ニンジャスレイヤーTRPGリプレイ【ティル・ジ・エンド・オブ・ア・ニンジャズ・レックレスネス】


◆はじめに◆
この記事は2019年1月2日、ニンジャスレイヤー公式によりTwitter上で催されたソロアドベンチャーRPGの私的なプレイ記録です。
簡易まとめ的な機能も想定し、プレイの流れがわかるように公式ツイートを多数引用させていただきましたが、すべての関連ツイートを網羅しているわけではない点にご留意ください。


イントロダクション・準備

日本の正月における伝統的なアナログ・ゲーム文化と、先日単品販売を開始したばかりのニンジャスレイヤーTRPG……ほんやくチームの抜け目ない商人の目は、両者の親和性を見逃さなかった。かくして我々は新年早々、謎めいた正六面体ドロイドとともにニンジャスレイヤーの世界にダイブすることになったのだ。

TRPGに馴染みのない諸氏に説明すると、「D6」とは最も一般的なサイコロである6面ダイスの略称である。個数を頭に付けて「2D6」などと表記したりもする。ダイスには色々な種類があるが、ニンジャスレイヤーTRPGはD6だけで遊べるシンプルさが一つの特徴だ。
ちなみに近代においてはアナログゲーム向けの電子的ツールも多数存在し、ブラウザからダイスロールを行えるWebアプリや、スマッホ用のダイスアプリなどを容易に利用できる時代だ。物理だろうと電子だろうとゲームの面白さは変わらないので、好きなものを選ぶとよい。
私は物理ダイスを処分してしまったことを思い出し、Webダイスを使った。

前提知識はゼロでいい……つまりルールブックを購入していなくとも、ニンジャスレイヤープラスを購読していなくとも、ダイスを振ることでニンジャが生成され、ニンジャスレイヤーの世界と相互作用し、物語が生じる……そのシーケンスを体験できるということだ。


CREATE THE NINJA(ニンジャの作成)

アッハイ、UNIXシーライフとかにも優しい未来のエネルギーです。

実に簡素なキャラクターシートだ。
ルールに従いこれらの能力値を決めるだけで、君だけのサンシタニンジャが無から誕生するというのだから驚きである。早速やっていこう。

「アイアンアトラス=サンでも出来るのでは?」と思えるほど簡単だ。
他の能力値は上記のロール結果をもとに、自動的に決定される。

先程アイアンアトラスでも出来るとか言いましたが、彼は端数切り上げができるかどうか怪しいので撤回すべきかもしれない。でも簡単だよね。

システム的に機能せずとも、キャラクターの来歴や生活、戦闘スタイルなどへの想像を掻き立てる要素だ。もちろん、どれもフル・ルールではきちんと効果が設定されている。

任意でサイバーパンク作品ならではのクールなガジェットを入手し、キャラクタを強化することも……『返済できないとキャラロストです。』アッハイ、恐ろしいブリトー兄弟がきっとやってきます。


ニンジャの……完成!

こうして私の手許に、一人のサンシタニンジャが誕生しました。

ニンジャ名:アルビノマウス

【カラテ】:3
【ニューロン】:1
【ワザマエ】:6
【ジツ】:1(ヘンゲヨーカイ・ジツ)
【体力】:3
【精神力】:1
【脚力】:3
装備など:家族の写真
(サイバネ:なし)

【脚力】:3……これは!常人の三倍の脚力では!?
ニンジャ器用さに秀でているがカラテはさほどでもなく、メンタルは豆腐。サンシタニンジャとしてはかなりそれっぽい。
奥の手じみたヘンゲヨーカイ・ジツもアクセントだ。精神力1だけど。たぶんトビネズミのでかいやつみたいな姿に変身する。
デフォで長短がはっきり出ており、ヘンゲまで引き当てることができたので、サイバネまでは盛らなくてもいいかな、と判断した。決してふわふわローン死が怖いわけではない。

この出来たてホヤホヤのサンシタをさっそくゲームに投入し、どうなるか見てみるとしよう。


ゲーム開始な


【ティル・ジ・エンド・オブ・ア・ニンジャズ・レックレスネス】

※エピソード名は本来存在しませんが、勝手に考えました。みんなもオリジナル・エピソードネームを考えてみよう!

「イヤーッ!」押し殺したカラテシャウトとともに、白い人影が回転ジャンプでストリートの物陰に降り立った。「ここで合ってるよな」呟きながら周囲を見回す。彼の名はアルビノマウス。ニンジャである。その傍らには正六面体の小型ドロイドが浮遊している。

「ショットガンがなんだ!俺はニンジャだ!」そう言い捨て、彼はやおら物陰から飛び出した!その両手にはスリケン!「ダッテメッ」反応しかけるヤクザめがけ容赦ない連続投擲!「イィーヤヤヤヤヤ!」

6D6 → 4, 5, 4, 4, 5, 2

「アバーッ!」額と四肢にスリケンを受けたクローンヤクザは即死!「オトトイキヤッガレ!」壁に縫い付けられたヤクザ死体に唾を吐きつけ、アルビノマウスは悠々とビル内に侵入した。

「……5枚はやりすぎたかな」アルビノマウスは通路を進みながら、先程の攻撃について思案する。自分はニンジャなのに、クローンヤクザ1体ごときに力みすぎではないか。だが、もし殺し損ねてしまったら……。

仮にショットガンが火を噴いたとしても、持ち前のニンジャ器用さで回避したり、散弾をすべて摘み取ることすらできただろう。アルビノマウスはそう楽観的に考えることにして、惰弱な想像を振り払った。

「ロックピックは得意分野だぜ!」物理鍵の構造を瞬時に見破ったアルビノマウスは懐からヘアピンや雑多なツール類を取り出し、流れるような手付きで物理解錠を始めた。

選択肢2:
6D6 → 6, 1, 2, 6, 6, 4

「スウィート…スポット!」カチャリ。奥ゆかしい解錠音にアルビノマウスは目を細めた。非凡なニンジャ器用さの前には、並の錠前などショウジ戸同然である。「この瞬間がたまらなく好きだぜ……」うっそりと呟きながら、彼はしめやかに入室した。

アルビノマウスはニンジャとなって日が浅く、ニンジャとして大きな失敗や挫折を味わった経験に乏しい。ひとたび逆境に直面すれば、彼はたちまちパニックに陥ることだろう。だが今はその時ではなかった。彼は首尾よく侵入できたことに気をよくし、無警戒で部屋の奥へ進んだ……その時!

クローンヤクザのアンブッシュすら察知できないとは何たるウカツ!アルビノマウスの眼前にドスの切っ先が迫る!アブナイ!

3D6 → 5, 6, 1

「イヤーッ!」だが次の瞬間、ヤクザの手首はあらぬ方向に折れ曲がり、ドスは宙を舞っていた。電撃的速度の蹴り上げである。アルビノマウスはニンジャなのだ!「グワーッ!」「俺の脚力をナメるな!」さらに空中のドスを蹴り飛ばし、苦悶するヤクザのこめかみに過たず命中させた。「アバーッ!」メイジン!

「驚かせやがって……おっ?」倒したクローンヤクザの身なりが少し良いことに気づいた彼は、素早く死体の懐を即座に改めると、1枚の万札を抜き取った。「クローンヤクザ風情にゃ勿体無い額だな。儲けたぜ!」

「ンー……」アルビノマウスは改めて、目標であるUNIXに向き直る。彼にハッキングの知識は乏しい。他に手段があるだろうと楽観的に考えていたが……「チクショ、自分でやるしかねえ!」彼は腹をくくり、覚束ない手付きでタイピングを開始した。UNIXにはヤクザクランの銀行口座ログイン情報も残っていたが、彼には欲をかく余裕も知能もない!

選択肢1:
1D6 → 5

「……ハァーッ、ハァーッ!」やがてアルビノマウスはタイピングを止め、額の脂汗を拭った。UNIX画面には「データ転送完了な」の文言。株券データの奪取に成功したのだ!「や、やった!」

安堵の表情を作りつつも、慎重な手付きでUNIXからデータ素子を抜き取る。スラッシャー傭兵としての経験から、UNIXに致死的な罠がビルトインされている可能性に思い至ったのだ。何も起こらないのを確認して、彼はようやく一息つくことができた。

「サツか」四方八方から迫るサイレン音。モータルの犯罪者であれば、NSPD警官に囲んで棒で叩かれブザマに息絶える未来を想像し、慄いたことだろう。しかし。「ハッハア!」KRAAAASH!アルビノマウスは窓ガラスを蹴破り、回転ジャンプで勢いよく外へ飛び出した。彼はニンジャなのだ!

「アバヨ!」白い影は見上げる警官たちを尻目にビル看板を飛び渡り、ネオサイタマの夜闇に消えていく。この力があれば、ヤクザもサツも怖くない。トライアングル・リープを決めながら、アルビノマウスは笑っていた。

この奔放な生活が間もなく終わりを告げることを、彼はまだ知らない。

【ティル・ジ・エンド・オブ・ア・ニンジャズ・レックレスネス】 終わり



おわりました。

いかがだっただろうか……。
私はニンジャスレイヤープラスを購読しており、当然ニンジャスレイヤーTRPGルールブックにも目を通してはいたのですが、実際にプレイした経験はありませんでした。
今回、簡易ルールとはいえ実際にゲームをやってみて最も印象に残ったのは、やはりキャラメイクの手軽さです。特に今回はtwitterの実況タグを追いかけながら作ったという状況も相まって、そのスピード感に慄いた。必然、数値的にはシンプルな内容になるのですが、「ニンジャスレイヤー世界のサンシタニンジャ」という文脈が良い感じに作用し、「一山いくらの雑魚キャラでありながら、背景やキャラクター性を深く想像できる」という印象があります。実践の敷居を低くとりつつ、TRPG特有の脳のクリエイティヴな部分が刺激される楽しさはしっかりと担保されており、楽しかった
TRPGはCoCで一度挫折した経験があるため、実卓への参加にはまだ抵抗がありますが、今回のソロアドベンチャー形式は楽しんで遊ぶことができ、リプレイのようなものまで書いてしまう始末なので、いつかTRPGプレイヤー精神がリブートし、明るい未来などが訪れる可能性が少し見えた気がします。
改めて、今回は楽しい企画をありがとうございました!


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【エピローグ】

「フウ」アルビノマウスは高層ビル屋上の給水塔に腰掛けると、懐から一枚の写真を丁寧に取り出した。
「もうすぐ帰るからな……」語りかけるように独りごちる。写真に写っているのは、白毛に赤い目をした美しいバイオ猫。彼の飼い猫であり、唯一の同居人である。

「臨時収入もあったことだし、今日はインゴット増やしてやろう、うん」
彼は先程のミッション中にクローンヤクザから奪った万札を思い出し、笑顔になる。バイオ猫の飼育に必要なバイオインゴット餌は高価なので、普段は節約して与えている。たまにはたらふく食べさせてやりたい。
「ヨロシサンとコネがありゃなぁ」

「お前の望みはそれか」

「ああ、そ……」
その声に反射的に返事をしかけ、アルビノマウスは凍りついた。
呼びかけの主は彼のすぐ背後にいた。
給水塔の上、周囲に物陰はない。一体何処から。いつの間に。背中を冷汗が伝う。彼は死を覚悟した。

「ドーモ、アルビノマウス=サン」

謎の人物は彼の耳元でアイサツを繰り出した。その茶色のニンジャ装束には……ナムサン。クロスカタナのエンブレム。

バンディットです。お前をソウカイ・シンジケートへ連れていく


【エピローグ終わり】

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