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障害じゃなくて、人を知る

うっちー君と一緒に練習を始めて半年。
うっちー君は、いつもお母さんと一緒に練習にやってきます。
誰よりも大きな声であいさつをしてくれます。

うっちー君は、30代の男性で障害者福祉施設で、支援を受けています。
身体の障害はないので、小学生たちと一緒に練習しています。

クラブでは、入会する前にフェンシングってどんなスポーツか体験する機会を設けています。
うっちー君が体験に来る前、クラブの代表から連絡をくださったお母さんから聞いたことを教えてくれました。
障害について聞いたけれど、「障害ね、ふ~ん」と思っただけでした。
それには理由があって。

どんな病気かを知るのは今じゃなくてもいいかな、それよりも、彼はどんな人かな、体を動かすのが好きかなという方が重要な気がしたんです。
誰でも初対面の時には同じように思うはず。
それは障害があってもなくても同じだと思います。

「会ってみないとわからないよねー」って、返事しました。
せっかく、数あるスポーツの中でフェンシングに興味を持ってくれたのだから、楽しいと感じてほしいなと思ったのです。

仕事だったら、障害・病気の種類・程度・状態などの情報をかき集めます。(情報収集といい、看護師として重要な仕事の一つです)
身体の障害も精神・知的の障害も、その状態に合わせた対応の特徴があることはもちろん知っています。

それでも、うっちー君がどんな人か知り、そして、うっちー君が私やクラブのことを知ってもらうことが重要だと思いました。
仕事も、一緒です。
『みるのは、病気じゃなくて人』

体験の時には、初めての場所で緊張するだろうし、見慣れない道具や剣で突くというワクワク感など想像し体験の日を迎えました。
一緒に体操をし、フェンシング式の挨拶(ラッサンブレ・サリュー 気を付け・礼)・剣の持ち方・姿勢や足の動き、模擬試合などをして体験は終了しました。

そして、今ではお仕事と重なった時以外は、毎週練習に参加してくれる仲間になりました。

はじめは、うっちー君やお母さんと相談して、緊張しているうっちー君の負担にならないように、うっちー君と私の二人での練習でしたが、いまは他の選手達と一緒にレッスンしたり、ファイティングしたりと集団の中で練習しています。
練習時間も、はじめは1時間でスタートしたのですが、今では1時間30分頑張ることができています。
新たに教わったことは、家に帰ってから復習するのにメモを取るなど、とっても練習熱心です。
「ファイティング(練習試合)で負けても、それでも楽しい」と、言ってくれています。

おわりに

フェンシングクラブに所属したことで、選手やコーチ達と、大会参加や練習環境のことなど障害者スポーツについて考えたり、議論する機会も増えました。
ただ、クラブでは特別なことをしているわけではありません。
障害・年齢に関わらずフェンシングをしたい、運動したい仲間と楽しくフェンシングをしています。








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