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【詩作の試作】あいうえお作文 その2

もっと自由に。小説のように。


淡く滲んだ雨粒が 彩る窓辺、いつもの席で

うつむき加減に黙然と、憂い気に目を伏せたまま

永遠のように途絶えた言葉

お願いどうか、教えてほしい


かつての記憶

喫茶店、君は決まって クリームソーダ

決意を胸に

鼓動は速まる――コーヒーを前に告白し――答えを聞いて

覚めないでくれと願った一つの、ささやかな夢が今終わる


しとやかに雨は降り続きBGMはショパンに変わる

すべては既に済んだ事と

切なく繊細な旋律が

そこに止まったままでいる二人のそばに寄り添っている


絶えず 千切れて、散らばる言葉を

繋ぎとめ――ついに伝えられた、つまりここが夢の終着


手を振って、出口に向かう君を見送る

時計の針の音さえも、遠く、遠く、遠くから届く、、、


夏の思い出は懐かしき、並んで掛けた公園のベンチ

虹の噴水、逃げては追いかけ子どもみたいに

濡れるのも構わずふざけあった・・・脱ぎ捨てられたスニーカー

願っても Never it comes back anymore

望まないノスタルジー Not a fantasy


灰色に染まるレースのカーテン、灰皿に溜まるみじめな吸い殻

ひとりで居ると

不意に、ふたりを感じそうで

下手な芝居の背景みたい、変に奥行きを失った

仄暗い 街に混ざるべく

見慣れた店を後にする


無理にも難しい 命題を解こうと

求めても、もっと、もどかしく、もがくほかないのも、

止まない雨のせい


”許している、許す資格なんてもしあるとすれば”


宵の喧騒も雨音を超えず

乱暴に気持ちを掻き乱すだけ、乱雑なこんな頭でいくら

理非を正そうとしたところで


ルーレットには最初から全て同じ目だけが在った

冷徹に、冷酷に 論は下される、ろくでもない正論が

「別れは誰の上にも等しくやって来る」とか言う

ざあざあうるさいこんな話を

聴かされているのが恋の終焉、

拍手も無く幕は下りて――

―終演―





……次の3はがらっと趣を変えます。

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