商売はやっぱり楽しい!
ニッチな商品を介してお客様と繋がる喜び
40歳になり、スーパーマーケット歴は18年にもうなってしまいました。
20代、30代と勤めてる企業、役職、店舗を転々として今に至ります。
企業、役職、店舗が変わっても1つの商品をどうやって売ってやろうかという気持ちで仕事をしてきました。
若い頃は単品量販に夢中でしたね。
とにかく、どの店よりも数を売るのが快感でした。
30代になると、渾身の一品に夢中になりました。
商品の中には、必ず一日に50個以上売れる商品もあれば、5個しか売れない商品もあります。売れない商品なのだから品揃えからカットしてもいい商品も残念ながらあります。
たとえ、それを目当てに来てるお客様がいたとしてもやむを得ないことはあります。
ただし、売れてないからといってカットしない方が良い商品があります。
例えば、あるお店は駅近で、利用者構成での独身20-30歳層割合が10%(その他構成はとりあへず無視)、また既存店より即食部門の構成が10%高いとします。
この条件で打ち出される施策の1つは「お酒」の品揃えです。
ここ数年でビール類は売上が一番高いとはいえ、下降トレンドです。
一方、ウイスキーは上昇トレンド。しかも、世代別で見ても30代~40代はウイスキー派が高いです。
そこで、ウイスキーの品揃えを強化する施策がとられることになりました。
色々な産地、価格帯のものを品揃えしましたが、6カ月経過して実績を拾うと、2本しか売れてないウイスキーが2品ありました。
2品とも10000円。
1つは日本産ウイスキー。
もう一つは、スコッチウイスキー。
どちらも、おカクヤスなどのお酒専門店に行けば同じ価格で購入できる商品です。
売場のスペースは限りが当然あります。
回転率の高い商品の上位が品揃えで生き残ります。
さらに、そのお店のプライスライン群が
1000,2000,3000,5000,10000円代に設定されそれぞれの価格帯で品揃えできるアイテム数が決められており、10000円代は1アイテムのみの品揃えが設定されおります。
結論はスコッチウイスキーを品揃えとして残すこととなりました。
なぜか?
ウイスキーにほんのすこ~しお詳しい方ならボンヤリ共有できるかもしれませんが、(分かりにくいかもです)ウイスキーに飲みなれてる方の中には、少しクセがあったり、旨い以外の要素を求めてる方が一定数います。
※クセの種類には香り、味わい、口当たり、などなど千差万別ある。これが後述しますがとても重要
日本産ウイスキーは全般的に美味しいですが、クセが控えめであったりするものが多く(厚岸、三郎丸とか有名なのはもちろん別)、飲みなれてくると、物足りなさを感じる方がいます。
一方、スコッチウイスキーは蒸留所によって多彩な特徴を体験できるので、そういったイメージでスコッチを選ぶ傾向があるという仮説が浮かびあがります。
(事前に調べて購入する人は非常に多い
YouTube、ブログでの紹介動画の数と視聴 数でそれは明らか)
それぞれ2本しか売れてないが、スコッチが売れた理由には「ウイスキーに飲みなれたお客様が買ってる」と「変化を感じられる特徴を求めてるお客様が買ってる」というのが考えられる。
惰性でウイスキーとおつまみを購入するお客様は確保しつつ、「少し変わった」お酒を求めてるお客様に「少し変わった」というイメージを提供できるウイスキーを品揃えしておくことは、売場に変化がなくとも、品揃えの中から勝手にお客様が変化してくれる可能性があると考えられます。
例え話が長くなりすぎてるので、ここで終わらせますが、売れてないけどカットしない方がいい商品は、そのニッチな部分にお店のコンセプトとして大事にしているポイントがあり、高い的中率でターゲットにささる強力な存在感を辛抱強く発揮してくれる可能性があります。
夢中になったのは、そのニッチな部分が売り手側の自分とお客様とで共有できたときの喜びが単品量販よりも大きいと感じることです。
単品量販は気合いと根性と運。
渾身の一品は出会いと愛と運。
ニッチな商品は共有できる範囲が非常に狭い。
なので、購入されたとき、その狭い範囲の中でその一瞬間、売り手の自分とお客様が共有できたという希少な感覚を得ることが、分かってくれる人がいるんだ。見つけてくれてありがとうという喜びにつながることがあります。
価格を介したお客様との繫がりだけでいいのか自問自答
角度を変えます。
月~日の1週間の内、スーパーのみならず商売に携わってる方の多くは土日を売上の最大に計画を立てて準備してるはずです。
私もそうです。
必然的に土日とそれ以外ではリスクのかけ方が異なります。
毎日をリスク高めに計画すれば、安定的な利益の確保は難しいです。
だから、平日は低リスク低リターン。
週末はハイリスクハイリターンのバランスが好まれます。
平日は安定感が大事です。お客様も安定感をかなりの程度求めてます。
この部分が妙で、安定感抜群だと売ってる側がまず飽きる。だから、単日、2日間限定の特売品を打ち出す。価格を下げて打ち出すんです。
そりゃ、売れます。売れていいんです。
でも、お客様がその店のその商品を選んだときに売り手側との間にある共有点が、価格だけってなんだかさみしく感じませんか。
それ、売り手側からしたら「自分じゃなくてもよくない?」と感じませんか?
価格を下げることは良いこと。なぜなら、お客様が喜ぶから。これは、ある意味〇
また、価格を下げても利益を全体で確保できる商売をしてるのだから〇
異論などあっていいはずがない。
(ホントにそれだけでいいのか?価格以外でお客様に喜んでもらえる商売はないのか?私が売り手側であることの意義は?)
平日が変化のない売場だと、売り手は飽きる。だから、お客様も飽きてるに違いない。マンネリしてるに違いない。と、勝手に想像します。
そして、特売でマンネリにくさびを打つ。
その効果は間違いなくあります。なければ、利益を下げる販売に対してモチベーションなぞあがりようもありません。
それはそれでいんです。
売り手側は安定感の中に、いつもと違う(特売価格)が入り込んでる演出をして、お客様の買い物に刺激を注ぎます。
ただ、それだけでしょうか。
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