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夢日記|目線の先

2022年12月10日、午前4:30ごろ。


両親と車で坂道の多いところを夜下る。何故か母親が運転し、父親は助手席に。左ハンドル。なお、母親はペーパードライバーで、数十年運転などまともにしたことが無い。

母親の運転はおよそ父親のそれだった。カーブなどのこなし方がまさに。途中自転車を避けて歩道に突っ込み、そのまま50mくらい歩道整理された部分を下る。自転車の女を私はサイドガラス越しにみたが、多分無灯火で、一瞬見たときには我々と同じ方向に向かっていたのに、直後に反転して接触しそうになっていた。しかし、ハンドルを握る母親はこれに気づいている訳ではなく、なにか別のものを避けるために歩道走行を始めた様だった。

場面切り替わり、やや広い公園。両親と共に公園に来た私は、そこでデジャビュに出会う。白黒の子供たちがこちらを見たり見なかったりする。どれも殆どは小学校中学年くらいの見た目だ。
いつもの感じ、慣れた景色に感じたので、さほど動揺はしなかったが、いつもと違う部分もあった。色のついた人たちもいたことだ。サッカークラブのコーチと生徒みたいな出で立ちで、ビブスやジャージだった。白黒の子供たちの方が圧倒的に多かったが、色つきの人達は割合普通の感じで突っ立っていた。こちらを見るものも見ないものも居て、近づけば基本目が合った。生者に近い。

白黒の子供たちに目配せすると、何人か目が合ったときににこっと笑う者がいる。笑うものは時折、指を指すか、あるいは私の顔を見たあと特定の方向を見直す。それはまるでお前もそちらを見ろと言われているようだし、実際その動作までがデジャビュなので、はいはい、と素直に従った。子供の視線の先にはやはり、また、私と目が合えば笑う子供があり、いや、私が目を向けてるだけで目が合わなくとも、そっぽを向いて笑う子供もあった。横顔の頬が少しだけ盛り上がるのがわかる。そのようなパズルのようなことをしていた。数字が付された点を、数字の順番に繋いでいって絵を浮かび上がらせる遊びを連想して欲しい。それを、私の目線でやるのだ。何人かやってるうちに、とうとう最後の一人、ゴールにたどり着いたようで、丁度それは公園の藤棚のようなところ、その上あたりに立っていた子供だった。にわかに、しかしかなり弱く光る何かがその近くに出現し、それを周囲のこどもたちは指さしたり見たりしていた。にこやかである。周囲の子供たちも、色のついた人達もこちらを見てくる。パズルを解いたその景品を受け取りにいけという感じだった。その場から動くのはやや抵抗があったが、両親がそこにいるから大丈夫だろうという根拠の無い安心が、私を藤棚の方へ動かした。そのとき両親が本当にそこにいたのかを確認していない。

藤棚の横には滑り台のようなものがあって、とにかく鉄製の薄い階段があった。光るものは、その台の頂上に移動しており、子供たちが手をかざしたりしていた。仕方ないので、登ろうと近づくと、おもむろに周囲の人達が種類に関係なく近づいてくる。人混みに巻き込まれることが分かりつつ、私の背の高さ(185cm)なら、そこまで怖い思いはしないだろうとたかをくくってかき分けた。滑り台の手すりに手を掛けようとしたとき、色つきの人で、私よりもやや大きい、真ん中が禿げて側頭部がもじゃついた黒髪のいかつい長方形の顔をしたおじさんが、私の登るのを邪魔しようとか、滑り台と俺の間に割って入ってきた。おじさんは別にサッカークラブの人間のようではなく、普通か、やや小汚いコートだった。無表情で立ちはだかるが、結局私は滑り台に登った。おじさんをどうしたかはわからない。

登る頃には、物凄い密集度でその場の人々は滑り台に集まった。いよいよ光るものに手が届く距離に来て、それをよく見ると、鈍い光を放っていたそれは、どうも薄ピンク、肌色の肉片のようなものだった。今思えば、シリコンの疑似餌みたいだ。とにかく、それが何らかの方法で、白黒の子供が持っていただけかもしれないが、ぶら下げられていた。直感的に、これは食い物というか、食むべきものと考えた私は、恐る恐るこの肉のようなものを唇でとらえた。一応噛む前に舌先で触ると、肉という感じがしない。食感はシリコンのような感じで、肉だったとしても加熱処理はされていない、上手くかみきれそうにないうねうねした掴みどころのないものだった。そして、味も独特であり、ゴムというか、シリコン的というか、あるいは大きい口内炎の真ん中を舐めたときの味、あの、血のような、熱のような、塩のような、単なる刺激のようなよく分からないあの感じを思い出した。

嫌な感じがした。こいつをこのまま噛んでしまうのは、厄介かもしれない。軽く噛んだ感触と味が、どんどん、歯科医に麻酔で麻痺させられたときの頬の内壁を噛んだときと似ている気がしてきたからだ。思い切り噛むことが出来てしまうし、痛みを感じないし、生きた粘膜だからそんなに簡単にはかみちぎれないけど、血は出る。口内粘膜。これは実は私自身の指とか、口内の肉なんじゃないか。それをこいつらが幻覚を見せて、私自身に噛みちぎらせようとしているのではないか。
それで、私はひよって、軽く噛んだあと、噛みちぎることをせずに、それを前歯と唇とで下向きに引っ張ることにした。
噛みながら、徐々に階段を下がるか、あるいは別の方法で滑り台を降りようとした。肉片は一定の力をかければ下がってくれているようで、根元からちぎれてしまうようなことはなかった。俺も細心の注意を払い、かみきらないようにした。この間、ずっとその肉片は怪我の味がしていた。
この肉片を我がものとするとき、いくらか怪我をしているのではないかと思っていた。だが、噛み付いた以上離しがたく、結局場が治まるまではやり続けるしかないので、その被害を最小限にしようとつとめたが、今のところは、それは杞憂に終わった。
地面にたどり着いたか、その直前で、意識はとだえ、うつつに引き戻されたからだ。

いや、そのときはまだ完全には戻れていなかった。Google Chromeを〇〇(創作用アカウント)でログインしていて、赤を基調とするテーマカラーが見えるパソコンの画面が目の前にあった。2,3のタブがあって、更に新しいタブを開いていた。画面には表示がなく、ただ、新しいタブが開かれていることしか分からなかった。特に目的がなく開かれているというより、それが先程までいた異界との繋がり、その残滓のような気がしていて、なにかメモを取ろうとしたわけではなかった。不気味である程度まとまりのある夢を見ればメモをとる習慣があったが、Googleドキュメントではしてこなかった。一瞬だけそのタブからドキュメントにアクセスしようとしたが、そこで活動すること自体はばかるような感覚を覚えたため、即座にその画面を意識から外した。

徐々に、自分がベッドに寝ていて、これが夢であることを確信し始めた。いつ私の周りに白黒の子供たちがまた現れるのか、わからない。
記述してしまえば、それは物語として相対化されると信じたいが、こちらにそれを持ち込んでしまっていることになるのかもしれないという漠然とした不安を感じながら書いている……

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