恋人


袖の釦のような質量で世界に存在したい
旅行先で思わず買ってしまうコンビニ限定のインスタントコーヒー(カップ5個入り)くらいの気軽さで皆様と触れ合いたい
紫陽花みたいな淡さで人々のことに無関係でいたい
居間のクッションみたいにくたびれた親しさであなたと一緒にいたい

わたしはわたしという確かな個体でいることは超しんどいし人間の輪郭を持って太ったり痩せたりを繰り返して確実に女として女の匂いを濃くさせていくので吐きそうです
しかしこの肉の柔らかさが堅い君の指を包む際にはこれでよかったのだと思えなくもない、なくなくないこともあるけども、なくなくなくなくもある。

世の中に想像力のない人間が多いが、想像力のない人間が多いことを想像できない人間も多いのでもうどうしようもないな。もしも無臭で真っ白のゲロが吐けるなら都市という都市で吐きたい。

でもねまあまずぶっかけるのは 特別に親愛なる お・ま・え
その想像力のなさと無神経さと異常なまでの孤独嫌いは男の人の持つ美徳の1つであるにしても酷い
ひどい むごい ぐろい くさい
愛するお前はとてもくさい

しかし飼い犬のうんちにも責任を持たなくてはならない時代、恋人の醜悪な性格にも愛を持たなくてはならぬのでわたしは、愛そう、罵り否定して人格をめためたにバキバキに折る勢いで言葉の射撃をやめるつもりはないがいつか全部忘れて愛そう

わたしといない際の君はわたしのなかでは死人なのだということをぜひぜひ、覚えておいておくれよ、ああ馬鹿なお前


#恋人 #詩#怒り #クソ #cakesコンテスト

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