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「ゲームは1日1時間」で育ったけどゲームプログラマーになりました【そこらへんのゲーム関係者 vol.14】

こんにちは、そめ吉です!「そこらへんのゲーム関係者」今回はユニティ・テクノロジーズ・ジャパンで開発者向けのサポート業務を行っている黒河 優介さんにお話を伺いました!それではどうぞ!


こんにちは。Unity Japanでサポートのエンジニアとして働いている黒河優介と申します。

私自身は高校時代に趣味でゲームを作っていて、大学時代にゲーム開発会社Shiftさんでアルバイトするといった形で業界に関わることになりました。それから新卒でSEGAさんに入社し、友人に誘われて転職、その後Unityへ入社という経歴です。

そんな私ですが、実はゲームをあまりさせてもらえない厳しい家庭で育っていました。今回は、そんな昔話に付き合っていただければ幸いです。

テーマ1. あなたはなぜゲーム業界に?

話は私が小学生の頃にまで遡ります。

黒河家はゲームなどにとても厳しい家庭で、「ゲームは1日1時間まで」をリアルにやっていた家庭でした。小学校3年生くらいまでは、水曜日と土曜日の1時間だけゲームができて、それ以外の曜日は一切ゲームに触れさせてくれませんでした……。小学生男子なので、ゲームへの気持ちは悶々と溜まっていく一方でした。

小学3~4年生の頃のある日、従姉妹と「人生ゲーム」で遊んだ時のことです。人生ゲームでは職業を選ぶのですが、その中に「ゲームクリエーター」という職業があって、医者や弁護士に次いで3番目に年収が高い職業でした。

「大好きなゲームに四六時中関わっていて、しかも年収が3番目に高い!最高の職業だ!」と小学生の私は思いました。そこから何となくゲーム作る人になるんだという気持ちを抱えていました。

中学時代は受験勉強に明け暮れて、転機は高校生になってからです。

黒河家の「ゲームは1日1時間まで」というルールは徐々に緩和され、高校生になる頃にはほとんどなくなって、自分のPCも買ってもらえていました。そんな時に高校の課外授業でC言語の基礎を学ぶことができました。

その後Win32APIやDirecctXでゲームを作ろうとするも挫折し、紆余曲折を経てTonyuSystemHSPといったものでゲームを何本か作っていました。高校は付属高校だったので、受験勉強とは無縁の生活になり、好き勝手にゲームしたり、ゲームを作ったりして過ごしていました。

高校3年の文化祭で、友達4人と一緒に作った格闘ゲーム。プログラマーは私だけで、学業そっちのけで作ったので高校を留年しそうになりました

そして、大学に上がると「ゲームプログラミング」の授業に出会います。当時はフューチャーフォンでDocomo向けのゲームをJavaで作るという授業でした。

1年生の春、受ける資格もないのに授業に潜り込んで一番前の席に座って受講していました。講師の方がShiftという会社の方がやっていて、履修中に講師の方から「うちの会社でバイトしない?」と誘われ、ゲーム会社で働き始めることになりました。それがゲーム業界入りの一歩でした。

潜り込みなので単位は出ませんでしたが、後に授業のアシスタント(SA)をするので単位をくださいというお願いをして単位をもらうことになります……。

テーマ2. その後はどんなことを?

大学在籍中のアルバイトでの最初の仕事は、試作中のフューチャーフォン向けゲームを途中から引き継いでプログラムを担当することでした。

当時のフューチャーフォンはアプリサイズ30KB、データサイズ200KBという制限があったためプロジェクト規模がとても小さく、関わる人も少なかったためゲームの様々な部分を実装できました。社内のライブラリのようなものが用意されていて、その上で構築する形でした。ライブラリ自体はそんなに複雑なものでもなくコードも見れたので、この辺はとても勉強になりました。

他にもPSPなどの家庭用ゲーム機のデバッグや、スクリプターなどもやらせてもらうことができ、幸運なことに学生の時点でスタッフロールに名前を載せてもらうことが出来ました。

ゲームの説明書にスタッフロールが載っていたのですが、自分の名前がそこにあるのが嬉しくて何度も見返したことを覚えています。

人生で初めて名前がスタッフロールに載った商業作品「ピポサルアカデミ~ア2」

また、ネットワーク機能を使ったフューチャーフォン向けゲームのサーバーの試作だったり、ライブラリの整備にも関わることができました。そんなこんなで大学生活を送りつつ、ゲーム業界に片足を突っ込んで過ごしていました。

大学卒業後は業界大手の環境も知りたいと思い、株式会社SEGAのアーケード部門、つまりゲームセンター向けのゲームを開発する部門に新卒で入社することになりました。配属先は『Answer×Answer』という運営型のクイズゲームのチームでした。

途中のバージョンアップのクライアント側の担当から始まりましたが、その後連動するWebサービスの引き継ぎなどをしたのもあって、最後の運営を閉じるところまで携わらせてもらいました。

稼働終了直前にゲームセンターで撮影した『Answer×Answer』の筐体写真

運営フェーズでプログラマーはなにか障害が起きない限りは基本やることがなかったので、『Answer×Answer』運営の仕事と二足のわらじで別のプロジェクトも兼任することになります。

その当時スマートフォンゲームの開発が賑わい始めたということもあって、『Answer×Answer』の資産を活かしたモバイルゲーム開発の企画『Answer×Answer Pocket』が立ち上がります。プロジェクトを立ち上げる前の初期段階から最後のサービス終了まで関わることになりました。色々と大変だったこともありましたが、1つのプロジェクトに最初から最後まで関わると言う本当に貴重な体験をさせてもらえました。

その後なんやかんやあり、色々と思うこともあったのと、『Answer×Answer』のサービス運営が終了して一区切りついてしまう事なども重なり、友人に誘われて転職をする事になります。しかし転職先のプロジェクトが絶賛炎上しており、誘ってくれた友人も退職してしまって……。

開発していたタイトルは世に出ましたが、全く売れませんでした。会社自体もやばい雰囲気になり、どうしようかとうろうろしていた時に、SEGA時代の先輩の伊藤 周さんに誘われてUnity Japanに入社しました。

現在、Unityではサポートの仕事を中心に行っていますが、たまに講演活動などもしています。もしイベントでお会いすることがあれば、そのときは宜しくお願いします。

テーマ3. そこらへんのゲーム関係者として楽しかったこと

チーム一体となってなにかに向かうことの楽しさ

私がゲーム会社に入った頃というのは、今みたいに「働き方改革」みたいなのがなくて……まだ「ブラック業界」みたいな感じで長時間労働や深夜に働くといった空気感が微妙に残っている時期でした。

学生時代のアルバイトの頃は、夜にデバッグのバイトを開始して、終わったら朝に大学に行くという事もやっていたりしました。夜に出かけるので、親には如何わしいアルバイトでもしているんじゃないかと変な疑いをかけられたこともありましたw

その時の開発チームの空気感が文化祭の前夜の準備みたいな感じで、大変だし時間も追われているんだけど……でも何かみんなで頑張ってやってやろうぜ感があって楽しかったのを覚えています。またそうやって苦労したタイトルが世に出た時は、とても嬉しい気持ちになりました。そして、ユーザーの皆さんが楽しんでくれている様子が見られるとますます嬉しい気持ちになりますね。

ゲーム制作だけじゃなく、Unityのイベントもお祭りで、開催直前は準備とかで夜遅くまでリハーサルなどをしていました。長時間労働や深夜残業は大変でしたし、プライベートの時間もなくなってしまうので良いことばかりではありませんが。。。

成果がわかりやすく現れるパフォーマンスチューニングの楽しさ

また、個人として楽しいと感じる事としては、パフォーマンスチューニングでわかりやすい結果が出る時です。達成感があって楽しいと感じています。

チューニング時によくみるUnityProfiler。昔はこんな便利なものはあまり無かった……

パフォーマンスチューニングをされていないと、ロードに凄く時間がかかってしまったり、フレームレートが低くて動きがカクカクしてしまったりということがあります。

これを何とかするわけですが、基本的に作業自体は地道です。どこがボトルネックになっているのかを探していって、それを何とかしていく方法はないかと言うのを模索していく事の繰り返しです。大きいボトルネックが見つかって解消できた時の達成感は何とも言えないものがあります。

例えばロード時間を1秒短縮出来たとします。たった1秒のロードですが、そのロードは沢山おきます。例えばそのロードは10万人が遊んでて一人当たり100回と考えます。すると、人類の時間を1000万秒(約2777時間)も短縮できたと思うと人類に貢献できた気がしませんか?

ロードが長かったりフレームレートが低かったりすると、それだけでユーザーの評価が下がって損をしてしまいます。なにより僕はロードが長いのが我慢できません!そう言う意味でもやりがいはあることだと思っています。

この記事を書いた人

黒河 優介|@wotakuro


黒河さん、ありがとうございました!

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