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『大人のピアノ』フランスで野外クラシックコンサート in ヴェルサイユ

40代半ばになりピアノを趣味で習い始めた私ですが、自分で弾くだけでなくいろいろなクラシックのコンサートへ出向くという楽しみも新たに見つけ、機会さえあればコンサートへ出掛けるようになりました。

前回の記事で、フランスでの(私の知る限りの)一般的なコンサート事情についてお話ししましたが、私の住んでいるフランスではプロの名の知れた音楽家さんのコンサートでも15〜20ユーロ前後の(日本の物価価値的には1,500円から2,000円程度)とてもリーズナブルな価格の、中から小規模のコンサートも沢山あったり、プロの若き音楽家さんの無料のコンサートも数多く開催されます。

そして、夏になると野外コンサートが行わることも多いので、2022年の夏に行った野外のクラシックコンサートフェスティバルについて少しご紹介。

実は前回の記事で、パリとその周辺は夏の学校のバカンスシーズン(7月と8月)になるとパリ周辺から人々が居なくなるため、パリ周辺でコンサートが開かれる機会がめっきり少なくなる・・・と書きましたが、、、

実は私が行った野外コンサートは6月下旬から7月下旬にかけてほぼ毎日のように開催されていたクラシックの音楽フェスティバルで、バカンス最初の7月の1ヶ月間はまだみんながパリ周辺に残っている事が多いからなのか、夏(7月)に開催されていた野外でのクラシック音楽フェスティバルでした。(8月は本当に人がいなくなってとても静かなパリとなります!)

野外コンサートが行われたのはパリ郊外のヴェルサイユの街。もちろん誰もが知るあの有名なヴェルサイユ宮殿が存在する場所ですが、コンサート会場は観光客が多く訪れる宮殿の敷地内ではなく、宮殿のすぐそばに存在する、

Poteger du Roi
ポタジェ・デュ・ロワ
王の菜園

王の菜園の入り口

という場所で、ここはヴェルサイユ宮殿の主として、そして食べることが大好きで「食いしん坊」としても有名だったルイ14世の食卓を彩るために作られた菜園だったそうで、9ヘクタールほどの大きな敷地に王のための様々な野菜やハーブなどが育てられていたそう。

菜園のりんごの木

この菜園は現在はヴェルサイユ宮殿とは別の敷地となっていて、観光で訪れる宮殿の入場券でこちらに入る事はできませんが、ヴェルサイユ宮殿を構成する巨大な歴史的遺産の一部としてこの菜園もユネスコの世界遺産として指定されているそう。

今は、国立ペイザージュ・造園学校(École Nationale Supérieure du Paysage de Versailles)という造園に関わる高等教育専門学校が併設され、菜園はこの学校の敷地の一部として現在も様々な野菜や植物が育てられていて、

5ユーロ(日本の物価価値的に500円くらいのイメージ)の入場料で園内を自由に見学できたり(26歳以下は無料)、週末なら3ユーロの追加料金でフランス語のガイドツアーに参加する事も可能で、毎週決まった曜日にはこちらの菜園で育てられた野菜の直売も行われ、この近所に住んでいる夫の友人もよく利用している、と話ていました。

我々もコンサートが夜の20時開演だったので、せっかくなのでその前に菜園のガイドツアーに参加して参りました。

さて、

この野外音楽フェスティバルの名前は、

Idéal au Potager du Roi
イデアル・オー・ポタジェー・デュ・ロワ

このフェスティバルは、6月下旬から7月下旬までの1ヶ月間、菜園の敷地内でほぼ毎日開催され、そのほとんどのコンサートが無料でした。

主に若手のプロの音楽家さん達のコンサートで構成されていて、フランスだとこういった若手の素晴らしいプロの演奏家さんのコンサートが無料で提供される事が多かったりするので、このフェスティバルのコンセプトも次世代を担う若手音楽家の紹介や支援を大きな目的の一つとして掲げているようでした。

さて、実際のコンサート自体は無料ですが、事前にインターネット上で予約をする必要があり、コンサート当日に会場で当日予約をする事も可能でした。ただ、コンサート会場となるこの菜園に入るための入場料の5ユーロを支払う必要があります。

あと、こういった無料のコンサートの場合、予約の際などにコンサートを開催してくれている団体の運営支援のための寄付金を各自自由な金額で納める事も可能です。

我々は当日のお天気の様子を見て、急きょ思い立ってコンサート開催日にネットで予約をしたので、当日は晴天で気持ちの良いお天気だったのですが、

どうやら雨天だったとしても、野外でそのままコンサートが決行されるようで、演奏者や楽器が雨などで濡れたりしないようにステージの上には透明な屋根が付いていました。ただ観客席には屋根はありません。

会場

座席は自由席なので、早く着いた人から順に好きな座席へと向かうのですが、これもフランスらしいのか、会場に入場できる時間まで一列に順番に並んで待つ・・・、という事をしている人はほぼ皆無で、

入口周辺に人がまばらになんとなぁ〜く集まっていて、コンサートの入口が開場されると、ぞろぞろと人が集まって来て、ぐちゃっと列を作って入場して、のそのそと各自好きな席に着く、というかなりゆるっとした感じ。

これは、このコンサートだけに限らず、他の無料や自由席のコンサートでも、こんなゆるい感じの雰囲気が大半だったりします。

私が行った日は、カウンターテナー(女性パートで歌える高音域の男性オペラ歌手)とピアニストのアンサンブルの演奏と、男性4人グループの弦楽器のカルテット(四重奏)の演奏でした。

前回の記事でも触れていますが、無料のコンサートだからと言って、まだ学生さんだとかアマチュアのコンサートという事ではなく、プロの世界で既に活躍されていて今後にも大きな期待をされている素晴らしい若き演奏家さん達のコンサートで、

カウンターテナーの方は、パリの国立オペラ座で開催されるオペラ公演などでもオペラ歌手として活躍されている方で、ピアニストさんは、オペラ公演の際に指揮者と同じくらい重要な役割を果たすパリ国立オペラ座の「Chef de chant」という役割にも付いている若き女性ピアニスト。(英語とフランス語表記のみですが、音楽家さん達が紹介されているサイトや動画をのリンクを貼りましたので、ご興味のある方は覗いてみてください。)

カウンターテナー
Fernando Escalona

(画像は下記サイトからお借りしました)

ピアニスト
Olga Dubynska

(画像はサイトからお借りしました)

この2人の共演動画

弦楽器のカルテット(四重奏)のグループは、ロンドン、ベルリン、ニューヨークなど世界のさまざまな主要な都市でも既にコンサートを行っていたり、日本にも来日経験のある実力派の若き男性4人グループ。(こちらも英語又はフランス語の表記のみとなりますが、ご興味があればリンクをご覧ください。)

カルテットグループ
Quator Arod

カルテットグループ
Quator Arod

コンサートは夜の20時から始まって、ピアニストとオペラ歌手の演奏の間に休憩時間(インターミッション)を挟んでカルテットの演奏だったので、インターミッションの時間はちょっとしたバーもあったので、そこで飲み物を飲んだり、菜園の植物を観察したり。

菜園のお花たち

ご存知の方も多いかと思いますが、フランスは夏になると日がとっても長くなり、夜の22時くらいでもまだうっすらと明るいくらいなので、コンサートの休憩時間が丁度日没に差し掛かったので、門の向こう側に沈みつつある夕日を眺めたり。

夕日を眺める
コンサート来場者さん達

夏休み中で、しかも無料の野外コンサートということもあり、小さなお子さん連れのファミリーでいらっしゃっている方も多く、野外の開放的な雰囲気ですしコンサート中にお子さんが多少ゴソゴソしたりしてもそこまで気にならないアットホームな感じでした。

休憩中

これも前回の記事でも触れましたが、フランスのこういったコンサート会場には来場者の数に対してお手洗いの数が極端に少ない場合が多く、ここでもお手洗いは女性も男性も各2個づつしか無かったので、長蛇の列が・・・。

そういう事もよくあるので、私は休憩時間になったら早歩きでお手洗いを目指します(笑)。

そしてコンサートが終了したのは、22時過ぎで、日中よりもひんやりと涼しくなった菜園の中を野菜やハーブを観察しつつ素敵なコンサートの余韻に浸りながら帰路に着きました。

コンサート終了の
22時過ぎ頃

この音楽フェスティバルの2023年の情報がまだ出ていないようなのですが、、、今年も開催されるなら(お天気の良い日を選んで・・・)足を運ぼうと思っています。

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