『フェイブルマンズ』 家族の記憶のものがたり
『フェイブルマンズ』を観てきた。
スティーブン・スピルバーグ監督の自叙伝で、どのように映画に出会い映画を仕事にしていったのかを描いたヒューマンドラマ。
スピルバーグ監督とその家族の歴史を描いたストーリーで、大きな事件や立ち直れないような挫折があるわけでもない。
家族の毎日と、家族を取り巻く日常の事件やすれ違いが丁寧に描かれていて、一筋縄ではいかないのが人生だけど、どの瞬間を切り取っても悪いともいいとも言い切れない。
山あり谷ありで人生は続いていて、その先に成功を手にすることもある。
優しさも怒りもそのすべては心の中の本心なんだと思う。たとえ嘘をついても、その嘘をつかせるのは本当の気持ちの表現の一部なのかもしれない。
主人公の母親には夫以外に好きな人がいて、だけど、優しい夫への気持ちも嘘ではない。すべてはどう表現するかの違い。
作中で映画の仕事は心をえぐられると言われているのだけど、そんな映画の仕事を続ける力になったのは、どんな形になっても切れない家族の絆があったからなのかもしれない。
地平線は下にあっても上にあっても面白い。
でも、真ん中にあったら死ぬほどつまらない。
視線を変えて嘘の世界を本当以上に面白く変えていくのが映画の世界。
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