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04 街に小さな蒸留所が出来た。

沼津蒸留所の永田です。
今回はファントムディスティラリー(仮)プロジェクトでつくるジンの蒸留を担当する沼津蒸留所についてのお話です。

静岡県初のクラフトジン蒸留所

沼津蒸留所は2020年にできた新しいクラフトジンの蒸留所です。
静岡県内には酒蔵、ビール、ウイスキーの蒸留所などお酒を造っているところはたくさんあるのですが、クラフトジンを作る蒸留所は弊社が初となります。

市内を流れる狩野川沿いに、もともとは住宅だった空家を改装してつくった小さな蒸留所。

静岡県東部や伊豆半島のボタニカルを中心に香り付けをしたジン”Lazy Master”シリーズを製造し、沼津市内をはじめ全国に出荷しています。

そうだ、蒸留所つくろう。

世間でクラフトジンの人気が高まりつつあった2016年。
とあるBARのマスターが酒棚にあったジンのボトルを見て、ほとんどのボタニカルが沼津でも収穫できることに気づきました。

いつかオリジナルのジンをつくれたらいいな…

そんな想いを抱くマスターの元に、空家の活用に携わる客が1件の空家を紹介します。

『この場所で蒸留所やりませんか?』

そのバーのマスターが弊社代表で、空き家を紹介した人物が私です。
これがきっかけとなり、蒸留所設立計画が動き出します。

お酒大好きな二人ですが、つくることに関しては素人。事業計画を練りながら、ジンのつくり方を学びはじめました。

日本でお酒を造るのは意外と難しい

日本の法律では、つくるお酒のアルコール度数が1%以上になると酒造免許が必要です。家でお酒を造ると酒税法違反になりますのでご注意ください!

ジンをつくるためには”スピリッツ”という種類の製造免許が必要なのですが、免許を取るためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
・お酒を造る技術はあるか
・お酒を造る場所と設備は整っているか
・会社の経営状況は健全か
・販路はあるか
・年間製造量が一定基準に達する見込みがあるか(スピリッツは6,000L)

酒造りは国税庁が所管し、沼津税務署がこの地域の窓口になります。
はじめての相談では窓口の担当者にも軽くあしらわれ、ハードルの高さに少しくじけそうになりました。笑

一歩ずつ免許取得へ

酒造の技術や知識については、日本で稼働しているクラフトジンの蒸留所などにお願いし、何カ所か見学させていただきました。その後、それぞれが酒蔵へ研修に行き基礎的なお酒のつくり方を学びます。

資本金はわずかでしたが、事業計画を練って”クラフトジンをやるなら今しかない””地域の資源を活かした商品””魅力的なエリアの創出”などアピールと熱意で銀行に融資をお願いしました。

物件については、当初の空家を改装し、九州のメーカーに蒸留器を特注し、ひととおりの設備が整った後に保健所に申請します。

免許取得、最後の難関。

最も難しかったのは、蒸留所の稼働前にもかかわらず年間6,000リットルの販売目途を立てることでした。免許のない状態ではお酒が造れないので、販路を開拓する営業活動でも、試飲していただくことができない状態です。

沼津でクラフトジンをつりたいという熱意に共感していただける酒販店や飲食店などに取り扱いをお願いし、少しずつ販路と販売計画を積み上げていきました。

一つひとつ条件をクリアしていき、やっと税務署に酒造免許取得の申請ができたのは2020年の春、私がBARのオーナーに声をかけたときから2年ちょっと経過していました。

そして2020年9月29日。

待ちに待ったスピリッツ製造免許の交付を沼津税務署長様より受け、沼津のクラフトジンづくりがはじまります。

私たちが目指すもの

2020年11月にリリースしたファーストバッチは、おかげさまで完売となりました。

現在は、市内のみかんやたちばな山椒、クロモジをつかった第一弾、伊豆半島で取れたバラの花びらを使った第二弾がラインナップです。
この夏には、レモングラスなどを使った第三弾も仲間入りする予定です。

私たち沼津蒸留所はこんなことを実現したいと思っています。
・地域で採れる季節のボタニカルを使ったジンをつくる
・ジンを楽しく飲める機会や環境を提供していく
・この街に魅力的な雇用を生み出す

日本一高い富士山と日本一深い駿河湾のある静岡県は資源が豊富で、ジンの材料もたくさんあります。それらを活かしてまずは質の高いジンを作っていくことが、沼津蒸留所としての使命です。

併設の店舗や隣接の『かのがわ風のテラス』を活用して心地よい環境づくりを行ったり、屋外映画上映などの楽しい時間を演出するイベント開催に協力しています。

そして、出来上がったジンは難しいこと抜きで楽しく飲みたい!
楽しい時間と空間を、仲間と共有するときに、私たちのジンで乾杯してもらえることほどうれしいことはありません。

魅力的なジンを全国に発信していくことで沼津のアピールになり、この沼津の地に価値観を共有できる仲間が集まる…そんな好循環を生んで、街を盛り上げていきたいと思います。

ディープな沼津案内

プロジェクトの本題から少し話はそれますが、せっかくの機会なので沼津の魅力をすこしだけご紹介したいと思います。

…が、長くなってしまったので続きは次回にします!

ガイドブックや観光案内所でわかる情報はそちらにお任せして、沼津で暮らす私たちが日々どんなスポットに出入りしているかをお伝えします。

クラフトジンに興味がある方はもちろん、そうでない方も沼津に興味を持っていただけると嬉しいです。それではまた!

#クラフトジン #沼津蒸留所 #とは #私の仕事 #お酒 #沼津

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