少数言語のパラレルワールドへ
Guten Tag!
のっけからですが。。
Chasch du mi aalüüte?
Isch han net verstande.
Wie sait mer?
Nähmet viellicht sogar Opis zum wechsle mit.
Chan öpper das Buech mir schike.
スイスドイツ語、ここ1年くらい聞く機会が多く、グッと身近になった言葉です。
始めは苦戦しましたが、慣れてくると、なんていうか可愛いですね。単語の語尾はラ行で終わることが多くて柔らかになるし、全体に間が伸び切った感じでゆったりしてるし。
・・・と言っても私が聞いている地域のスイスドイツ語だけがそうなのかも知れませんが。
というのも、スイスドイツ語は基本的に話し言葉なので、それを文字にすればこんな風にはなるのですが、話し言葉なだけにバリエーションも豊富で、同じことを文章にしても仕上がりが全く違うものになる、ということがあります。
さて、今日はそんなスイスドイツ語から、言葉の持つ影響力について書きたいと思います。
言語パワーを測る
ある言葉の、母語者や第二言語として使用している人の数、学習者の数、使用されている地理的な範囲、GDPなどから経済力のある国の言語か否か、論文数、国連の常任理事国であるなど国際関係で力を持つか否か、などの指標からその言語の国際的影響力を計ることができます。
上位はもちろん圧倒的な話者の数から中国語や英語、学習者の数や話者の地理的な分布からもフランス語やスペイン語などが入り、10位以内にドイツ語や日本語が入ってきます。
日本語はしかし、人口も減っていくので言語のパワーも落ちていくことが予想されます。
いずれにしろ、このような情報を元に、つまり使える言語(就職に有利、収入に寄与する)かどうかを判断して学ぶ外国語を決める人もいるのではないでしょうか。
ところが地球上の80億人が使う言語は200近くの国で7000以上あって、そのうち公用語で5000万人を超える話者を持つ言語はごくわずかです。
もちろん先のスイスドイツ語は、上記の基準ではパワー言語(上位10位くらいまでを私が勝手にそう呼んでいるのですが)には到底当てはまらないわけですが、スイスドイツ語は公用語であり、パワー言語である標準ドイツ語やフランス語、英語の読み書きを学校で学習します。
つまり、スイスドイツ語自体の影響力は大きくないけれど、その話者は上位10言語のパワー言語のうちの3つも4つもを自由に扱える人たちで、パワー言語に極めて近いところに居る人達だ、ということが分かります。
パワー言語の外へ
ところで、公用語が母語ではなく、教育を受けるのも、メディアで触れる言語も母語ではない、また住む地域の役所や消防、警察の言葉も母語ではない少数言語の人の見る世界は、私たちが母国語かつ公用語で社会とつながれる日本語やドイツ語で見る世界と同じなのでしょうか。
自分達の話す日常語が公用語でなかったら、メディアの代弁性や政治家の代表性に対する感覚も違うかも知れません。
そういう意味では、公用語で見る世界に加えて、私たちの認識の外には非公用語のパラレルワールドが存在している可能性があります(笑)。
公用語であるスイスドイツ語の話者は500万人くらいしかいない一方で、5000万人以上の話者がいても公用語になっていない言語を扱う人たちが、地球上に数億人います。例え話者が少なくても公用語であるスイスドイツ語の方が、伝達力や訴求力などの点において強力だ、ということが有りうるのです。
話者も多く公用語でもある英語や中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語や日本語などの言葉の影響力が絶大である一方、これらの言語が比較的私たちの世界を言語化しやすい代表性のある言語ゆえに、あるいはまさにこれらの言語で世界が出来ているがために、この識字能力で切り取る世界の認識には逆に限界があるのでは?とも思えるのです。
逆にいうと、例えば日本語・英語・ドイツ語というパワー言語しか扱えない私には絶対にアプローチ出来ない、つまり英語やアラビア語、スペイン語、フランス語やドイツ語、日本語に代弁されないパラレルワールドが存在するのでは?
という考えが常に頭にあります。
ちなみに、パラレルワールドを行き来するには、観測(意識とか意図とか)と周波数帯を合わせることが大事らしいですが、知らない言語を身につけて社会をのぞくということは、認識の外に出られる可能性を持つ、一種のパラレルワールド体験です。
意識を向けて周波数帯を他言語に合わせて行けるパラレルワールドを選べるなら、絶対に公用語以外の少数言語で試したいものです^_^。
例えばアイヌ語、とか。
ときに、消滅した言語とともに消えていった世界は一体いくつあるのかな。。
今日も最後まで読んで下さりありがとうございました。
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