最近1on1がマンネリになっている方へ、メタ的10分間コーチングのヒント
1on1やコーチングは、マインドフルネスよりも先行して、ヤフーが導入されてきた経緯もあり、言葉の認知や定着、企業や組織の取り組み、実践が高まっております。
ただ、1、2周まわって踊り場に来ている感覚もあります。1on1、コーチングのあるある話から、こんなやりようもあるかもしれませんよ。というヒントになればと。
1on1あるある
1on1とは?の方は、まずはこの本とか記事とかをお読みいただいて。
1on1を組織開発、人材育成で取り入れる会社や組織が増える一方で、手法や仕組みが先走り、哲学や思想がない残念な感じになっているのも多いようです。
よく聞かれる声として、
・コーチング学んだ人が、コーチングしてやっているドヤ感がでて、つらい
・毎回同じようなお決まり質問で、またこのパターンかーと、冷めてしまう
・誰かにコーチングしてもらいたいけど、この人には話したくない
など
コーチ側がいい1on1、いいコーチング選手権をやっている場合じゃありません。
しかし、コーチングを学んだ人にとっては、よかれと思ってやっており、THE王道パターンを組み立てつつ、何とか引き出そうとしてくれています。
図解するまでもないですが、
①現状把握し、
②理想の姿を描き、
③現状と理想のギャップを認識し、
④いくつかの選択肢で、次なるアクション
をいう、いわばGROWモデルというアプローチしか知らないと、マンネリ感や残念感になってしまいます。
決して、GROWモデルを否定しているわけではありません。これしかアプローチないよりは、もう少しアプローチの選択肢やヒントもあるといいのでは?ということです。
メタ的10分間コーチングの全貌
いまだかつて、私が目の前にして、こんなことが起こるのか!?とびっくりした、コーチングのデモンストレーションを見たことがありました。
わずか10分、されど10分のうちに、いままでのアプローチとはまるで違う、ほぼ中身の話にはふれずに、メタ的な問いのみで、クリアになっていく様子は、目からうろこでした。
その様子を、思い越せる限り、書き起こしてみました。
コーチ「今日は、どんな気分ですか?」
クライアント「そうですね、今日は〇〇な感じです」
コーチ「〇〇な感じなんですね、今日のコーチングはどんな感じでやりましょうか?」
クライアント「今日は、少し視野を広くもてるようにしたいです」
コーチ「視野を広くですね、わかりました。それでは今日もよろしくお願いいたします」
クライアント「よろしくお願いいたします」
コーチ「では、どういうテーマでお話しましょうか? 思いつくのを2、3つ出してもらってもいいですか?」
クライアント「2、3つですね、1つは今の業務の整理と、2つは今後のキャリアと、3つはんー、上司との関係ですかね」
コーチ「3つでてきましたね。あと、もう1つ出すとしたら、何がでてきますか?」
クライアント「あと1つですか、そうですねー、んー。あ、そうだ、ホントにやりたいことが思いつきました」
コーチ「ホントにやりたいこと。いいですね。いま4つでてきましたね。今の業務の整理、今後のキャリア、上司との関係、ホントにやりたいこと。この中で、今日扱いたいテーマはどれにしましょうか?」
クライアント「最後にでてきた、ホントにやりたいことにします」
コーチ「わかりました。ホントにやりたいことをテーマで、やっていきましょう」
コーチ「これから10分間くらいやっていきたいと思いますが、10分後にはどういう状態になっていたいですか?」
クライアント「10分後には、ホントにやりたいことが1つでもみつかればいいですけど、10分なんで、みつからなくても、なんとなくの方向性ぐらいがみえたりいですね」
コーチ「1つみつかるといいですよね! みつからなくても方向性も見えるといいですね」
クライアント「はい、うれしくなると思います」
コーチ「では、ホントにやりたいことというテーマが浮かべて、少しお話聞かせていただいてもいいですか」
クライアント「はい、わかりました。ホントにやりたいことって、きっとあるんだと思うんですけど、まだぜんぜんわからなくて。でも、周りの人はやりたいことが見つかったという人もいて、うらやましくて…」
クライアント「いろいろ話す(1、2分)」
コーチ「そうなんですね、もう少しお話を聞きたいです」
クライアント「いろいろ話す(2、3分)」
コーチ「いろいろお聞かせいただいて、ありがとうございます。」
コーチ「いま、話しはじめて、5分くらい経ちました。ここまでの話を自分で思い返してみて、気づくこと、感じることはありましたか?」
クライアント「もう5分経ったんですね。まだまだ話足りない感じです。やりたいことって、まだまだ見えていない感じですが、やりたいことを考えたり、話したりするのは好きかもしれないですね」
コーチ「私もそう見えていました。話されている様子が楽しそうでしたよ」
クライアント「あ、楽しそうでしたかね。」
コーチ「そうそう、残り5分くらいありますが、どのように進めていきましょうか?」
クライアント「そうですね、このまま自分でしゃべってもしゃべれそうですが、せっかくなので、何か深く考えられるような質問がほしいです」
コーチ「深く考えられるような質問ですね、最初は視野を広くもてるようにとおっしゃっていましたが、深めでいいでしょうか?」
クライアント「はい、いまは深めたいです」
コーチ「流れもありますし、そうしましょう。」
コーチ「深く考える前に、1回だけ呼吸を意識してみましょうか。息をふーっと吐いてー、すうっと吸ってー」
クライアント「はい、わかりました」
コーチ「私もいっしょにやりますね。息をふーっと、すっと」
コーチ「あらためて質問ですが、あなたがホントにホントにやりたいことは何ですか?」
クライアント「うわ、ど直球ですね…」
コーチ「はい、ホントにを2回言いましたw」
クライアント「私がやりたいことは、〇〇とか〇〇とか、何か手形りして、手に取った人に喜んでもらえることです。それを思ったのは、幼いときから、手先が器用とほめられたり、〇〇だったり…」
コーチ「うんうん」
クライアント「何かを没頭して作っていると、いつも時間を忘れて、何時間もやれちゃうんです。」
コーチ「それはすごいですね! 私もそういうことあります」
クライアント「ですよね、あ、そうか、私はこういうのをやりたかったんですね」
コーチ「おお、何かみつかりそうですか。ちょうど10分くらい経ちましたね。」
クライアント「え、10分だけで、見つかっちゃいましたか。びっくり」
コーチ「まさか、びっくりですよね。今日はお話いただいてありがとうございました」
メタ的10分間コーチングの構造、図解
テキストのみですと、その場の臨場感や温度感など伝わりにくいところもありますが、一般的なコーチングのアプローチとは違うことはお気づきでしょうか?
上記の図解フォーマットとあわせて、構造を表現するとこういう感じです。
時系列の流れは、セットアップ、前半パート、後半パートと同じです。時間も多少違いますが、時間配分は同じ程度になっています。
大きな違いは、視点と問いと、間です。
・視点は、中身の話ではなく、選択肢や時系列などメタです
・問いは、5W1Hではなく、感情や願望などメタです
・間は、ピットインとして1分間だけ呼吸に注意を向けるメタです
このメタ3倍ましのアプローチで、特筆すべきポイントは、コーチングの基本路線(レール)に乗っかっている感じではなく、レールの上でもハンドルを自分で握っている、委ねられていると感じられやすいということです。
それは、自己決定、自己効力、自己肯定など、高まることにより、内発的動機付けに大きな影響がありそうです。
誰だって、自分で何とかできればそれにこしたことはないですが、誰かにサポートや手伝ってもらいたい。でもサポートや手伝いされすぎるとちょっと困る。付かず離れずの適度な距離感でも、自分で何とかできるかもしれないと思えるようなコーチング、コーチに出会えるといいですよね。
最近1on1がマンネリになっている方へ、こういうメタ的コーチングは、いかがでしょうか?
このアプローチが一番いいんです!というつもりもなく、いろんなアプローチのひとつとして、1on1のバリエーションのひとつとして、ご参考までに。
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