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ダイエットのきっかけ

4年ほど前まで、私は今より約20kg太っていた。
今はBMI 20の標準体型に落ち着いている。

なぜ太っていたか。
今になって思い返してみると、
そりゃあそうだという生活スタイルだったからに他ならない。
シンプルに暴飲暴食、運動不足だったからだ。
ところが人間、渦中にいると自分の立ち位置を見失うものである。
当時の私も例に漏れず、なぜ太ってしまったのか、全く分からなかった。
分からないどころか、自覚すらほとんどなかった。

あらためてあの頃を振り返ってみると、
我ながらおぞましい生活をしていたものだと思う。
とにかくたくさん食べていた。
そしてその頃は接待も多く、飲食の時間は深夜にまで及んでいた。
そのくせ、朝ごはんもしっかり食べていた。
私は消化器官に一時の休息も与えることなく、
馬車馬のように絶えず働かせていた。

ある時、その頃勤めていた会社の直属の上司に声をかけられた。
その上司は私と年齢の近い男性だったが、とても馬が合う人だった。
上司は、とても控えめな口調で
「糖質制限ダイエットをしようと思うんだけど、一緒にしない?」
と言った。
私はびっくりした。
まさか自分がダイエットを検討しなければならない体型になっているなんて
夢にも思っていなかったから。
「え!? 私もしたほうがいいんですか?」
「う、うん……。どうかな?」
ちょうど世間がパワハラ・セクハラなどのハラスメントに
厳しい目を向ける時代に突入した頃だったが、
上司の言葉には、そう言った”圧”はまったく感じられず、
なんとなくおもしろそうという理由で、話に乗ってみることにした。
それから上司と私は、お互い叱咤激励しながら糖質制限ダイエットを続けた。
私の大好物はお米なので、完全にシャットアウトすることはできなかったが、
夜は白米を食べないように気をつけたり、
スープやおかずで空腹を満たすなどの努力をした。
挫けそうになった時は、上司に負けて詰られている自分を想像し、
やる気を奮い立たせた。
間違いなく、仕事よりずっと真剣に取り組んでいた。
そして私たち二人は、ダイエットに成功した。

不思議なもので、一つ健康志向を取り入れてみると、
生活全般において体に良くないことが気になり始める。
夜の飲み会は必要最低限のものにしか顔を出さなくなり、
自転車だった通勤も徒歩に変えた。
残業の時に必ず食べていたお菓子も、あまり欲しくなくなった。
体重が減ってくると、体への負担が軽くなって
歩くことが苦じゃなくなった。
ウォーキングも日課になった頃、体重はもう増えなくなった。
別にストイックにダイエットを続けていたわけではなく、
調整ができるようになったということだ。
食べ過ぎたと思ったら次の日は少なめにしよう、とか、
そういうごく些細なことだ。

私は今でもあの上司に心から感謝している。
ハラスメントの危険をおして、
本当によく忠告してくれたものだと思う。
あの時、ダイエットに誘ってくれなかったら
今頃私は一体どうなっていたのだろう。
何か大きな病気を発症していたかもしれない。
病気にはならなかったとしても、毎日不調だったに違いない。

健康志向でいても、病気になる時はなる。
けれども、もし病気になってしまったとしても、
「ああ、もっと体を大事にすればよかった」と自分を責めずに済む。
仕方がないと開き直るだけだ。

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