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#24 優秀なベトナム人を探す|日本語通訳者の見つけ方
■このマガジンについて
ベトナムにネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。
でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。
全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。
だって、毎日楽しいんだもの。
■私が求めていたのは日本語が話せるベトナム人
優秀なネイリストは難なく見つけることができた私だったが、日本語通訳者はすぐ見つからず、ぎりぎりまで決まらなかった。
私が求めていた日本語が話せる人材
・私は日本からベトナムにあるネイルサロンの遠隔経営が前提だったので、Skypeを使ったチャットでやり取りができる。
・私がベトナムに出張に行った際、毎回ミーティングをする。その時の日本語をベトナム語に通訳してスタッフに伝えられる。
・日本人のお客様の要望(ネイルの色・デザイン)を聞き、ネイリストに伝えられる。
・日本人のお客様がネイルをしている間、話し相手になれる。
求めている能力は日本語能力試験N3以上になってくる。
しかし、コネなし、金なし、経験なしだった当時の私。
支払える給料額と求める能力が全く見合っていなかった。
日本語能力試験とは
日本語能力試験は、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し認定する試験として、国際交流基金と日本国際教育支援協会が1984 年に開始した試験のこと。国内48都道府県はもちろん、海外85の国と地域、249都市で受験できる世界最大規模の日本語の試験。
日本語能力試験にはN1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルがあり、一番やさしいレベルがN5で、一番むずかしいレベルがN1です。
N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
読む:日常的な話題について書かれた具体的な内容を読んで理解できる。
聞く:日常的な場面で、やや自然に近いスピードの会話を聞き、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。
N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使う日本語をある程度理解することができる。
読む:一般的な話題に関する読物を読み、話の流れや表現意図を理解できる。
聞く:日常に加え幅広い場面で、自然に近いスピードのまとまりある会話やニュースを聞き、話の流や内容、登場人物の関係を理解し、要旨を把握することができる。
日本語スタッフのお給料予算は、当時30,000円だった。
この金額で働いてくれるのはおそらくN4もしくはそれ以下だろう。
でも、私は遠隔経営が大前提。どうしてもN3以上の能力が欲しかった。
ないものねだりもいいところだ。
当然、求めている能力を持つ人材はなかなか見つからなかった。
■ベトナム人日本語通訳者を探すのに模索し、苦労した
■■友人に頼る■■
まずは日本に住んでいるベトナム人の友達の友達がホーチミンで日本語の仕事をしたいと聞き、面接をした。
彼女の友達はN3を持っていた。
彼女がホーチミンに来た時、彼女と彼女の友人、私の3人が集まり、面接をした。
しかし、希望するお給料の金額が合わず見送る事になった。
見送った理由
・今暮らしている田舎からホーチミンに引っ越しが必要。
・引っ越しして、ホーチミンで一人暮らしするには、給料が少なかった。
・かつて日本で働いた経験があり、社会経験も豊富な彼女には給料が見合わなかった。
インプットしたこと
・20代の若い人材に絞り育てよう(そうでないと給料が合わない)
・現在ホーチミン市在住の人材に絞ろう(引っ越ししなくていい)
■■現在一緒にサロン作りをしてくれているベトナム人に頼む■■
私が日本に帰国中、ベトナムでサロンオープンに向けて手伝ってくれているタンくんに、ダメ元で「マネージャー兼日本語スタッフとして働いてくれませんか?」と聞いてみた。
彼はN2を持っている。さすがに給料は上げて提示したが、断られる結果になった。
タンくんからの返事↓
この頃のタンくんは、当時の彼女との将来やベトナムでの仕事と生活を色々考えている途中だった。
彼は私の誘いを断るのに相当困ったと思う。
いくら、焦ってたとはいえ、雑な誘い方をしてしまった事を今も反省している。
インプットしたこと
・答えを急ぎすぎて雑な対応をしたらだめ(自分も相手もつらい)
・日本に住んでいた・働いた経験がある人材は今の店には見合わない。
(もっと経験を積んで、お店が成長してからそういう人材を入れよう)
■■求人募集をする■■
私の恩人で、サロンオープンの為に諸々の手続きを手伝ってくれているゴックさんに相談した。
彼女は求人募集をかけてくれ、おおよそ5,6名からの連絡が来た。
エントリーしてくれた方のCV(履歴書)↓
履歴書を見て、私が面接するかどうかセレクトしていると、ゴックは私にこう言った。
ゴック:優子さん、CVを見ただけではその人のことはわかりませんよ。
私:うーん。でもN3以上を持っている人じゃないと、難しいと思うから、N4の人はやっても意味ないと思う。
ゴック:いいえ。N4でも優秀な人はいます。全員と会ってください。
そして私は全員と面接することにした。
その後、彼女の言う通り、履歴書だけで判断してはいけないと身を持って感じた。
なぜ面接しないとダメだと思ったのか
・履歴書に「ベトナムの日系企業で2年働いた」と書いてあっても、実際に会話をすると、ほとんど話の内容を理解できない子がいた。
・N4だが、日本食のレストランで1ヶ月のアルバイト経験がある子がいた。彼女は、コミュニケーション能力も日本語の理解能力も高かった。
・恥ずかしがり屋で自分から話すのが苦手な子より、明るくて笑顔が素敵な子が、つたない日本語を一生懸命話す姿の方が好感が持てた。(これは会って話さないとわからないし、日本語レベル云々じゃない)
さすが、ゴックさん。
彼女は「書類や肩書以外の面も見るべきだ」と教えてくれていたのだ。
それから私はベトナムに出張に行く度に面接を重ね、ねばりにねばった。
そして、初期のベトナム人日本語スタッフはオープン2日前に決まった。
働くことが決まったLyさん(リー)はN3を持っていて、日本語と英語が話せた。
彼女は、ユーモアがありとても楽しい雰囲気を持った女性だ。
しかし、できたてホヤホヤ、まだお客様が少ない私のお店で働くのは優秀な彼女にとって、退屈だったようだ。
結局彼女はお店オープンの2ヶ月後に退職してしまった。
インプットしたこと
・向上心、能力のある人材はスタートしたばかりのお店にとって宝の持ち腐れになる可能性がある(もっと頑張って成長させよう)
・お客様がいない時でも、スタッフを退屈させないように色々考えねば...。
・離職するのは仕方がない。でも、サイクルが早くても上手く回る仕組みを考えよう。
■優秀な日本語通訳者を途切れなく見つけるために私が選んだ方法
以前にも書いたが、ベトナム人は一つの職場にずっと長く勤めるより「自分はここで勉強し尽くした」「これ以上向上できない」と感じたら次の職場に転職することが多い。
また、「転職をする度に、ステップアップしてより良い暮らしをしたい」とも考えているし、いい条件の場所が見つかれば、すぐに辞める決断力もある。
一番最初に働いてくれた日本語通訳者のリーさんの退職後、私は大慌てで過去に面接した子たちに連絡しまくった。
しかし「すでに他の職が決まった」「田舎に帰った」などタイミングがずれたため、全員別の職場が決まっていた。
N3にこだわっていた私だったが、不満など言っていられない。
N4レベルの日本語が話せる人材を探し、すぐに働いてもらった。
がその後も、なかなか安定しない日本語通訳者たち。
「ネイリストは安定してきたのに、なぜ日本語通訳のスタッフは安定しないのか?」私なりに色々考えた。
私のお店で日本語通訳のスタッフはなぜ安定しない?
・日系のサロンに勤めて日本人と仕事ができると思っていたのに、働いてみると、skypeでの会話が多く、つまらないのでは?
・私が出す日本語の指示を、ベトナム人ネイリストに伝達する時、言い難いことも伝えなければならないのがストレスに感じたのでは?
・私がチャットで書く日本語の文章が、日本人独特の言い回しが多く、読解が難しすぎたのでは?
・ネイリストと専門的な会話を通訳するのが難しいと感じたのでは?
私は、日本↔ベトナムのリモート経営。
彼女たちは、私に言いたい事があれば、わざわざ文章にして送らないといけない。
それらは、「働きにくい」と感じる要因だったのではないだろうか。
日本語通訳のスタッフが4人ほど辞めたあたりで、私はフルタイムのスタッフを諦めてみた。
つまりアルバイトで日本語通訳できるスタッフを雇うことにしたのだ。
アルバイトに切り替えた理由
・3人くらいアルバイトで雇って、いつ人が抜けてもお店が回る仕組みにしたほうがいい。
・一人に負担をかけて消耗させるのは良くない(自分にとっても良くない)
毎日同じスタッフのほうが、遠隔経営する上で話もスムーズに進む。
私の負担を考えたら、フルタイムで働いてもらった方が断然楽だ。
私が日本語スタッフをアルバイトにすることで増える負担
・3人いたら、3人に同じ事を話さなければならない。
・1つの説明で理解できるとは限らない。3通りにアレンジして説明が必要。
私は、日本語学科のあるホーチミン市内の大学でアルバイト募集をかけることにした。
日本語学科で学ぶベトナム人大学生達は、N2の試験を合格しなければ卒業できない(大学による)
2回生で、N3を持っている学生も多く、面接をすると非常に日本語能力が高かった。
また、日本人と話ができるアルバイト先を探している子が多く、私達はスタッフはすぐに見つけることができた。
日本語学科で学ぶ大学生のアルバイトを雇ってよかった事
・日本語に少しでも多く触れたいと、会話に積極的。
・知らない言い回しや単語があると、すぐに質問してきてマスターする能力がある。
・働くことで、学業にも役に立つのでイキイキしている。
・辞める時、同じ大学の友達や後輩を誘ってくれるので、スタッフ探しに困らない。
・友達同士で、話を共有してくれた。またノートを作って私が伝えた言葉を共有するようにしてくれた。(私の伝えることの負担が軽減された)
大学生アルバイト達のおかげで、日本↔ベトナムのリモート経営の負担が軽くなった。
彼女たちは卒業後、日系の一流企業に通訳者として務めていたり、日本の大学院に編入したりと進路はさまざまだ。
日本の大学に編入した子たちとは、大阪で食事に行ったこともあったなぁ。
他の子たちとも未だに交流があり、私が作ったお店「KawaiiNail&Eyelash」の事を外から応援してくれている。
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