コンプレックスをスカートで殺した
歩くコンプレックスである。
コンプレックスコンプレックスって言ってたら、シネマコンプレックスみたいでかっこいいんだけど、あの醜い感じのコンプレックス。
笑うと顔があまり可愛くなくて、ツボが浅いから笑っちゃうんだけど。
爪の形も気に入ってない。人差し指は救いようのあるけれど他はちょっと綺麗じゃない。
足がすっきりしていない。太ももが太い。昔クラスの男子に「理来って太もも太いな」と言われた。あいつ、忘れてねーからな、許すわけねーからな……。
顔と爪はもうどうしようもないと思うんだけど、足が太いのが涙枯れるくらい嫌だ。できれば足に雲かドライアイスの白いふわふわを巻いて歩きたいと思っている。孫悟空の筋斗雲、ハイウエストバージョンみたいな感じで。
東京isスーパーホット
高校までは制服がスカートで、めっちゃズボン履きたかったけどしょうがないので我慢して過ごしていた。夏はやや涼しいし、今だけだと思ってた。
大学に入ってからはジーパン一択で過ごしていたけれど、夏は非常に暑い。東京isスーパーホット。東京の夏は北海道出身者にとって、命取られるんじゃないかと思うくらい暑い。3年経った今でも毎年頭が痛くなるし、食欲がなくなる。
あまりに暑いからはじめは丈が長めのワンピースを着ていた。
でも短い丈の方がもう少し涼しくなれるのでは……とも思い始めた。
大好きな新宿のミロードを一人歩き回って、売り場のお姉さんに助けを求め、試着して、でもやっぱ足がなあ~~、と悩んだ。
悩みすぎて硬直する私をお姉さんがめちゃくちゃ褒めてくれて、「これ、サイズフリーなんで怖いものなしですよ」と一撃必殺ワードをくれた。
私はちょっと短めスカートを持ってレジに向かった。
スカート履きたいから足出すわ
次の日からそのスカートと好きなTシャツを合わせたり、そのスカートに合う服はなんだろなと考えて服を買ったりした。
思い切って友達に似合っているか聞いてみると、高評価で嬉しかった。
むむ、この気持ちは……??
今まで見せたくないと思っていたけれど、足を出したら最後、どうでも良くなってくる。私が好きな服を好きなように着ていることに、誰も文句は言わないし、好きな服ってだけでかなり楽しい。
そのスカートは現在私の中でヘビロテポジションに君臨し、あの試着室で悩む私の背中を押してくれたお姉さんは私のスカート人生を拓いてくださった神様だと思っている。
以前は足なんて見せたくなくて、コンプレックスを隠したくてどうしようもなかったけれどそれをスカートで無くす、殺すことができた。
もっときれいな足になりたいなと思うけれど、前みたいにコンプレックスを感じない。気になるけど、スカート履きたいから足出すわ、みたいな感じ。
コンプレックス、逆にコンプレックスを晒して撲滅できる説。
ちょろい女子大生の川添理来です。