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「女子小学生No.1おしゃれ雑誌」が生まれるまでの話 ニコ☆プチ誕生秘話②

女子小学生No.1おしゃれ雑誌である「ニコ☆プチ」の初代編集長Y氏にインタビューをと思った私、バーバラ(現ニコ☆プチ編集長)。

アポなしで直撃!したら、3回も撃沈したので、ちゃんとアポを取って行ってきました。
Y氏は、現在は「ENGIN」編集部にいらっしゃいます。かわいい女の子の世界を離れ、外車が大好きイケオジとなっていました。広告部S木も引けを取らない、高低差あり過ぎな人事異動です。

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さて、2006年のニコ☆プチ創刊号を取り出して話を切り出すと、開口一番、

「だっさ!」

ちょい待て、この雑誌を作ったのは、ニコラ編集部にいた私とあなたですからね!!!

ダサくて当然、創刊から15年も経ったのだから。ファッションとは移ろうものです。実はY氏、ニコ☆プチだけじゃなく、姉雑誌ニコラも創刊したスゴイ編集者。モデルを見る目は確かで、あのガッキーこと新垣結衣を見出した慧眼は業界の伝説となっています。

そんなY氏に、皆さんやティーン誌初心者のS木にも解るように、ニコ☆プチ誕生秘話を語っていただきました。
「余計なことは書かないでね!」と念を押されながら。
でも言ってヤバイことなんて何一つありません! 誠実に仕事してたと思いますけど。

ニコ☆プチ創刊にまつわる時代背景

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15年程前、マルキュー(渋谷109)ブランドが全盛で、ニコラで紹介する子供服ブランド(主に百貨店等で展開)から読者である中学生が急速に離れていきました。
その頃、ニコラ読者に人気だったブランドは、Jassie(ジャッシー)、Rosegirl(ローズガール)、ROSE FAN FAN(ローズファンファン)、RocoNails(ロコネイル)……などなど。名前が似ているし、テイストも似ていました。
ティーンの子らがカジュアルにギャル文化を取り入れていた印象です。そんなギャル予備軍は、子供服ブランドを当然着ないですよね。

流行を追うことは編集者の使命! 読者の声を大事にするニコラは、上記マルキューブランドの掲載を拡大していきました。
そんな中、広告を入れてくれている子供服ブランドから苦情が噴出することも度々。Y編集長(当時)は持ち前のコミュ力でクライアントをなだめながらも、ニコラの方向性を模索していました。

そんな編集長の気苦労など知らずに、編集部員は面白いページ、お洒落なページを追求することに必死で……。子供服ブランドを疎外していたかもしれません。すみません、すべては読者のためなんです。

時代が流れると、ファッションも流れる

ティーンは、自分のより年下の子達が来ているブランドを「ダサい」とみなしてしまう。より大人っぽくなりたくて、「イケてる」とみなすお姉さんブランドを着たがる。

その時に人気があるブランドだって10年も経てば、購買層が低年齢化してしまうのは自然な流れ。ブランドをリニューアルして年齢層を上げたり、姉ブランドや妹ブランドを立ち上げて、ブランドイメージを保つしかない。

雑誌であるニコラも創刊から7〜8年時が経つと、同様の流れがやってきました。もう、中学生に子供服を着てもらうには限界だったのです。
そこで、編集長Y氏は、「小学生雑誌を立ち上げよう!」と行動に移します。子供ブランドを適正な読者へ届けるために。

会社はとくに何も言うことはなく、すんなりと企画は通りました。ある意味、ファッション誌が無い会社だから功を奏したか。

つまりは会社でティーンの世界が解る人がいないのです。

創刊号は順調に売れ、小学生が「自分たちのための雑誌」を待っていたのだなと、手応えを感じました。
ただ、当然ながらニコラを読んでいた小学生はニコ☆プチに流れます。Y氏の後を引き継いだ新ニコラ編集長は、「ニコ☆プチを無くせ」と会社に迫ったそうです。社内で競合しては元も子もないのに。

ライフスタイルの違い

そもそも小学生と中学生はライフスタイルが全く違います。
中学生は制服、小学生は私服(一部制服の学校もありますが)
中学生は部活、小学生は習い事
中学生は友達と買い物、小学生は親と買い物
中学生はシャーペン、小学生は鉛筆
もともと中学生と小学生は、一緒くたにしてはいけない属性なのです。子供という区切りで見てはいけない。

ニコラを読むかニコ☆プチを読むかは、読者が決めればいいこと。編集者が決めてはいけない。
というわけで、小学生に選ばれて15年。ニコ☆プチは順調に10万部雑誌の階段を登っていくのです。

次回は、ニコ☆プチで活躍するスタイリストさんに、小学生のファッションについてお話を聞いてこようと思います。お楽しみに!

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