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王さまの本棚 9冊目
『オリジナル版ホビットの冒険』
J.R.R.トールキン作/瀬田貞二訳/岩波書店
9、ホビットの冒険、岩波書店版
— 安野ニツカ (@nienoedda) July 29, 2020
オリジナル版というだけあって装丁から挿絵までトールキンの絵をふんだんに使用しているのだけど、何を血迷ったの、岩波書店さん。横書きなんて信じられない。ありえない。ほんと血迷ったとしか考えられない。どうした岩波書店。縦書き版に改版されたら買い直すわ。 pic.twitter.com/2dS9YhStSr
本棚の中、『THE LORD OF THE RINGS』の箱の奥の、ハードカバー版『ホビットの冒険』の左隣にちらっと見える緑の本。参考程度にしか見ない、かつ大切な本なので、この位置です……
この本は、持論を率直に述べると、子どもが読む最初の一冊には向きません。なぜなら、横書きだから。noteで横書きの文章を書き散らしておいて何をという気もしますが、本はまた別。
句読点も、コンマとピリオドなところに岩波書店らしい硬派さを感じるけれど、そもそも、なぜ横書きにした、とほんとうに詰めたい。瀬田貞二のうつくしい日本語は、縦書きで読んでこそなのよ。ゴクリゴクリ。
とはいえ、トールキンの挿絵をボリュームたっぷりに見られる版は日本語ではこれしかないし、そんな洋書もわたしは持っていないので、日本語しかできないわたしのようなマニアが買う価値は、ものすごく、あります。トールキンの絵がまた、すんごいんだわ。精細緻密、ラインのうつくしさ、文字の味わい。
自分で挿絵を描いている作家でいうと、ドリトル先生のヒュー・ロフティングとか、こそあどの森シリーズの岡田淳とか……安野光雅は、話のうまい絵描きさんだから入れちゃダメかな、結構おられる。作家本人以外の絵は賛否両論ないまぜにあるけれど、そういう本の絵はもれなく好きです。文章の通りの絵が描いてあって安心します。
安野光雅が好きな影響で、文字の味わいに興味があるのだけど、
(その割に書には興味がないというか、見方がわからないので良さがわからない)
トールキンの書く文字は本当にかっこいい。竜がのたくっているような文字と絵の融合がすばらしいとおもうの。
そして、ほかの挿絵画家の構図のもとになっている絵がいくつかあって、これはもう話した気がするけど、テド・ネイスミスの裂け谷とか、えーとえーといま思い出せないんですが、誰かほかにも裂け谷を同じ構図で描いていたはず、ほかの人の絵をいくつか見た後で、偶然ならすごいなあって思ったけど、トールキンの絵がもとになっていたのね!ってびっくりしたことがありました。映画でもトールキンの構図をもとにしたシーンがいくつかあったような。ホビットの映画は結局映画館でしか劇場版しか見ていないので、エクステンデッドエディションを見ねば。
横書きが縦書きになったら買い直します。だからお願い、岩波書店さん……。
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