見出し画像

# 20日本↔ベトナム|遠隔で開業準備をする

■このマガジンについて


ベトナムホーチミン市にネイルサロンをオープンしたのは、2016年8月。
フリーフォトグラファーとして日本で気ままにやってきた私が、ベトナムで1からお店を作って、スタッフを持つなんて考えた事がありませんでした。
でも、あるとき海外でチャレンジしたい病にかかってしまったのです。
それからは、新鮮で刺激の多い日々...。

全てが初めてでどれも大変な作業の連続。落ち込む事も多いけれど喜びの方が多いんです。
だって、毎日楽しいんだもの。


■遠隔で開業準備を進めるぞ!

画像1

ベトナムホーチミン市 42Nguyen Hue(グエン・フエ)アパート。
このアパートはサクセスストーリーが生まれる場所と言われている。

この場所に一目惚れした私は、ここでネイルサロンを作り、日本から遠隔経営をする為の準備を進めていた。


■監視カメラ


私は日本にいながら、ベトナムのお店の様子が確認出来る、監視カメラを探していた。

日本でなら簡単にみつかるんだけど、設置したい場所はホーチミン。
ベトナム語で「監視カメラ」と検索してみたが、欲しい情報を何一つ見つけることが出来ずにいた。

しびれを切らした私は、サロンオープンを色々手伝ってくれているタンくんに相談してみることに。
すると「Yoosee」というweb cameraを彼の友達が販売しているらしく、欲しかった情報がすぐ見つかった。

国内の情報は手に入りやすいけれど、国外になると一気に受け取れる情報が減る。

web検索して得る情報より、近くのベトナム人に聞いたほうが欲しい情報が見つかることが多く、協力してくれる仲間がいるととても心強かった。
(ベトナム人同士のネットワークは想像以上に広く、濃いよ)

画像2

ちなみに、今現在もベトナム人とチャットする時に使うアプリはzaloもしくはviber。
これらは、日本でいうLINEのようなSMSアプリだ。

Zalo(ザロ)
ベトナム発、ベトナムで最も使われているメッセージングアプリ(SMS)です。全世界で1億人を超えるオンラインユーザーがいて、そのうちのほとんどのユーザーはベトナム人です。

viber(バイバー)
世界で8億人以上が使用している無料通話&メッセージアプリです。
Zaloが浸透する前のベトナムではみんなviberを使っていた印象です。

私の店で導入したYooseeは、SDカードで直近の3日分の映像が記録でき、店内を消灯しても、赤外線の照射をとらえて夜間でも明るく撮影できる優れものだ。

搭載機能によって金額は変わるが、高い機種で900,000vnd(約4,500円)
日本↔ベトナム間を遠隔で経営するのに、このカメラはめちゃくちゃ役立った。
コスパが良すぎて驚く。

Yooseeでできること
・ネットがつながるところなら、日本とベトナム間でも問題なくつながる
・スマホやpcからリアルタイムで見れる(数秒の差はある)
・カメラにマイクが付いているので、現場の音声を聞くことができる
・アプリにもマイクボタンがあり、こちらから話すこともできる
・電気を消灯しても赤外線で映像が見れる(防犯に強いね!)
・SDカードに直近の3日分映像が記録できる
・カメラの方向をアプリ内で動かして広範囲を確認できる
(水平:355度 垂直:120度)
私がYoosee(webカメラ)を導入して感じた魅力
・カメラをリアルタイムで見れるので、店内確認に役立つ
・店内にいると自分の視野が限られるが、俯瞰映像だと状況判断しやすい
・いつでも繋がれる安心感を感じる
・大幅なコストダウン
・自分がどこで仕事をしていても、すきま時間を使って確認と指示ができる
・日本からの遠隔経営は心配もあったが、このカメラのおかげでかなり不安が軽減された。

画像6

画像7


物件契約


42グエン・フエアパートで1つの物件を契約したが、その後すぐに隣部屋も借りれると情報が入った。

私は2部屋借りたいと、帰国してすぐから契約までの準備を進めた。

ベトナムに行くことが出来なかった期間はあったが、タンくんのおかげで無事に契約は完了した。

オーナーのHai(ハイ)さん夫婦とタンくんが契約書を確認している様子。

画像6

私はようやく2物件の契約ができた。

ベトナムホーチミン市で、ネイルサロンを作りたいと思い立ち、7ヶ月が経っていた。


お店のイメージ完成!


自分で行った物件部屋の採寸を元に、図面を作ってもらった。
そして私は、自分が「素敵だな」と思う店舗イメージをたくさん集めた。

集めたイメージを元に、空間デザイナーさんと打ち合わせをしながら、ラフスケッチを描いてまとめていく。

画像10

そこから、1週間という短期間で具体的に空間デザインを仕上げ......
数日後、店舗イメージのCGパースが上がってきた。

CGパースとは
「コンピューター・グラフィック・パース」の略称のことです。
図面だけでは分かりにくい住宅の完成予想図をパソコンに取り入れることによって、分かりやすく視覚化したもののことを指します。 


これがその時に作ったCGパース。
私はこれを見た途端「や、やべえ。めちゃくちゃ好きな雰囲気だ」と感動した。

画像7

画像8

ちなみに、日本では広告のカメラマンをしている私。
このパースを見て思うことがあった。

このCGパースを見たプロのフォトグラファーの私が思ったこと
・具体的な完成絵が見れて嬉しい!
・CGってここまでできるようになったのか....。
・近々、空間系の撮影仕事はCG業界に駆逐されるな...。
・いずれはCGが苦手な人間の肌や表情、形のはっきりしない布のディティールまでも再現するようになるかもな(2021年現在、そうなったね)

写真は実在しているものしか写せないし、その場に居ないと撮れないもの。
実在していない空間を目で確認できるなんてすごい時代だね。


■家具のデザインを決める


デザイナーさんは、私がイメージしていた家具もCGで作って、このパースに入れ込んでくださった。

そしてこれらの家具は、全てベトナムでオーダーメイド制作をした。
想像している家具達が空間にぴったりだと視覚で理解できてとてもいい。

上段:オーダーして出来上がった家具の写真(私が撮影)
下段:CGパース

スクリーンショット 2021-08-01 17.12.47

【【【 家具も空間の雰囲気にばっちりじゃん!】】】

ベトナムでは、ほしい家具をオーダーメイドするほうが安い?
ベトナム人は木工が得意です。
オーダーカーテン屋では、カーテン生地以外に家具の張替え生地が売っています。店舗には椅子のサンプルも置いてあり、セミオーダーで生地を自分が選んでオーダーできます。詳細な写真や寸法が分かる資料があれば、1から家具を作ってくれる店舗もあります。
日本で家具をオーダーするとお値段が張りますが、ベトナムでは輸入品のほうが高かったりします。オーダーメイドしたほうが安いなんて夢のよう!
ちなみに、ニトリで売っている家具もベトナム製が多くあります。


■サロンの名前決定

お店の名前は、カワイイ(Kawaii)っていう言葉をどうしても入れたくて、[Kawaii Nail]という名前に決定した。

「カワイイ」は現代の日本人が最もよく使う言葉の一つ。
昔からある言葉だけど、最近はもっと広い範囲の意味に使われて、日本文化を象徴する概念になっている。

赤ちゃんや子供のみならず、ファッション、アート、食べ物、その場の雰囲気までも「カワイイ」と表現しているこの言葉。

cute , sweet , adorable , lovely , charming , pretty , cutie...
英単語はこれだけ言葉があっても、日本では全部ひっくるめて「カワイイ」で完了する。
だから、私は「Kawaii」をお店の名前に入れたかった。

それに私のサロンは、ベトナムという異国で知名度0から始める。
世界中の人に通じる日本語を名前に入れたかった。

世界で通じる日本語単語
Kawaii・Tsunami・Karaoke・Origami・Anime・Samurai・Otaku......

こういうのを調べたりもした。
世界で通じる日本語単語は100単語以上あったが、ネイルサロンなら「Kawaii」一択だ。

「カワイイネイル」という店名、個人的にはめちゃくちゃ分かりやすいから気に入っている。
が、ある人は「名前がダサい!フランス語とかのほうがおしゃれだよ」とアドバイスをもらった事があった。

提案された一例
Pureté:ピュルテ (純粋)
Majesté:マジェステ (壮大)

でも私は「絶対、カワイイネイルにする!」と曲げなかった。
まず何屋かわからない名前はいくらおしゃれでも使いたくなかった。
だから「ネイル」をいれるのはマストな条件。

このサロンはベトナムにつくる。まずはネイルサロンであることがわからない店舗名は意味ないと思っていた。

KawaiiNailにして正解だった話
カワイイネイルがオープンして2ヶ月経った頃、一人の日本人女性が店に来てくれた。彼女は旅行ガイドブックをディレクションしている方で、観光客が多く訪れるこのアパートへ調査に来ていたそうだ。一通り見た後、KawaiiNailの看板を見つけ「あれ?このネーミングは日系かな?」と思いわざわざ戻ってきてくれたそう。そしてお店を見てぜひ紹介したいと、旅行ガイドブックに掲載してもらえることになった。


■ロゴを発注する


「KawaiiNailという名前で行こう!」と決めて自分でロゴを作ってみたが...。

画像8

これは失敗。
自分のイメージに対し、作ったロゴが全くしっくりこなかった。


そして、プロにお願いして作ってもらった。

画像9

デザイナーさんはいくつかのロゴを提案してくれて、ひと目で気に入ったのがこれ。

色の設定も、フォントも、全体のバランスも言うこと無し。

私のような素人には、とうていかなわない、質のよい仕事をしてくださり感謝している。


■まとめ

日本から遠隔経営するための準備でインプットしたこと
・調べて分からないことは現地人に聞くのがいい
・ベトナム人が持っている友達ネットワークは広い
・日本にいても、ベトナムで動いてくれるパートナーがいると心強い
・webカメラを導入したら自分にとってかなり働きやすくなる
・空間デザインの図面を見てもさっぱり解らないが、CGパースがあるととてもイメージしやすく、次の行動に移しやすい
・ベトナムで家具のオーダーメイドするのはマジおすすめ
・店名はどこで展開するにもよるが、初手は分かりやすいほうがいい
・自分で何でもするのは良くない。ここぞという物はプロに任せよう。

あれから、5年経った。

遠隔経営を長くやってきたのもあり、せっかちだった私の性格も前に比べてどっしり型に変わってきた。

振り返って思うのは「遠隔なので進みは遅いけれど、着実に一歩ずつ進めよう。必ず完了するよ」ってこと。

あの頃の猪突猛進の私に伝えたい(笑


この記事が参加している募集

読んでくださってとっても嬉しいです! いただいたサポートは色々な発信ができるよう勉強に使わせていただきます。