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【読書】美大式ビジネスパーソンのデザイン入門〜稲葉裕美〜

この本での一番の学びは、"アートとデザインは異なる"ということ。

アートは主観的、デザインは客観的。
デザインには法則のようなものがある。
だから、"誰にでも学べて、同じ基準で話すことができるもの"なんです。

このnoteでは、本の内容で大事だなと思った部分を要約しつつ、
私たちの生活に応用していけそうなことをまとめてみます。

センスやデザインの力をもっとみんなで磨くことで、
見づらい、やりづらい…など負の感情ではなく、
人間にとって優しい、素敵…といい気持ちで生活できる場所が増えたらな

と、思っています。

長文になってしまったので、気になるところだけ読んでください🙏


なぜ、"いいデザイン"の意見が一致しないのか?

デザインの議論がうまくいかないワケ


多数決で勝った方がいいデザイン?
見る人や最終決定者にとっての好き、嫌い?

この本では、デザイン会社でのデザインの決め方を例に説明。
デザインも、他のビジネスの決め方と同じように、
理由とともに議論できるものだとしています。

デザイン専門外の会社で、デザインをうまく決められないのは、
デザインに関する経験や知識が不足しており、
みんなが同じような基準をもとに話し合えないから
だそうです。


目的にあった感じ方の計画=いいデザイン


デザインの感じ方は人間の中でおおよそ共通するものがあり、
(例えば、色や形がそう!赤だと危ない、青や緑だとリラックスのように)
その感じ方を計画するのがデザインとも言い換えられます。

国や文化によって、感じ方に若干の違いが出ることはありますが。

そのため、デザインを用いて何を伝えたいか、どう感じてほしいか、
そのような「目的」に合わせて「計画されたデザイン」が、
いいデザインと言えるそう。

ビジネスの他の分野とも、変わらないのではないでしょうか。

デザインの力を磨くには?


では、私たちデザイナーではない人が、
どうしたらデザインの力を磨くことができるのでしょうか。

この本では、次の2つの方法が紹介されています。

  1. デザインを見ること(see(見えている)ではなく、look(注意して見る))

  2. デザインを言語化すること

①デザインを見る

突然ですが、いつも行く場所の、壁や床の色、椅子や机のこと、思い出せますか?



思い出しタイム…



思い出せましたか?

多くのデザイナーの方は、この質問にすぐ答えられるそうです。
いつも、デザインをしっかりと見て意識的に考えているんですね。

私はよく、観察力すごいね、と周りの友達や大人に言われるのですが、
なんとなくは思い出せても、その素材や配置や木の節目や高さ大きさなど…
細かいところまでは、しっかりと思い出せませんでした💦

そういえば、私のよく行くカフェで、こんな会話を聞きました。

「このスピーカーすごい形!音もいいし、デザインも!ワンダフォーだね!」

ある外国人観光客の方がお店の方にお店を出る時に伝えていたこと。
音楽にすごい興味を持っている人たちだったのかも…?
実際、お店の方曰く、そのスピーカーがもっともお金がかかった備品とか😳

今考えると、これって、
普段から意識して見ているものの違い!?
そのものじゃん、って思います。

他のお客さんの中にも、床のタイルの色が可愛らしくて好きだとか、
カウンターのテーブルが一枚板でかっこいいとか、
見えている人には見えている、本当に見るって、こういうことなのかと思います。

程度の違いはそれぞれだと思いますが、見える人には意識的に見えているのです。

②デザインを言語化する

実際、今話したようなデザインを自分の中で感じられるようになっても、
感じていることをそのまま人に話すのって難しいですよね。

デザインは、感じ方を計画すること。
と、最初の方に説明しました。

デザインの感じ方をどうしたら一緒にビジネスをしている人と共有できるか

コミュニケーションを取る方法は、いろいろですが、
より多くの人とデザインについて話すなら、
やはり、「言語」としてデザインを表現することが必要。

①でデザインを見るようになったら、次にするのは、言語化ですね。

例えば、

こういう色だから心地よい。
この素材だから、上質さがある。
異なる曲線が要所要所に用いられていて、合理的かつ柔らかな感覚がある。

こんな感じでしょうか。

そのデザインを言語化して、私たちにどのような感じ方をさせるのかを、
また言語として表してみる

このような積み重ねによって、感じ方を言語で表すことができ、
ある目的の感じ方を人にさせるためには、どのようなデザインが適切なのか、
と、いいデザインの議論ができるようになっていくのです。


デザインを身につけるには、
デザインを見ることと、言語化することがまずは大事!!


それでも、デザインってよくわからない?

ここからは、デザイナーとビジネスというテーマ。
個人のデザインというよりかは、デザイナーという人材を、
ビジネスの中でどのように捉え、活かすことができるのか、という話です。


デザイナーとビジネスパーソンの違い

デザイナーとビジネスパーソンの持つ力、考え方の違い。
それは、分割して理解するか、包括的に考えるか、の違いと言えるそうです。

ビジネスは大きくなるにつれ、どんどん縦割りになっていきます。
また、人に伝えるときも、1つ目は、2つ目は…と分割して伝えますよね?
このように、分割して理解する、ことにビジネスパーソンは長けていくのではないでしょうか。

一方で、デザイナーは、常に広く考えるそうです。

例えば、新しい商品を作る時。
商品の色や形をデザインするだけでなく、
使う人、マーケティング、工学的なこと、そこまで考えてデザインしているそう。

あるデザインをした時に、周りにどのような影響を与えるのか、
分割ではなく包括的に捉えているんですね。


デザイナーをビジネス的に捉えるとどうなるか

すごい丁寧ですね。
ビジネスパーソンの分割理解という前提を理解した上で、
「デザイナー」をビジネス的な「分割で捉える方法」を教えてくれるなんて。

というわけで、デザイナーの強みを分割すると、こうなるそうです。
・視覚から情報を伝えること
・感性的価値を生むこと
・人間中心で考えること

・視覚から情報を伝えること
これは、人間は視覚情報が8割ということに基づいています。
スタバのフラペチーノの広告がいい例ですね。

・感性的価値を生むこと
合理的であることも大事だけれど、感性の部分も大事にする。
美しさや、感情が動かされること、文化的な意味などもデザインの一つです。

・人間中心で考えること
人間はどのようなものを求めるのか、どのように生きていくのが良いのか、
そのような問いを常に持ち続けてデザインをする。
人間の体験や社会全体をよりよくするとは、人間を考えることでもありますね。


ビジネスにデザインの力を活かす方法

最後に、デザインをビジネスに取り入れる方法について。

このように、デザインは、分割できるものではないので、
「ビジネスのこの領域だけにデザインの力を活かす」
というのは、もったいないし、難しい。

大きい話と、細かい話をします。

大きい話
ビジネス全体に、デザイナーの強み(視覚情報、感性的、人間中心)
を取り入れたい場合。

リーダーとして活躍できるデザイナーと経営者が二人三脚でビジネスを行う
のが良いと書かれています。

この場合、経営者はデザインの基礎を知っていて、デザイナーのアウトプットを
判断できる力を持っていれば、自身がデザイナーとならなくても、
デザイン的経営をすることができます。

細かい話
〇〇(領域)デザイナーと一緒に仕事をする場合。
具体的にこうしてほしいというコミュニケーションを取るのではなく、
目的ドリブンで話を進めることが大切です。

デザイナーは包括的な見方をした上で、具体的なデザインに落とし込む。

だから、ビジネスパーソンは、デザイナーに目的を共有した上で、
そのデザインによってどのような感じ方をしてほしいと考えているのか。
そのようなデザイナーの力を活かせるような分業、共有の仕方をしましょう。

まとめ

お店の電気などテーマを絞ってみてもいいかも!


デザインは、誰でも学ぶことができます。
デザインを知ると、デザイナーの力もより活かすことができ、
デザインの良し悪しをより的確に判断できるようになります。

デザインを知るためには、一定以上のインプット、
日常的にデザインを見て、言語化していくことが必要です。

身の回りにある小さなものから、
デザインのことについて、他人と共有することが一番近道なのかも、
と思ったので、少しずつ、始めてみます。

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