほどまちがっているか、わかっていなかった。隠れていたいからといって、何もかもなりゆきのままほおっておいたの。」(本文より抜粋)


突如ブラックウッド家にやってきた来客、チャールズ。
チャールズはこの家にとって「現実」そのもののようでした。

メアリは相変わらずチャールズの事が大嫌いで、幾度となくこの家から出ていくようなイタズラを仕掛けます。
印象的だったのは、父の私物らしい金の鎖の話。

メアリは先日、おまじないで木に打ち付けていた本が地面に落ちてしまったばかり。その本の代わりに新しいおまじないにしようと鎖を木に打ち付けます。
するとチャールズは「こんな高価なものを木に打ち付けるなんて。鎖の穴が一つ潰れてる」と木から外し、大切に身につけ始めます。

メアリには金銭的価値などお構いなしですが、チャールズは金銭に対しかなり気をつかうタイプのようです。困ったことに全く価値観が合ってないな、と感じる節でした。

チャールズがこんなメアリを疎ましく思うのは至極当然のように見えますが、いつもと違うのは姉のコンスタンス。

メアリがチャールズへのイタズラや悪口を言うと、今まで何をしても笑ってくれていたものの、だんだんと本気で嫌がっているような素振りを見せ始めます。

姉は甲斐甲斐しく焼いていた伯父の世話を止め、「忙しいの」と断りはじめます。
だんだんとメアリの言う事も聞かなくなっていき、姉はチャールズの意見に全面的に同意のようです。
この時点で明言されていないのですが、もしや姉と従兄は親しい仲なのでしょうか。


「いままでの暮らしを続けたい」メアリとジュリアン伯父さん。
「このままでいけない。もっと普通の暮らしをすべきだ」と思うコンスタンスとチャールズ。

コンスタンスは伯父は病院へ入院させ、メアリはボーイフレンドを作ろうと二人に「変わる」事を促します。

メアリは今までの生活に満足しきっていたために、何故そんなことをする必要があるのかと聞く耳を持ちません。伯父さんも早くチャールズに出て行って欲しくて仕方がありません。

しかし、チャールズの目線で見ると。

庭に兄のものや家の物を埋めては、まだまだ価値のある高級品を木に打ち付けるおかしな娘。
ずっと前の嫌な記憶に取り憑かれ、思い出してはコンスタンスを責める車椅子の老人。

チャールズがどこに嫌悪するのかもわかってしまうような気もするのです。

少しずつ歪な家族の溝が深まっている感じがします。
冒頭からとても仲睦まじく見えた姉妹なので、このまま関係が拗れて終わってしまわないか気になります。


本日はここまで。
おそらくあと二回ほどのレビューで最後になるかと思います。ここまで読んでくださった方に最大の感謝を。

お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
隣人との価値観の違いにはご注意を。

ご機嫌よう。

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