見出し画像

義実家の片付けから着物好きになった

入院が決まった義母の住む部屋に、準備のために訪ねると、「私が死んだら、掛けてほしい」と、託されたのは着物でした。
義母が何十年と弾いていた大正琴の大会で来た着物です。
亡くなった時には、その着物を着て旅立ってもらいました。

着物を着ると、背筋がシャキッとなります。
普段と違い、華やかな気分になります。
いつもガサツで乱暴な動きも、少しだけ落ち着いて行動しようとします。

数年前、80歳を過ぎた高齢の義両親の生活を見直した時に、使っていないものを片付けることになりました。
80代、子供の頃に戦争を体験している世代なので、物を大事にして捨てられない。
所有物の多いこと。
物が多くて家の中では納まらず、屋根裏に収納を作り、着ていない洋服や使っていない客用の布団、結婚式の引き出物など、仕舞い込んでありました。
その中で、処分に困ったのは箪笥二竿分の着物でした。

大正琴の師範であった義母。
80代後半となりお稽古に行く機会も減り、着物を着る機会も当然減っていました。
「もう着物は着れない」
腕が回らない、着ると重いなどから、もう着物は着ないと言います。
「はい、捨てる、これも」と、どんどん箪笥から着物を出していきます。
私は、娘のお祝い事で来た着物を記念にいただきました。
そのほかにも、義母が「これはいろいろ使える」「持っていた方がいい」という着物と帯をいくつか譲ってもらい、残りすべてをリサイクルショップへ。

せっかく譲ってもらった着物。眠らせておかずに、自分で着れたらどんなにいいかと思い、着付け教室に通いました。

着物のイメージは、着付けがきつくて苦しい、着物の作法がある(季節とか着物の格とか)動きにくい、お金がかかるなど、負のイメージがありましたが、以外と楽に着ることができ、新しいことを学ぶことが何より楽しくて、毎週通っていました。半年ほど通い、普段着物も礼装の着物も着れるようになりました。

着物は、何代も引き継ぐことができます。
そのまま着ることもできるし、サイズを変えることも、洗ってきれいにして、仕立てなおす洗い張りという方法もあります。

義母から引き継いだ着物を時々着ています。
家族の節目や観劇、着る機会が少ないと思えば、
美術館に行くときやランチに行くときなどにも着ていきます。
着物は、洋服の様な早い流行はなく、限られた中で選び、コーデしていくのが今まで着慣れた洋服にはない楽しさで、すっかり着物にはまってしまいました。

着物と帯や小物のコーデを考える時、季節や着ていく目的を考え、帯もどの結び方がいいのか考えたり、観劇などの世界観を帯や小物で表したりと、面倒と思われたことが着物を理解することで楽しさに代わるのです。

着物に限らず、知らないと面倒と思ったり難しいと感じることがあります。
食わず嫌いと一緒で、イメージだけで本質を知らないことがあります。
知らないことで人生の楽しみを半減させているかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?