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王さまの本棚 3冊目

『TOLKIEN'S WORLD トールキンズワールド 中つ国を描く』

評論社

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本棚の中。

これは、いつかのクリスマスのお祝いの品です。サンタクロースさん、いい趣味してる~~!

ところで、わたしはマニアやらオタクやらを自認しておりますが、それもおこがましいくらいなのです、実は。
そう、わたしはいまだに、『シルマリルの物語』(トールキン世界の神話集のような本)を読了できていないのです。

そのため、この本に入っているシルマリルの挿絵は、薄眼でしか見たことがなく……。ゴンドリンの陥落とか超かっこいいけど。(見とるやないか)

この本を入手したときにいちばんうれしかったことは、当時指輪物語の愛蔵版をまだ持っていなかったので、アラン・リーの絵がたくさん見られたことです。
そしていま、持っていていちばんうれしいことは、テド・ネイスミスの絵をたくさん見られるところです。

ネイスミスさんの絵は緑があざやかでとても好きなんです。あと、ツイートに写真もつけているけど、ブルネインの浅瀬……いま嫌な予感がしてちゃんと見たら、ブルイネンの浅瀬、でした、いまのいままで20年間もブルネインって言ってた、言ってよ、みんな、超ひどい。(どこかで見たことのあるフレーズだなあと思ったあなたはわたしの友だち)
まあいいや(!)、そのブルイネンの浅瀬で、主人公で指輪所持者たるフロドとエルフ馬のアスファロスが黒の乗り手たちに追い詰められたとき、エルフの怒りの力によって鳴神川がごうごうと氾濫し、黒の乗手たちを押し流すことによって難を逃れるというシーンがあるのですが

川の流れに沿って羽飾りをつけた騎兵隊のような波頭が現われました。その波頭には白い焔がちらちらゆらめいているようにフロドには思えました。そして流れる水のただ中に、泡立つ鬣を持った白い馬に白い乗手たちが乗っているのを見たような気がしました。
(『TOLKIEN'S WORLD トールキンズワールド 中つ国を描く』/評論社)
(『新版指輪物語旅の仲間上2』p.256)※新版文庫

ここ!むっちゃくっちゃかっこいい~~~~~!!!!!
ここの絵が、寺島龍一だとちょっと……黒の乗手たちが押し流されているだけというか……。
ネイスミスの絵では白の乗手たちの姿が描かれていて、そこがすっごくうれしいポイント。
よくわからないなあという方は、上ツイートの写真とか、映画を見てみてください。映画ではエルフの殿グロールフィンデルの代わりに、アルウェン姫が大活躍し(すぎ)ています。(映画は映画で、いろいろある。)


いろんな作家によるゴクリの描き方の違いもとても興味深いです。この本ではインゲル・エデルフェルド、マイケル・ヘイグ、アラン・リーのゴクリを見ることができます。
わたしはエデルフェルドやヘイグは初めて知った作家で、この本以外では見たことがないのですが、ちょっと彼らのゴクリは肉付きがいい気がして、アラン・リー(と、この本には載っていませんが、寺島龍一)のゴクリがとても哀れっぽくて好きなのよ、ゴクリゴクリ。
この本には載っていないけれど、ネットでヤンソン(ムーミンの作者の)による、『くらやみでなぞなぞ問答』の絵も見たことがありますが、ゴクリがすんごい巨大でした。そう、ホビットの時点ではゴクリはホビット族よりもずいぶん大きいとか、黒いとか、ぬらぬらしていると書いてあるのですよね、確か。
(いま確認したら、「大きい」「ぬらぬら」は間違いで、「黒い」は合っていました。黒いゴクリってあんまり見ないけどなあ。ヤンソンさんのゴクリは黒い。)

映画のゴラムのビジュアルはさすがコンセプチュアルアーティストなので、アラン・リーのものにかなり近いです。映画のほうがかわいいけど。
そしてすごく余談なのですが、アラン・リーのゴクリのデザインは紫堂恭子の『辺境警備』という漫画にも登場しています……。

映画のビジュアルといえば、ケイト・ブランシェット演じるエルフの女王ガラドリエルも、アラン・リーの絵から抜け出たようでした。彼女はもう、ほんとうにうつくしかった。

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(『TOLKIEN'S WORLD トールキンズワールド 中つ国を描く』/評論社)
文庫版の表紙にもなっていますよね、この絵。好き……


挿絵の話は次回でもしているので、このあたりで。



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