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春雷に思うこと

春雷が鳴っている。
ゴロゴロと音を立てて、だんだんこちらに近づいてきている。
真っ黒な雲が空を覆って、あたりは薄暗くなってきた。
そうこうしていると、
ドーーーーーーンッッ!!
と、それはそれは地鳴りがするような大きな一発を喰らう。
どこかに落ちたかもしれない。

私が小さかった頃、
春の天気の崩れる様はもう少し穏やかだったように思う。
かすかに遠雷が鳴り、絹糸のような春雨が空からまっすぐ落ちてくる。
そんな春の雨模様だったと記憶しているのだけど……。

最近の天気はなんだかおかしい、
昔はこんなに暑くなかった、
ゲリラ豪雨もなかったし、もっと過ごしやすかった、
と愚痴を言いたくなる。

でもきっと、昔も大きな春雷も鳴っていたと思うし、
春にも横殴りの雨は降っていたんだと思う。
桜が咲く頃に雪が降ったり、夏日になったりする年もあっただろう。
「春の嵐」なんて言葉があるように、春の天気は大きく変わりやすい。

私の記憶の中の春がとても穏やかだから、
こうして戸惑いを感じてしまうだけなのかもしれない。

人間の脳って、案外騙されやすい。

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