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監督成績の定量評価とムラ社会

現状を鑑みれば、ベイスターズがジャイアンツをまくって優勝する事は、ほぼないだろう。これにトップファンと言われる残念な皆様は、今年でラミレス監督が解任されると思い込んで「今年は我慢してやる」「ラミレスがクビになるなら最下位でもいい」的な発言をベイスターズ公式のFacebookページ繰り替えしている。こう言っている根拠はゼロで、単に「好き・嫌い」だけの文明のない国の人たちの意見であり、定量的に評価するならば、ベイスターズ(ホエールズ)で2年以上努めた監督で勝率5割を超えたのは、権藤監督とラミレス監督だけで、歴代監督の中でも相当成績のよい部類の監督に入る。

名将の勝率はどれくらい?
それはともあれ、ラミレス監督が5年目で優勝できないのも事実であるので、監督交代の可能性は十分にあると考える。時に監督交代の際、フロントもファンも当然、勝てる監督を望んでいるとは思うが、例えば過去の「名将」と言われる監督の勝率はどれくらいか?それを数値化したのがA図である。

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調べてみると日本プロ野球で、勝ち続ける事は相当困難である事がわかる。勝率で.550を超えている監督は

鶴岡一人(.609)
川上哲治(.591)
藤田元司(.588)
水原茂(.585)
森祇晶(.574)

と、たった5人しかない。リーグ制覇を4回以上している監督であっても、だいたい.500~.550の勝率という事だ。それが証拠に野村克也の監督の勝率としては.500だが、野村監督をダメ監督という人はほぼいない。一方で試合数は違うものラミレス監督はヘボ監督扱いとなるが.500以上の監督を探して、据えるというのは相当困難であるといえる。

野手出身?投手出身?捕手出身?
よく監督の交代話が出と「野手出身監督より投手出身監督の方が良い」とか「捕手出身が監督に向いている」と言われるが、果たしてそうなのか調べてみた。B図を参照されたし。これはA図の監督を現役選手時代のポジション別に集計して勝率を算出してみた。

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当たり前だが、野手は投手・捕手よりも圧倒的に数が多いのは予想できたが、この条件下では野手出身監督の勝率が良いという事がわかった。といっても上位3名(鶴岡、川上、水原)が全員野手であるから、それで勝率をガッツリ押し上げているのだろうと思ったが、この3名分の成績を除いた場合の勝率も.544となり、野手監督が一番勝率が良いということがわかる。「単純に数が多いだけやんか!」という意見は、まず百分率とは何か?という事を勉強してほしい。また「リーグ制覇4回以下も含めろ!」という人も、そもそもプロ野球は勝ってナンボの話だから、4回以下を含めたところで、あまり意味はないし、数字上の影響もないと推定できる。

いずれにしても、投手出身監督が必ずしも継投がうまいか?といえば、必ずしもそうでもないだろうし、野手出身監督のチームは打線が良いかといえば、そうでもない。現に先に調べたところでラミレス監督は歴代のベイスターズ監督の中で一番、通算の投手防御率がよい。つまり、これからわかることは、監督の技量と現役時代のポジションは、大きな因果関係がないという事ではなかろうか。

ムラの掟

あくまで定量的な話だけではあるが、通算勝率が.500くらいで、かつ野手出身監督であるから、言われているほどラミレス監督はダメな監督ではない。むしろこの指標からすればかなり良績の監督であるといえる。かつて野村監督が「采配で勝てる試合は年間5試合程度」と言っているし、どんな作戦を立てたとしても動く選手が動かなければ采配も作戦もない訳だ。これに見ている側が「選手が変な采配で可哀そう」という理由で、監督が悪いという論法であるならば、それはプロ野球ではなく部活かサークル程度のちょろい意見で問題外。とどのつまり、どんなに成績が悪くても、生え抜き選手→生え抜き監督が正義という図式は日本プロ野球村の掟があり、外国人選手で、いくつかチームを渡り歩き監督に就任したとなれば、村民からしてみれば完璧な「よそ者」で、そこそこの成績であっても、過剰に悪く言われるというのが実は結論ではないかと感じる。来年以降、生え抜き監督が就任して、ボコボコに負けた場合であっても、きっと前任監督のせいにされるのだろうと今から予想する。何故なら、「前にいたよそ者が全部悪い」という結論で済まされるから。

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