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野球好きなあの子と初デート。「神宮」なら緊張も沈黙も怖くない

幾つになっても緊張してしまうものに、「初デート」があります。

「みんなの中にいるあの子」の情報はあっても、「自分とふたりのときのあの子」の情報が少なすぎるのが初デート。

「沈黙は大丈夫なタイプかな」
「退屈していないかな」
「自分に興味を持ってくれているかな」
「また一緒に遊びたいって思ってくれるかな」

相手が大切な存在であればあるほど、期待と不安で頭がいっぱいになってしまいます。緊張と気遣いの連続で、デートを楽しむどころか気疲れしてしまったりすることも。

でもやっぱりせっかくのデートなら、相手と一緒に、目の前のふたりの時間に没頭したいものです。そして願うなら、次のデートの約束を取り付けられるくらいいい雰囲気で終わりたい。

初デートって、期待と不安のバランスが比例しているからこそ、作戦の練りがいがあるなぁと思います。

***

突然ですが、NFBはつい先月「神宮デート企画」を実施しました。「神宮デート企画」とは、野球観戦をしながら神宮デートをする企画です。

NFBメンバーである私・オサナイの「一度でもいいから野球観戦デートがしたい」に端を発して始まったこの企画。

小売と野球について発信する最所あさみさんにデートプランを監修してもらい、同郷・同世代の編集者・小原光史くんをデートに誘い、オサナイの長年の夢であった野球観戦デートが実現しました。(※企画の成り行きはこちらのnoteへ)

(デート企画の進行と当日の実況は、NFBキャプテンのこまみが担当してくれました)

神宮デート企画を終えた今、「気になるあの子が野球好きなら、初デートにはぜひ明治神宮球場(以下、神宮球場)を選んでほしい」と、心から薦めたい気持ちです。

付き合って何年目のカップルやダブルデートは、もしかしたら東京ドームかもしれない。だけど、初デートなら神宮球場、デートコースは神宮エリアがいい。

初デートという、お互いの距離感がまだうまく掴めていない状況に「神宮」と「野球」がふたりの距離をグッと縮めるナイスアイテムになった。

こんな発見があった神宮デート企画。その全容を、お届けします。


野球観戦のデート服は「動きやすさ」重視でいこう

まずはデートに誘った私・オサナイと、誘われた小原くんとのリアルな関係をご紹介。

おなじ秋田県で育ち、学生時代に野球とソフトボールを経験し、進学とともに上京したふたり。同世代の駆け出し編集者、ライターということでもともと交流はあったけど、ふたりで飲みに行くような仲ではなかった。オサナイは大学3年生の頃に書いた文章の感想を小原くんからもらったことに密かに救われていた部分があったけど、感謝の気持ちを伝える機会もないまま月日だけが流れた。

小原くんと私は、じつはこの企画がふたりで遊ぶはじめての機会でした。つまり初デート。

「最所さんの作ってくれたプラン、野球観戦だけじゃなくて『バッセンに行く』とか『キッチンカーをまわる』とか書いているけど大丈夫かな……」

↓事前にもらったデートプラン↓
15:30 神宮バッセン集合
16:30 球場でグッズ購入・キッチンカーをまわる
17:15 席についてグルメ系写真撮ったりわちゃわちゃしてる様子を人が少ないうちに撮影
17:30 スタメン発表に盛り上がる
18:00~試合の流れでよしなにやる

初デートということで、「試合観戦後はお互いの雰囲気と流れに任せて、解散するかどうかを決めよう!」とのこと。

NFBキャプテンのこまみからは「観戦後にご飯とか誘われるくらい楽しい時間を過ごせたら、合格じゃないかな」と発破をかけられ、迎えたデート当日。

待ち合わせ場所である「神宮バッティングドーム」に到着すると、缶コーヒーを片手にオサナイを待つ小原くんの姿が。

シンプルな黒のポロシャツにパンツ姿の小原くん。持ち物もサコッシュのみと、デートプランに沿った動きやすい格好で安心しました。球場は人も多く、階段の上り下りなどもあるので軽装備の方がストレスが少なくて◎。

私も夏物のニットとストレッチの効くジーンズ、グッズが入っても両手が動くようにリュックでデートに挑むことにしました。

「待った?」
「ううん、いま来たとこ」

定番のフレーズからいざ、神宮デート企画がスタート。

……したのはいいものの、会話が続かない。

ひたすら缶コーヒーを飲む小原くんと、どうしたらいいかわからず服の袖を引っ張りながらそれを見つめるオサナイ。

(そういえば小原くんとは同郷だけど同じ学校だったわけでもないし、仕事以外の会話をしたことがなかったな・・・)

果たしてこのデート企画、うまく行くのだろうか。

序盤から一抹の不安を抱えながら、最初のデートコースであるバッティングドームの中へ。


まずはバットを振って緊張をほぐそう

神宮バッティングドームは、室内のバッティングセンター。

魅力は、バーチャル映像の人気プロ野球選手と対戦できること。球速、変化球の調整だけでなく、右投手、左投手、サイドスロー投手の打席も用意されているのも、嬉しいポイントです。

また、人気野球漫画『ダイヤのA』ともコラボしており、主人公の沢村栄純とも対戦できたりもします。

「どの投手の打席に入ろうかな」
「やっぱり神宮での観戦だし、小川かな?」

(※小川とは、ヤクルトスワローズの小川泰弘投手のこと。小川の異名「ライアン小川」は、MLB最多奪三振を記録した伝説の男、ノーラン・ライアンから由来する)

野球好きのあの子を神宮に誘った意味が、さっそく発揮されてきました。

「小原くんって野球部だったんだよね。何キロくらい打てるの?」
「130キロくらい。オサナイさんは?」
「私は130は無理かな(笑)」

ひたすら会話に困っていたふたりの間に、自然と野球絡みの会話が生まれます。

「これ絶対、筋肉痛になるやつだ」
「オサナイさん、普段運動しないの?」
「ほとんどしないなぁ。駅の階段上るのって運動に入る?」

バットを振って気づいたのは、「体全体を使うことで、自然と緊張がほぐれるんだ」ということ。

「体動かしたら小腹空いたね。小原くん、お昼は食べてきた?」
「軽く食べたくらいかな。球場でなんか買おっか」

バッティングドームを出る頃には、「何を話したらいいんだろう」なんて不安は消え、スムーズに本日のメインデートコースである「神宮球場」に歩き出すことができました。

バッティングドームから球場まで、徒歩で行けるのもありがたいポイント。

初デートで「乗り物移動」って、できれば避けたいことだと思うんです。次のアクションへのテンポが悪かったりスムーズさが損なわれると、ふたりの熱も一旦冷めてしまうと思うので。

神宮球場なら、青山や渋谷でご飯を食べたり、代々木公園でキャッチボールしたりした「その足で」そのまま球場に向かうことができます。


席はコスパがいい「B2応燕指定席(1塁側)」がオススメ

さぁ、どんどん小原くんをデートに夢中にさせて、試合後に「ご飯でも行く?」を言ってもらえるくらい楽しんでもらおう!

と意気込み、いざ球場へ。

次のデートプランは、「グッズを買う」「キッチンカーを回る」と指示出しされていますが、その前に、まずは「チケットを発券」しちゃいます。

グッズやフードは球場外と球場内どちらにもあるので、まずはチケットを持って、混雑状況を見ながら中と外どっちで買うか余裕を持って決めるのが吉。(レジに並んでいる間に、そろそろ発券しないと!と焦る心配がなくなります)

今回のデート企画でとった席は、税込3,200円(価格は変動しますが、だいたい3000円前後)のB2応燕指定席(1塁側)。

神宮デートということで、今回応援するのは、我々は神宮球場を本拠地とするのヤクルト・スワローズ。ビジターは横浜DeNAベイスターズです。

さて、なぜB2応燕指定席(1塁側)を取ったかというと、コスパがいいから。球場全体を見渡せて、かつ内野と外野どちらもそこそこ近い席です。

「いやいや、SS指定席でふたりの最高の思い出をつくりたい!」と意気込みたい気持ちもわかります。わかるけど、少々値段が張るので、ここはちゃんと悩んでほしいところ。

正直、初デートではお互いの金銭感覚は読めていません。

自分では「特別に今回だけ」のつもりでも、相手からすれば「あれ? この人と付き合うと、もしかして毎回こんなにお金かかる?」と疑われかねない。

そういう予防線も込みで、オサナイ的には球場問わず、初デートは内野指定席で留めておくのがベストなんじゃないかと思っています。(記念日とか、サプライズでSS席っていうのは、最高だよね!)

押さえておくべきグッズは傘と帽子

チケットを発券した私たちが、最初に向かったのはグッズショップ。

このグッズ選び、最所さんからは「傘を買うのです」という具体的な支持をいただいていました。

傘とは、これのこと。

ホームに座るなら、この傘だけはふたり分持っておくことをオススメします。

プロ野球ファンには野暮な情報かもしれませんが、神宮をホームとするヤクルトスワローズには『東京音頭』を歌って応援するスタイルがあるからです。

傘にもたくさん種類があるので、ふたりでお揃いを買うもよし、選びあいっこするもよし。

選びあいっこといえば、今回のデート企画で発見したのは、「帽子の選びあいっこは最高にたのしいぞ」ということ。

神宮にはスワローズのキャップがバリエーション豊富に揃えられています。

レディースもいけるくらい可愛いのなんの。普段使いできるデザインが多いのも、特徴のひとつだと思います。

「これとか似合うんじゃない?」

いきなり帽子を被せてきた小原くん。

「あ、これ過去にやってきたプレーだな」なんて野暮なことは、もちろん口には出しません。正直ちょっとドキッとしたので、「帽子を被せてあげる」は男女問わず初デートで距離を縮める有効なテクかも、と思ったりしました。

もちろん、悩んだら最後は自分が気に入ったモノを選んで、納得感のある買い物をしましょう。

(オサナイは、小原くんとこまみからいちばん好評だったピンクキャップを購入)


フードは最低一個ずつ買って、交換してみるのが◎

野球の試合はだいたい2時間~3時間ほどに渡ります。ドリンクは売り子さんを呼べばいいけど、フードは席を立って買いに出なければいけません。

なのでお腹が空きそうなら、フードはあらかじめ多め・大きめのモノを買っておくことをオススメします。

私たちは球場外のキッチンカーで「つば九郎焼き」を買ったあと、球場内で「ヘルメットグルメ」と「じんカラ」を買いました。

神宮球場の魅力は、肉系フードの充実度。

からあげ、ソーセージ、リブ、ケバブ……とにかく肉のメニューが豊富で美味しいんです。

「初デートはやっぱり食べ物で失敗したくない。かと言って、まだまだ相手の好みも把握しきれていない……」

そんな状況で、神宮が、ボリューミーかつみんな大好きな肉系フードで充実しているのはラッキーでした。(肉以外のフードもバラエティに富んでいます!)

「フードで外さないかつ美味しい」という点でも、「初デートの球場が神宮で良かった!」とホッとしながら着席。

また、今回のデートでもうひとつ気づいたのは、「フードはそれぞれ最低一個ずつ買って、分け合いっこするのがデートっぽさを引き立たせる!」ということ。

「小原くん。じんカラって、なんでこんなに美味しいんだろうね」
「日本唐揚協会と共同開発してるらしいよ(ググった)」
「鳥がマスコットのチームだからか、気合入ってるね〜〜」
「そういうこと?」

美味しい食べ物って、ふたりの距離を縮めてくれます。


山田哲人、青木宣親、『東京音頭』。これだけ知ってれば楽しめる

なんだか試合が始まる前に、もう充分デートした気になってしまいました。

だけど本番はここから。映画1本より長い時間をかけて、ひとつのゲームを観ます。

野球好きなあの子を観戦デートに誘う、はいいものの、自分が野球好きじゃなければ数時間座りっぱなしって結構キツイものです。

「甲子園の決勝やWBCくらいしか観ない」、「昔パワプロやってたけど、今はからきし」。

こんな野球ライト層もちゃんと観戦を楽しめるアイテムとして、最所さんがオススメしてくれたのが、こちら。

「選手名鑑」です。

はじめて観戦にいく子に見せるとけっこうネタになるので私はだいたい持参しています。
スラッガーの名鑑は、選手のデータだけでなく謎の小ネタも仕込んであるので野球に興味ない層でも読み物として楽しめる優れもの(?)です!
(引用:野球しかない神宮デート2.0 〜2018開幕記念〜/最所あさみ)

小原くんも私もプロ野球はそこそこ知っている方ですが、

「あの選手って芸能人の〇〇に似てない?」、「○年生まれなんだ。私たちと同世代なんだね」など、選手名鑑を通して新しい発見がありました。

ビールの売り子さんにデレデレになる小原くん。

鼻の下を伸ばすデートの相方を見つめながら、思いました。

「あれ、私これ忘れられてない?」

映画でも演劇でも「観る」に軸を置いたデートって、基本「一緒に何かする」のは観る時間の前後に限られます。

観るに集中しているときって、結構相手のことを忘れちゃったり、忘れられちゃったりするもの。

だけど、スポーツ観戦は観るだけじゃなく応援ができるので、ちゃんと隣に相手の存在を感じさせることができます。中でもヤクルトの応援は、とても楽しい応援体験が一緒にできること間違いなし。

「小原くん、バレンティンがホームラン打ったよ!」
「アーチを描け、バーレンティン!!」
「いいから傘、早く早く!」

ショップコーナーで買ったミニ傘を上下に揺らしながら、『東京音頭』を歌うふたり。

点が入ったとき、7回のスワローズ攻撃前(通称ラッキーセブン)、勝利した試合終了後、つまり頻繁に(神宮は狭いからホームランもよく出るので)一緒に傘を揺らすことができます。

東京音頭以外にも、ヤクルトを応援しに来たら覚えていていきたいのが、クリーンナップ陣の応援歌。

とりあえず、「山田哲人」と「青木宣親」あたりの応援歌を覚えておけば、大丈夫なんじゃないかと。(余裕があれば、村上宗隆とバレンティンあたりも抑えれば完璧)

屋外、ビール、カクテル光線のライト、盛り上がる応援歌。

野球ファンにとって、これ以上感情のボルテージを上げてくれる環境は、他にないと思います。

もしもデートの相方が野球やソフトボールの経験者なら、夜遅くまで白球を追いかけた日々を懐古してしまうことでしょう。

そのせいか元・野球少年の小原くんも途中、


「青木宣親は、野球少年たちの北極星だよ」


遠くを見つめ、意味不明な発言するハメに。

そんなときは、

「なに言ってんの?」


なんてマジレスせずに、

「じゃあ、筒香は?ギータは?秋山は?」

と軽快に返してあげましょう。

とりあえず知ってる有名な野球選手の名前を出せば、野球好きな相方はきっとナイスな返しをしてくれます。

小原くんは、「筒香は野球少年の北斗七星だ」と言っていました。(天体マニアかな?)


喧騒から離れ、初デートを締めくくろう

残念ながら、この日のゲームは1点差でヤクルトが敗れてしまいました。

だけど、「久しぶりに球場に来てたのしかった」と小原くんは満足そうに微笑んでくれました。野球好きなあの子を観戦デートに誘うとき、応援するチームの勝ち負けはそこまで気にしなくても大丈夫なようです。

(つば九郎のバルーン前で記念撮影もした)


帰り道。

駅に向かって歩く道には、飲食店や飲み屋が立ち並びます。ユニホーム姿で、お店の中に吸い込まれていく人を横目に、

「軽く飲んでく?」

と小原くんから、望んでやまなかったご提案が!

キターーーーーー!!!!

「イエス」or「はい」の選択肢しか用意していなかったオサナイは、乙女の嗜み「終電を気にする素振り」をすっかり忘れ、食い気味で「行こう!飲もう!」とはりきります。

「渋谷に行く?表参道に行く?」
「イタリアン?和食?」

神宮のありがたいところは、球場を出たあと食事処にも困らないこと。

駅のある表参道方面に歩けば、たくさんの飲食店が広がっています。

それが球場を出た後の、誘いやすさ・誘われやすさに繋がっている部分は大きいんじゃないかと。

球場すぐ付近のお店って、サポーターで意外と混んでたりします。大抵どこもワイワイ盛り上がっている雰囲気なので、ふたりの空間、デート気分にリセットするのが一苦労だったりも。

けれど神宮球場からは、駅に向かって歩くほどおしゃれで落ち着いた雰囲気のお店が広がっていくので、試合のふり返りとふたりの話を改めてゆっくりできる時間をつくれます。(タクシーで渋谷や新宿方面までもお安く行けます)

喧騒から少し離れ、入ったお店で改めて乾杯。

仕事の話、今考えていること、お互いの地元である秋田の話……あっという間に時間は過ぎていきました。

「小原くん、今日はありがとう」
「こちらこそ。オサナイさんのこと知れて嬉しかった」
「私、小原くんがいたから今の仕事、続けられてるなって思うことあるんだ」

もうデートが始まった頃の、不安や緊張なんか、頭の片隅にもない。今日、デートに来てくれた小原くんに、ずっと思っていたことを伝えたい。

「これからもよろしくね」と言った私に、小原くんは「もちろん」と微笑んでくれました。

それから、「今度は、代々木公園でキャッチボールしようね」と。

(おわり)

文/ミキオサナイ
編集/小原光史、小松美貴
デートプラン監修/最所あさみ


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