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山羊とマリファナ

こんにちは。

嗅覚とともに蘇る記憶ってありますね。
かつて、20年以上も訪れたことのなかった地域に立ち寄った時のことです。視覚よりも説得力を持って、嗅覚がまさにこの場所だと教えてくれたことがありました。それは時空を超え、ピンポイントで本人ですら届かない遠い記憶に、寸分違わず瞬時にリーチされた感覚でした。幼い頃の記憶しかなかった場所だっただけに、自分の嗅覚が確信として訴えてきたことに我ながら衝撃を覚えたものです。その場所の匂いなど意識すらしたこともなく、特に特殊な匂いのあるわけでもない、何の変哲もない場所にも関わらず、です。

さて今日は、そんな香りにまつわる話。
ちなみに、ドイツ語学習には全く役に立たない話です(汗)。
なので、せめてこの記事の最後にヒアリングのクイズを出しています。ただ、内容は知ったところで誰得?な話なのですが。。

ベルリンはクロイツベルグ地区のGörlitzer Park。この公園には一時期、随分とお世話になりました。
多様性に富むドイツ社会ではありますが、この公園ではその幅は一層ワイドでディープ。
視界に入ってくるのは、ブルカに身を包んだ人々が祈りを捧げる姿、その脇をジェンダーレスな人々が、孔雀と見紛うほどの人間離れした華やかさで闊歩し、一角ではヒッピーたちがほぼ全裸で踊っている姿です。公園の隅では、鬱ろな表情の移民たちが手持ち無沙汰にたむろしています。

そんな公園の一角、山羊などが飼われている小規模な触れ合い動物園もあり、よく子供を連れて行きました。私にとってその公園は、特別な匂いと強く結びついています。動物たちの匂いに加えて漂ってくるのが、マリファナの匂いです。
この公園は、麻薬の売買が行われる公園として名を馳せていました。

圧倒的な場の包容力。

今でも懐かしく思い出される、当時3歳の息子との会話です。山羊に餌をやりながら息子が私に聞きます。
「ママ、これ、なんの匂い?」
「マリファナだよ(言うんかい)。」

息子はいつか、幼少期の記憶をマリファナの香りとともに思い起こすのでしょうか(笑)。


そんなベルリンのGörlitzer Parkについての、少し前のルポルタージュです。懐かしい場所だったので。この公園の守衛さんの話なのですが、ただの守衛ではありません。公園の安全を守るために、日々警察と麻薬ディーラーとの仲介役、時にアドヴァイザーとして活躍します。↓


ベルリンで合法的に所持できる薬物(マリファナ)の量、聞き取れましたか(笑)?

Der Geruch, der Gestank, der Duft, das Aroma…
香りの表現は様々あれど、ここはシュールな光景と甘い香りとともに思い出される、私にとって特別な場所の一つです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。


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