もし私が泉に涙を呉れば

もし私が泉に涙を呉れば

それは海になる

もし私が泉へ先出す物*
を呉れば

それは沼になる

もし私が泉に、

泉の源を捧げれば

それは嘗て水は霧と雨になった事を

流れる彼女を思い出せるだけだ。。

私が泉に自分を捧げても

その心は流れを汚せずに

静まりつづある水の様なものに

なりえるのか

逆流で精神の矢を放っても

忘却だけが目印になった

去り行く彼女

人がそれを恐れる

その出し去るものの

数々の海

江河

霧と日

忘れたもの、忘れたもの

盃と空っぽ

もし私が泉に涙を呉れば

その塩が人を溺れる海になれるでしょうか?

それとも、それはその裾を濡れるだけ

遠くて恐れの募る

由々しき霞雲を刺す長い地平より

やがて長い長い夢が揚げて

深い霧の様な、募た夢は散らし、

零す

そしてやがて。。。

その奥の奥の深谷の

泉の源より

忘却された眠りが​空に昇り

海に沈む

*先出す物:

黄金と小便

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