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三人寄れば

文殊の知恵。

ところ変わってドイツでは、
三人寄れば、e.V(エー・ファオ)。

ドイツにお住まいの方には馴染みのある、このe.V。日本のNPO法人と類似していると言われたりしますが、感覚的には「クラブ」です。

ドイツでは「ドイツ人が3人集まればe.Vを設立する」と言われているくらい身近なものです。その数なんと60万以上。国民の半数に近い人々がその会員と言われていますが、1人でいくつものクラブの会員になっている事もあり、述べ人数にすればかなりの数になります。最も会員数の多いクラブはADAC、日本でいうところのJAFであり、その会員数約20万人。

ん?なんかおかしいですね。

20万人もの会員数を誇るADACが非営利のNPO団体?

そもそもこのe.V.、eingetragener Verein、つまり登録団体(社団)、という意味があるのですが、このクラブは登記された法的な地位を有しています。また、e.V.は非営利のイメージが強いですが、営利目的のものを禁じているわけではありません。よって、ADACがVereinでもおかしくないのですね。

さて、そのADAC。ドイツにおける市民生活に関係の深い、e. V(登録団体)の一つの形として少しご紹介します。
実は現在のADACは、近年新たに生まれ変わってたものです。
2014年に会員数や車両ランキングの偽装スキャンダルに見舞われ、ADACはその後2年ほどかけて組織を改革しました。その際、経済活動分野であった保険とレンタカー業務を株式会社へ委譲し、e. Vと営利目的の業務を切り離しました。また、航空レスキューやADAC基金などが慈善活動として新たに位置付けられました。
会員が多いため、会費としても莫大な金額が集まりますが、これによって会員は保険に入るよりも安価にタイヤのパンク故障時のサービス等を受けることができます。加えて、技術的なものから観光サービスまで幅広いサービスを受けられる部分などもe. Vとして残し、この登録団体であることの最大のステータスである免税措置などを引き続き享受できることになっています。
何はともあれ、ドイツで車生活を送る人々にとっては最も身近な存在と言えます。

さて、そんな誰でも知る大きなクラブがある一方、摩訶不思議なクラブも存在します。

一例を挙げると・・

  • 砂糖収集クラブ

喫茶店のコーヒーや紅茶などについてくる砂糖をパッケージとともに収集し、お互いに交換したり情報交換するクラブ。
16万個ものシュガーパックを収集しその総量なんと1トン近くも集めた人もいるというのですから驚きです。
このe. V↓のHPによると、6月の交換イベント日の開催地はチェコ。もはやドイツを超えて国際的な活動を展開していますね。
https://www.zuckersammler.de

  • 空飛ぶスパゲッティモンスタークラブ(教会)

物理学者によって設立されたこの教会e.V. は、既存の教会に対する強烈なアイロニーを含んでいること、念頭に置いて続きの動画などご覧ください。いささか風刺が効きすぎちゃっておりますので。。

その教義は、パスタは健康に良いというもの。
また死後の世界も独特です。審判にかけられることもなく、この世とお別れした信者達に用意されているのは、ビールを産出する火山とストリッパー工場。
この教会では、既存の教会同様、結婚式も洗礼式も執り行われます。ここで奉られているのは、スパゲッティに全身覆われた2つのミートボールで出来たモンスターで、世界の創造主とされています。↓

信者はドイツ国内に約1万5千人、世界に2800万人。このクラブも国際的に活動しています。

そのミサの様子(動画冒頭からヌードル礼拝の様子、新たな信者が洗礼式を受ける場面は1:41〜)をどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=OONIiUL7mCs&t=221s

  • ボビーカークラブ

子ども用のおもちゃのボビーカーを真剣に乗り回す(大人の)クラブ。最高速度が130Kmというのですから、おもちゃの作りの頑丈ぶりに脱帽です。
https://www.bobbycarclub-michelbach.de/videos/

どのクラブも、大真面目に活動なさっています。

なんかヤバそうなものばかり紹介してしまいましたが、私自身も過去には(知らずに)会員だった(させられていた)クラブがあります。恐ろしいことですね(笑)。
しかしこのように一風変わったクラブもありますが、ドイツの子供たちは学校のクラブ活動がない代わりに、地域のe. V. に入ってサッカーや卓球などのスポーツに勤しむことになりますし、車を持っていれば大体の場合、前述のADACに入るなど、市民生活との関わりは深いものです。また、メジャーなものからニッチなものまでありとあらゆる趣味嗜好のクラブが存在するので、どんな趣味にも仲間を見つけることができます。
因みに、e.V.の設立は最低7人から可能で、クラブの規定を定めることや、会計、代表者などの3役を置くことなどの法的な条件を満たすせば誰でも新クラブを設立出来ます。
日本からでも(特別な規定のない限り)会員にはなれるので、興味・ご関心のある方はどうぞ(笑)。

今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。





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