スカーレット

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東日本大震災から10年、グローバル・クライシスの中で

 まもなく東日本大震災から10年である。 筆者はこの間東北で地域コミュニティの再生と青少年が地域課題に関わる活動に目を向け調査を行ってきた。しかし、彼/彼女等が問題解決のために自らの意思で行動した際に困難が待ち構えていたことも少なからずあった。そこで、「子どもの意見表明権」(子どもの権利条約第12条)の視点から新たな危機に直面する教育の役割について考えたい。 「創造的復興」という名の下で  2011年4月11日の閣議決定で示された「東日本大震災復興構想会議」の開催を説明する

    • 問題はパンデミック前から始まっていた

       貧困、教育、人権、ジェンダー、労働をはじめとする様々な社会課題は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってさらに浮き彫りになった。公教育の領域では、緊急事態下の教育政策が国と地方、文科省と教育委員会のタテ関係を通じてどのように進められたのか検証する必要がある。その一方で、地方教育行政が抱える現状の課題を等閑視することは出来ない。特に、地方教育行政を掌る教育委員会は、「安倍政権による制度廃止論」が持ち上がる中で政府主導の教育委員会制度改革が進み、教育委員会の独立性が揺らい

      • 学校における学びの価値とは

         全国一斉休校がもたらした教育現場の混乱は察するに余りある。一年の学習の総括をしなければならない大切な時期に突如休業に追い込まれた教師の無念さや卒業間際の子どもたちの気持ちを考えれば胸が痛む。  パンデミックによって社会はいっそう二極化しつつある。経済活動の停滞は真っ先に低所得者層の雇用や家計所得に打撃を与える一方で、裕福な家庭の子どもたちはいち早くオンラインでの対応を始めた塾や習い事を継続することができた。 このような教育格差を縮小するための手立てとして国がGIGA(Glo

        • ポスト/ウィズ・コロナ時代に「共に生きることを学ぶ」

          人類は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と向き合う時代に生きている。第70回国連総会(2015年)において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)が掲げられた。SDGs全体を総括する目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」である。社会の不可逆的変化のなかで私たちはこれまでのライフスタイルを見直すことが迫られている一方で、持続

        東日本大震災から10年、グローバル・クライシスの中で