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管理職1年生奮闘記#10 若手2年目教員とガチバトルになりまして

突然ですが、どうされています?部下やチームメンバーとの距離の取り方。管理職として、部下の相談相手として頼りにされたい一方で、指導や注意、叱咤激励も時には必要ですよね。
管理職業務にも少しずつ慣れ、部下の性格や仕事ぶりも把握できてきた5月。
私は、予てより気になっていた若手2年目教員に叱咤激励をすることに…。
そこで、今日は、私が経験した心がモヤッとした失敗をご紹介したいと思います。

話が通じない若手教員へのジレンマ

この若手2年目教員を一言で表すと、顧客満足度(子供を満足されられない度)0%にもかかわらず、自信だけは謎に100%。
子供の心が分からない、他の職員へは上から目線、授業センスなし…の困ったさん。

さて、言いたいことは、山ほどあれど、一度に言われても思考停止になるな…と考え、まずは、授業をガッツリ参観した上で、この教員と一緒に授業を振り返ることにした。
ところが、授業はうまくできていただの、子供もよく理解できていただの…自分の授業を褒めまくる(実際は、真逆)。自己評価まで甘い。
私の助言に対しても「でも、自分はこう考える」「自分は変えない」と、
真っすぐに主張する。
当然、話は平行線…。できていない事実を突きつけても、若手の反応は変わらない。

その瞬間、くそムカつく~、生意気な奴め~と、私の心は着火からの炎上。
当初は授業のことに限定して指導するつもりが…
指導の雑さ、個人差に対応しない横柄さ、無駄に長い説明、謎に高いプライド、謙虚さが足りない態度など…堰を切ったように指摘の嵐が若手を襲った。着火したら止まらないのだ。
「そんな、突然怖く言われても…」と、泣きだす若手教員。

はっと、我に返り「えっ?私、今、言いすぎてた?」と反省するも、若手の目には、吠えまくる狂犬のごとく映っていただろう。

叱責は、誰のため?

私は、この若手教員の指導力改善になればと思って相手のために叱責したつもりであったが、結局は、自分のために叱責していたようだ。
つまり、
「この若手が育たないと子供たちが可哀そうだから」
「この若手が改善しないと私に困ったことが起きそう」
「この若手にナメられないために」
という理由で叱責していたと思う。
だから、まんまと相手のペースに巻き込まれ感情抑制が崩壊したのだ。
アンガーマネジメントが必要かも…。

ガチバトル後、しばらく心の中がモヤモヤして、他にやり方はなかったのかと眠れなかった。
翌朝になっても、真っすぐに若手教員の顔が見られなかった…。
部下の指導でこんなに心が疲弊するなんて、予想外の出来事であった。

部下とのよい距離感を保つために

若手教員とのガチバトルを経て、分かったことがある。
意思疎通ができない相手に対し、世代間ギャップなどという言葉で逃げてはいけない。
あくまでも相手が事実だと思っていることを基に「他者理解」をすることが大切だ。生きてきた環境や出会った人、経験が違うことを十分理解し、自分標準で理解しないということだ。

バトルの後、若手教員と腹を割って話してみて気付いたのだが、彼はお勉強はできるタイプなのだが、省察力が極めて低い。
彼の話には、成功体験や高い自己評価、事実とは違う美化された学級の子供の姿が出てくる。人の悪口や愚痴は決して言わないし、道徳的な行為を重んじる成人君主風な一面もある。

これは、彼の育ちのよさからきているものではなく、省察力の低さゆえに起こることだと分析した。実際、彼は人の細やかな心配りへ感謝反応が出ないため、周囲からは気の利かないやつだ、生意気な若者だと思われているので育ちのよさの可能性は消える。

人生を二十数年も送っていれば、小さな挫折や失敗経験がある。
人は、その経験を振り返り自己を見つめどうすればよかったのかと考え、改善してゆくものであろうが、彼はそのプロセスがふめない。内省しない。
嫌な思い出に向き合うような、勇気のいる行為は、怖いのだろう…。
失敗談は、自己開示の一つとして、人との距離を縮める際に披露するが、彼はそのような形での自己開示はしない。反抗期がなかったことを自慢にするくらい汚点はありませんと主張するくらいだ。
人間臭さを出せない、もしかしたら臆病な人なのかもしれない…。

若手教員の話をもとに分析してみると、児童理解や職員との関係、自己評価の不確かさの原因が省察力(自分を見つめる力)のなさと結び付いてきた。

身に付けていない力を叱責したところで改善はしないので、まずは、教えることから始めることにした。
相手を変えるより先に、自分を変えてみたのだ。
このようにして、誤解していたのは自分であったことに気付いて以来、この若手教員との距離は少しずつ近づいてきた。
お世辞にも授業や児童理解がよくなったとは言えないが、彼が変わろうと努力する姿ははっきり分かる。
「自分は変えません!」と強気発言の彼であったが、私の助言を授業で実践していたところを偶然見たので、賞賛したら小犬のようにはしゃいで喜んでくれた。

月並みであるが、相手を理解すること、観察することを抜きに叱咤激励はできないな…
と気付かせてくれたガチバトルであった。
皆様は、無駄なバトルはなさいませぬように…

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