見出し画像

自分だけの舟

久々に読んだ物語がある。
と言っても活字では無いし、いわゆるネットで読める漫画なんだけれども。

初めてその物語を呼んだのは大学生の頃だった気がする。
丁度何もやることがなくて(あったのかもしれないけど)、時間をもてあましていたところ、その当時一つだけスマホに入れていた無料の漫画アプリで読んだ作品に、私は猛烈に惹かれて、飛び込んで、登場人物それぞれと心を共にした。

たまたま今日はその作品を思い出したので、まだ掲載されているのかと検索し読んでみた。

「あぁ、これだ」

こういう感覚になるのは久しぶりだ。それこそ、以前この作品を読んだ時以来かもしれない。物事を諦めたくなったあの頃、人が人として扱われるために自分にできることは何か、勉強することとその楽しさ。
知らないものが「分かる」ようになる感覚。
分かることは「分ける」ことで、相手や周りのものへの理解が深まることとは別物だということ。
知らぬ間に生まれる偏見と差別。
得体の知れないものに触れた時の不安と高揚。
ヒトとの関わり方や自分との向き合い方。

そういった、私が知り得なかったこと、知りたいと思っていたこと、知った気になっていたこと。諸々の全てを詰め込んだような作品だった。

しばらくの間感じることのなかった、奥から湧き出るふつふつとした感情は、何を書こうかと悩んで文字を打つことが出来なかったこのnoteにタイピングする活力をも生み出してくれた。

やっぱり本が好きだ。
物語が好きだ。

誰とも比べる必要のない、比べられるわけもない、私自身との対話の話だ。

そのきっかけをくれるのはいつだって物語だった。

思い出せた今日の自分に感謝しようと思う。
きっと今夜はいい夢をみるよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?