空き家を放置してはいけないと聞いても、どこか他人事になっていないか
空き家の相談は、全国で増えていると聞きます。人口減少社会においては、当然のことです。空き家を取得したきっかけの半数は、相続です。そして、その利活用については、3割の方が放置しておくだけで、具体的な処分についてはなにも考えておられないそうです。
午後は、空き家法改正のセミナーを受講しておりました。
空き家とはいえ、持ち主がいるものですし、解体費用の負担のこともあり、強制的に片付けることは困難です。空き家対策特措法が改正されて、空き家の発生防止、空き家の管理、空き家の除却の対応が強化されていきます。限られた予算の中で対応を求められる自治体の職員のみなさんは、これから大変だろうと予想されます。
空き家にできることは、それほど選択肢は多くはありません。
修理して住む
誰かに貸す
売る、壊す
お金を払って引き取ってもらう(有償処分)
考える順序として、まずは子や孫が住むなら、リフォームするなり建替えするなり、使っていただける方が後を継ぐのが最善でしょう。次に、貸したり、売ったりすることを考えますが、地域性もあって、駅が近くにないところや、人口減少して不動産のニーズのないところでは、難しいものです。思っているよりも、不動産を手放すことは時間も費用もかかってたいへんなのです。
いずれも見通しがなければ、壊して更地にして売るしかありません。手入れがよくされていて、住まなくなってからすぐに売れば、中古住宅として買い手が見つかるかもしれませんが、空き家になって時間が経てば、家の中は傷みますし、雨漏り、カビやシロアリで、解体するしかなくなります。また、人口減少とともに、都心部へ人が集まりますから、場所によっては売ることさえもすぐにはできません。
空き家を放置する理由には、特に困っていない、将来誰かが使うかもしれないという回答が多くの割合を占めます。解体しない理由では、解体費用の負担がもっとも大きくなります。
これを見たときに、いかにも他人事だと感じました。近隣にある空き家のために、迷惑な思いをしている方から相談を受けることがありますから、私は、すみやかに片付けてほしいと考えます。放置された空き家は、危険なものであると認知が不足しているでしょうし、誰かが片付けてくれるかもしれないと安易に期待させるべきではありません。
一方で、毎年数多くの新築住宅やマンションが建設されていくので、空き家の問題は、風呂の栓も閉めずに水を貯めようとしているようにも見えます。建築の制限や、土地や建物に関する規制の見直しも含めて、都市計画そのものを現在に即したものに転換していくことも考えなければならないのではないでしょうか。
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