骨折の保存療法について 圧迫骨折を中心に

さて、今週も金曜日を迎え、1週間が終わりましたね。


今日は、骨折の治療について話したいと思います。


以前、骨折した場合は、手術適応となることが多く、まずは、手術による炎症管理を徹底しましょうという話をしたと思います。

術後のリハビリ戦略について

https://note.com/nichireha_juku/n/n06376b685431



しかしながら、骨折でも保存療法となる場合があります。
 
 



心機能の低下などによって手術が難しい場合がありますし、部位によっては、そもそも手術適応とならない骨折もあります。


この場合は、骨折の程度にもよりますが、骨折部の治癒が難しいことや廃用による機能低下によって予後が悪くなることが多いです。
 



また、骨折部の転位が無い場合等も保存療法が適応となる場合があります。
 



骨折の保存療法の最優先事項は、


骨の癒合


です。


ここはドクターとも連携して、治療・リハビリ介入を行いましょう。


いつから動かしていいか、いつから荷重していいかなど、安静度

必ずドクターからの指示をもらい、それに乗っ取ったリハビリを行いましょう。


さて仮に骨折で、転移がない、心臓の機能が低下しているなどで

保存療法が選択された場合をリハビリ的な視点で考えてみましょう。


 
橈骨遠位端骨折や上腕骨近位部骨折であれば、固定しながら日常生活を送り、骨の癒合が十分となってからリハビリしていけそうですよね。


しかし、大腿骨近位部骨折の場合はどうでしょう?


難しそうですよね。


そもそも、大腿骨近位部骨折なんて、高齢者の転倒で起きる場合が多いので、高齢者が固定しながら日常生活を送るというのは、かなり困難となることが予想できます。


そのため、ベッド上安静が長引き、廃用が進み、予後が悪くなることが多いです。



 
話が少し逸れましたが、骨折の保存療法においてのオーソドックスな治療戦略を見ていきましょう。


先ほども言った通り、まずは骨が治るのを待ち、関節可動や荷重に耐えられるようになるのを待ちましょう。

この時にドクターには逐一指示の確認をしましょう。


そして、その間は、固定の影響による

他部位の拘縮予防や他部位の筋力を維持させるような訓練

をしましょう。


逆に言うと、骨が治るまでは、それぐらいしかできません。


似たような状況として、半月板の術後の免荷時期が挙げられますが、


半月板の術後に関しては、骨折とは違い、免荷中に考えなけらばならないこと、行っておいた方が良いリハビリの内容が多いので、また改めて記事にします。


少し話が逸れましたが、今日の本題に参りましょう。


今日のテーマは圧迫骨折の治療についてです。 



同じ骨折の保存療法でも、圧迫骨折はまた少し特殊です。
 
 
 
他の骨折の場合は、基本手術が第一選択となる場合が多いですが、圧迫骨折は第一選択が保存療法となる場合が多いです。
 
 
そのため、手術が行えず保存になった場合予後が悪くなるケースが多いといいましたが、圧迫骨折はほかの骨折に比べ、必ずしも保存療法のせいで予後が悪くなるとは限りません。
 
 
 
さて、圧迫骨折の治療方針について話す前に、先行研究ではどういわれているのかざっくり話します。


 
端的に申し上げると、

早期離床を推奨する文献もあれば、安静を推奨する文献もあります。
 
 
なので、ここからは私の臨床的な視点と、先行研究における研究内容の統合という形で、語らせていただきます。


 
 
圧迫骨折も同じように骨折の保存療法になるので、骨の癒合を優先した方が良いと個人的には思います。
 
 
もちろん、安静にしている間も廃用という新たな問題を生むことを考えて早期に離床を推奨する方もいると思います。
 
 
どちらが正解かどうかは今のところ研究レベルでもわかっていないのが現状です。
 
 
 
私が圧迫骨折を見る際には
 
 
疼痛の強い時期においては、

骨折部の安静を取れるような動作の指導、

後弯姿勢を軽減させるために膝関節の伸展制限の解除など


をベッド上で行います。


例えば、丸太様の寝返りやbed upを用いた起き上がり、

膝関節周囲の軟部組織のモビライゼーションやROM-exなどです。

腓腹筋のストレッチなどもいいと思います。

しかし、ハムのストレッチや股関節のROM-exに関しては、伸張に行う方が良いと思います。

なぜなら、股関節の運動を介して、脊椎の運動も伴ってしまうと、疼痛を増加させる要因となるケースがあるからです。


 
 
そして、最低でもコルセットが出来るまでは積極的な離床はしないことが多いです。
 
 
コルセットが完成し、疼痛軽減、レントゲンで骨折部の治癒が進んだことをドクターに確認してもらったら、在宅で生活出来るように機能訓練、動作練習を行います。
 

圧迫骨折の主症状としては、


疼痛


がメインですので、究極、疼痛が消えるだけで、動作レベルが向上するケースも珍しくありません。


ですが、骨折による脊椎の可動域制限や廃用による下肢の可動域制限や筋力低下が起きるケースも少なくありません。


そのため、骨折部の上下の椎間関節を中心とした、脊椎の可動域向上や、腹横筋や僧帽筋下部といった、脊椎を伸展位で保持するための筋力向上は必要となります。


圧迫骨折から、椎間関節性疼痛や筋筋膜性疼痛等に移行するケースが多いため、骨折部の疼痛が消えてからの機能訓練はかなり重要だとわたしは考えています。




今回の圧迫骨折の見方については、患者個人のレベルや骨折の程度・部位などによっても変わるので、私も一概にすべてこの考えで治療をしているわけではありません。

しかし、この考えを軸に治療を行ってはいます。
 
 
皆さんも様々な文献を見たり、研究を行って見解が述べられるようになったら、教えてください。



【次回予告】

次回は、3連続での長編を予定しています。

内容は、今回も少し出てきた、腰痛や肩関節周囲炎や膝OAのリハビリの戦略についてです。

1本にまとめるには、ボリュームがありすぎるため、3本に分けます。

初回は6月中旬を予定しています。


よろしくお願いします。

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