恋せぬふたり制作日誌⑬最終回のこんなところに注目!
ご視聴ありがとうございました。
よるドラ「恋せぬふたり」最終回を監督させていただきました野口雄大と申します。
ついに、「恋せぬふたり」も最終回を迎えてしまいました。 咲子と高橋さんが選んだ選択、ご覧頂いた皆さまにどのように受け止められたでしょうか。
ここで、5回に続いて最後の問題です!
(知らねーよ!という方は5回放送後の制作日誌をご覧ください…)
最終回の中で、特に思い入れの強い場所が3か所あります。
それは、一体どこでしょうか!?
思い入れの強い「シーン」とすると全てなので、あえて「場所」に縛りたいと思います。
(毎度毎度、わからないことばかりですみません…)
はい、では一方的に正解を発表します! まずは一つ目ですが…
①「高橋家ダイニングテーブル」です!
さまざまなことに縛られていた高橋さんを解放するため、咲子は意を決して高橋さんと向き合います。お芝居をしてもらう際、極論、おかしくなければどこでお芝居をしてもらっても良いのですが、なぜこの場所にしたのか。
それは、咲子と高橋が共同生活を始める「始まりの場所」だったからです。
2回で咲子は高橋さんに自分の気持ちを必死に打ち明け、高橋さんが悩みながらも「お試しであれば」と提案し、共同生活をスタートした場所でした。
ただ最終回で「新たな生き方」を提案するのは咲子。2回における高橋さんとの立場は逆転している。その立場の逆転を、始まりと最終回では対照的にしたいと思い、あえて2回と同じステージングでお芝居して頂きました。
続いて二つ目ですが…
②「都会と地方」です!
咲子と高橋さんは別々の場所に住み、互いに物理的な距離は離れているが、ふたりの関係は一年経っても続いている(恋愛的な意味ではなく)。そんなことを映像的にも一目でわかってもらうために、高橋さんの新天地には、咲子がいる場所とは対照的な場所にしました。
富士山を望むことが出来るすばらしいキャベツ畑を制作スタッフが探してくれたのですが、天候不順のため撮影が延期。そしてその間にキャベツが収穫され、撮影日にキャベツがどれだけ残っているか…、とささやかれドキドキでした。
結果ありがたいことに、延期した撮影日は天候に恵まれ、豊かな大自然を撮らせて頂くことが出来ました。撮影後には、お芝居で収穫させて頂いたキャベツをスタッフ一同持ち帰らせて頂き、美味しく頂きました。カズくんみたいにロールキャベツは作れなかったけれど、みずみずしくて、本当に美味しかった…。ご協力頂いた農家の皆さまには感謝の念が尽きません。
そして三つ目ですが…
③「坂道」です!
ラストシーンで、咲子が自転車で下っていく坂道です。
この場所は高橋家前の坂道ですが、2回で共同生活を始める際に、咲子がトランクケースを押して登ってきた坂道です。
2回は始まりですから、困難が待ち受けているという意味も込めて、坂下から撮っています。
この時はトランクケースを、「咲子がこれまで背負ってきた重みの象徴」という意識で撮っていました。ただ最終回は、真逆で開放的な印象で咲子を描きたい。そんなイメージが、2回の坂道を撮っている時から、頭の中にぼんやりと浮かんでいました。
最終回における咲子の気持ちを映像的に表現するため、坂道はなくてはならない場所でした。これからも困難が待ち受けているかもしれないが、それでも軽やかに希望の光に向かっていく咲子を撮りたい。そんなイメージをみんなで共有し、撮影に挑みました。
以上、最後の「恋せぬふたり問題」でした!
今回この作品に向き合い続けてきましたが、同時に、今までの自分の「あたりまえ」に向き合い続けてきた日々でした。その向き合いは、間違いなく今後も続いていくと思います。
今回はアロマンティック・アセクシュアルのふたりが主人公でしたが、今回描いたことは、決してふたりのことだけを描いた訳ではありません。
咲子が最後に言ってくれましたが、家族や生き方の考え方も、目まぐるしくかわっていく。本当にその通りだよなぁ、とつくづく思います。
「いつの間にか縛られていないか?」と、俯瞰して物事を見てみようとすることが、これからの自分にはもっともっと必要だと感じています。
また、相手への理解も大事ですが、簡単なことではないと思います。だからこそその前に、まずは相手の気持ちを尊重しようとする気持ちが大事なのではないかとも、向き合いの中で感じました。
最後に…
「恋せぬふたり」では本当に多くのスタッフが、世界を彩ってくれました
誰一人も欠けることなく同じスタッフが集まり、また一緒に別の作品を作ることはほぼ不可能です。一期一会、旅のような出会いと別れの連続がドラマづくりです。
エンドロールで名前が出るのは残念ながら一部なので、感謝の意味も込めて、最後にキャスト・スタッフの名前を掲載させて頂ければと思います。
ありがとうございました。
最終回はNHKプラス(3/28(月) 午後11:14まで)
&NHKオンデマンドでも配信中
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