テレビショッピングでテレビを売るためには、まずテレビをつけてもらわなくてはならない
記念すべき二回目の投稿だ。
記念すべき一回目の投稿で少し書いたが、田中泰延さんの著作「読みたいことを、書けばいい。」を読んだところ非常に面白かったので、今日はこの本について書いてみたいと思う。
が、ここで一つの難問が発生する。この本はタイトルのとおり、「どのような心構えと方法をもって文章を書くべきか」という「文章術」について書かれている。つまり、「文章術」の本を読んで、その感想を文章で伝えることになるのだ。学んだことを活かさなくてはならない。味方が取りやすいパスの仕方を学んだら、それを試合で実践しなくてはならない。つまり、これは試合だ。緊張する。
"If The Beatles or the 60's had a message, it was 'Learn to swim. And once you've learned - swim!'"
(もし、ビートルズや60年代にメッセージがあるとすれば、『泳ぎ方を学べ。学んだら、泳げ!』ということだ)
(おー、「引用」を使うとこうなるのか)
これはいま浮かんだジョン・レノンの言葉だが、ここでジョン・レノンやビートルズの話にすり替えるのはどう考えても無理があるので、別の回ですることにしておとなしく試合に戻ることにする。
まず、全体を通して随所に冗談やユーモアが交えられており、堅苦しくなく読みやすい。……という文を書いて、はたと思った。試合に戻って開始一行で気づいてしまったのだ。
本書内に書かれている個々の「スキル」や「心構え」以前に、これこそが最も重要なポイントなのではないだろうか、ということに。
前回の投稿にも書いたように、私はこの本を衝動買いした。その過程を具体的に述べるとこうなる。
①丸善に行く
②本書の表紙に目を留める
③パラパラと中をめくる
④面白そうだったので買うことにする
ちなみに、著者の田中さんは元大手広告代理店の社員で、24年間コピーライターの仕事をしていた方だ。なので、②の段階でその手腕が存分に発揮されているということなのだろう。(ここで「いかに読者の目を留めるか」について話し始めると永遠に本の内容に話が及ばないので、ここでは涙を呑んで割愛する)
ポイントは④だ。③までいくことは間々ある。が、実際にお金を払って買うことはあまりない。では今回、私はなぜ買おうと思ったのか。それが先に述べた「冗談やユーモアが交えられていて読みやすい」という点なのだ。
もちろん書かれている内容自体に興味があることが前提なのだが、同じことが科学誌の論文や第三者委員会による調査報告書のように、専門的で格式ばった文章で書かれていたのなら買うことはなかっただろう。「ネットにも同じような記事があるだろう」と手にした本を棚に戻していたはずだ。
つまり、物書きらしくメタ的に物事を捉えるのなら、「文章術」について書かれたこの本もほかの本と等しく、内容以前に「まずは読まれる必要がある」という命題を背負っているのだ。そして最初に述べたように、命題を背負った本を読んで書こうとしているこの記事も等しく命題を……まずい、頭が混乱してきた。
もともと、この本の中に書かれている「巨人の肩に乗る」という項目をピックアップして感想を書こうと思っていたので、記事のタイトルを「巨人の肩に乗るには、体と頭を使わなくてはならない」にしていたのだが、現時点ですでに1300文字を越えてしまった。本番の前に練習試合で時間切れになってしまった感がある。
仕方ないので、この記事のタイトルを「テレビショッピングでテレビを売るためには、まずテレビをつけてもらわなくてはならない」に変更して、明日こそ巨人の肩に乗る話をしようと思う。