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アスファルト大根

散歩をしていると道の端のアスファルトから葉っぱらしきものが出ている。
近づいて見てみると大根ぽい。
まだまだ小さいが完全に大根。
たまにニュースとかで見る通称ど根性大根だ。
アスファルと突き破って出てくるこのパワー凄いなと思って写真に撮ったが抜くことはしなかった。

そこから一ヶ月後久しぶりに見に行ってみると収穫サイズぐらいまで成長している。しかもその横には誰かがど根性大根とポップを作って飾ってあった。
どうやら有名になったらしい。

数日後テレビで取り上げるまでになっていた。
それを受けてか色んな人がその大根を見に訪れ、少しこの町の経済も潤った。

そして一ヶ月が経ちまたその大根を見に行くと成人男性ぐらいの太さに成長。
またその一ヶ月後、お相撲さんぐらいデカくなっていた。
流石にデカくなりすぎて怖くなった町の人たちは専門家の人を呼んで調べることにした。
専門家の人はこの大根を見るなり、こんな大根は見たことがないと驚き、研究がしたいと言い始めた。何のことかわからないのでOKを出すと次の日から大根の周りにテントが建てられ大勢の研究者が大根を調べ始めた。

この大騒動に世界中の注目を浴び、連日ニュースでも取り上げられるようになった。
そんな中でも大根は成長し始めて現在一軒家ぐらい太い大根になった。

流石に町の人たちもこの異様な大根が不気味に思え、早く抜いてくれと呼びかけたが研究者はそれを断り続けた。

大根まだまだ成長中、いよいよ近くにあった家まで巻き込んできた。
我慢出来なくなった町の人たちは火を持って大根を燃やそうとした。
それを見た研究者が止めて仕方なく引っこ抜くことにした。

とりあえず紐を括り付けて引っ張ってみたがびくともしない。
ヘリコプターで持ち上げようとしたがそれも無理。

大根は成長中。

そんな中ふと思った。今見えているのは大根の葉っぱとちょっと出た身の部分。
この下は一体どこまで続いているのかと…実は地球の反対側まで貫通してひっこぬけた時、地球は…

あの時、早めに引っこ抜いておけばこんなことにはならなかったのに。


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