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嗚呼、愛しき文房具。

本記事は、ニードスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「nide.inc ライトニングトーク部 Advent Calendar」の第24日目です。
nide.inc ライトニングトーク部 Advent Calendar 2020

テストでは自分のクラスと名前をいちばんはじめに書きなさい、と何度もなんども先生に言われていたころ、親に決められたのか、自分から言い出したのか覚えてはいないが、僕は書道教室に通っていた。
株式会社ニード いいじまです。

書道自体が特別好きだったわけではないが、半紙に黒い墨で文字を描くことが絵を描くそれと似ている感覚を持っていて、書道の先生が朱い墨でハネやはらいの指南を僕の書いた文字に上書きする、黒と朱が重なったあの感じが特に好きだったのを覚えてる。

学校の授業でも書道の時間があったのだが、書道教室に通っていただけに、僕は字がうまい子としてよく賞をもらった。そして字を書くことが好きになっていった。たくさん文字を書きたいから鉛筆を煩わしく思い、シャープペンシルやボールペンに持ち替えた。鉛筆とは違い、太い細い、重い軽い、そして多色など種類が無限にある。こうして僕は自分に合う文房具を探すはめになったのだ。

kaweco 

1970年台に一度は経営難によって市場から消えつつも、1990年代、同国ドイツのメーカーが商標権を獲得し復活。僕は5、6年前に復刻版を見つけて購入したボールペン。傷だらけになりつつも今でも一軍で愛用している。

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写真は「クラシック スポーツ」で万年筆、ローラーボール、ボールペン、シャープペンシルと網羅している。ローラーボールも好きだが、僕が長くつかっているのはスペシャルというシリーズ。

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ペンを走らせるのに適度な重みがあり書きやすく、なによりノックが心地よい。書き心地とはよく言ったもので、ちょうど良いバネの力とコチッというノック音が書く気にさせるのだ。金属の質感、質量、操作感、全てが揃って良い書き心地となるのだと気づかせてくれるとても良いペンである。
ちなみにシャープペンシルも同シリーズを使っているが、同じく心地よい。

ひとつ難点をあげるとすれば、リフィルが高価ということだろうか。G2規格のいわゆるパーカータイプが互換をもつのだが、100円ショップや中華製の安いリフィルを探すこともまたおもしろいのである。

1883年にドイツで創業。二人の創業者、ハインリッヒ・コッホとルドルフ・ウェーバーの名字の頭文字を組み合わせて「Kaweco」の社名となった。つけペン工場やペン先製造会社を買収しながら技術力を高めていき、第一次世界大戦、第二次世界大戦の二度の戦火も乗り越えながら業績を重ねていった。1976年には経営難のために製造を中止することとなったが、のちにドイツの企業によってブランドが復活。1930年代に一世を風靡した万年筆とボールペンの携帯セット「カヴェコ・スポーツ」や、当時は透明で広いインク窓の付いたアールデコ調の「ディア」などの復刻版が発売され、そのレトロで味わい深いデザインは現代でも好評を博し、今日に至っている。


LAMY

言わずとしれたドイツの王道メーカーLAMY。サファリシリーズが有名であるが、僕は廉価モデルのプラスチックボールペンを使っている。

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躯体はプラスチックが故の安っぽさはあるが、LAMYもノックが心地よいのである。これもまた書きたいという気持ちにさせてくれる筆記具なのだ。ただ、圧倒的に書き味がよくない。今日初めての書き出しにインクがスムーズにでてくれなかったら、その日の全てが憂鬱になる。どうしたものかと考えてたどり着いたのがリフィルアダプターだった。

LAMYを改造せずとも1000円程度のこのアダプターをつけることで、最高の書き味と誰もが認めるジェットストリームを装着することができる。こんなすばらしい製品をつくってくれているunus-productさん、ありがとうございます。

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「Made in Germany」はラミーにとっては製品の生産国を示すタグ以上の意味を持っています。それは妥協することのない高い品質への要求に応えることであり、実現させるための企業文化をも意味します。ラミーの筆記具はドイツの優れたデザインの伝統と専門性の高い技術によって成り立っています。革新と信頼、そして上品さがその特徴ともいえるでしょう。ラミーはラグジュアリーを目指すのではなく、製法と素材、そして機能性において常に高みを目指して最高の品質を求めています。ラミーの筆記具は全てドイツで作られ、強いて言えば1930年に創業したハイデルベルグの地で今も作られています。それはグローバル化の現代においても将来においても変わりません。今でもこの地に根差す300人の従業員を持つ企業として、文化面においても昔から科学やリサーチなどの分野で秀でてきたこのエリアに密接に関わっています。

STABILO

リサイクル可能な再利用プラスチックを積極的に採用し、サステナブルな製品をつくっているこれもドイツのメーカーである。

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まず見た目がクラシカルで愛おしい。250円程度と安価であり多色展開しているため揃える楽しみもある。だが、このペンの特筆すべきはその書き味である。とにかく滑るのだ。ペンが走る。僕の意識よりもペン先が先に行ってしまうくらいのスピードで走る。もはや使いづらいとすら感じる速度だが、時々その感覚を味わいたくてペンケースに入っている。是非みなさんも体験していただきたい。

みんなが欲しいと望んでいるペンを生み出す,これがスタビロの存在意義。160年以上の長い歴史があり筆記具の世界有数のメーカーになった今でも社員一人一人を大切にする家族経営の会社。ドイツ製の品質と革新的なデザインで毎日何百万人もの人々の生活をより楽しくカラフルに。
スタビロはシュワンスタビログループの一員。 1500人以上の仲間たちがみんなのお気に入りのペンを毎日製造中。 ドイツ、チェコとマレーシアの工場で製造して世界180カ国以上で販売中。

加藤製作所(カトウセイサクショ)

美しい。ただただ美しい。世界でも珍しいセルロイド筆記具メーカーである。唯一の職人でもある故加藤清氏がつくりだす芸術作品のようなペンはコレクションすべき逸品であるが、「使われるために作る」という加藤氏の信念を、僕も勝手に引継ぎ今でも現役で使用しているのだ。とても残念ではあるが2010年に永眠されているため新しいペンが作り出されることはない。

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世界に名だたる浪速の万年筆職人による手づくりのセルロイド万年筆。カトウセイサクショの故加藤清社長は、その卓越した技術で筆記具業界でもひっぱりだこで、ビスコンティ社 社長じきじきに依頼されデザイン製作していたなど数々の経歴を持ち、ヨーロッパではミスターカトウの愛称でも親しまれていました。
「万年筆は、使うためにある。使って使って潰れるまで使い込んでほしい。コレクションケースに入れ眺めるための筆記具は、作りたくない。だから、誰でも手が届く価格で提供しています」という加藤社長の思いのもと、一本一本思いのこもった全行程手づくりの筆記具が驚く価格設定になっています。カトウセイサクショのセルロイド筆記具は、世界中にたくさんのファンをもつ希少な筆記具です。


あれから年を重ねた現在、僕は字が汚い。文房具を愛でているあいだに、書の道からは大きく逸れてしまったようである。

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