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スポンサーシップのチャリティー利用 -ソニーオープン・イン・ハワイの事例から-

昨今スポンサーシップを通じたチャリティー活動は、企業が社会貢献を果たす重要な手段の一つとなっています。

「ソニーオープン・イン・ハワイ」は、ソニーグループによるスポンサーシップの下、ハワイで毎年開催されるゴルフトーナメントで、収益の大部分を地域社会に貢献するチャリティー活動に還元しています。

今回はこの「ソニーオープン・イン・ハワイ」の事例を見ながら企業がスポンサーシップを通じてどのように社会とコミュニケーションを取っているか、見ていきたいと思います。


「ソニーオープン・イン・ハワイ」とは

ソニーオープン・イン・ハワイは、ソニー株式会社がスポンサーとなっているPGA(全米プロゴルフ協会)ツアーの一つで、ソニーは1991年よりスポンサーを務めています。

2024年の大会は1月11日から14日まで行われ、優勝賞金142万ドルをかけ世界のトップゴルファー144名が参加したハワイ最大のチャリティーゴルフイベントです。

このスポンサーシップは、ソニーにとってのブランディングだけでなく、ハワイの地域社会への貢献やゴルフを通じた社会貢献活動としても位置づけられています。参加者や観客に直接企業のメッセージを届ける可能性を持つ一方で、社員のモチベーション向上や企業文化の醸成にも寄与します。


ソニーオープン・イン・ハワイのスポンサーシップ実施内容やその効果

ソニー株式会社はこの大会のスポンサーシップを様々なかたちで自社のブランディングに役立てています。5つの項目でそれぞれ見ていきましょう。


①タイトルスポンサーとしての支援

ソニーは1999年からソニーオープン・イン・ハワイのタイトルスポンサーを務めており、2026年までのスポンサーシップ延長を発表するなど、長期的なコミットメントを示しています。

この国際的に大きな大会は約216カ国の5億6000万世帯に放送され、冠を持つソニーは世界中に企業PRを行うことに成功しており、このチャレンジする若者を応援するという企業の姿勢を広く印象付けています。


②ブランドと製品のプロモーション

タイトルスポンサーによるPR効果はメディアを通した拡散等空中戦の意味合いが強いですが、大会会場でのPRという地上戦でのプロモーションも行っています。

自社の製品やサービスを展示し、大会の観客、ボランティア、イベントパートナーからの貴重な市場データを収集する機会を得ることで、ブランドの認知度向上と製品マーケティングの強化を図っているのです。


③チャリティーへの寄付

ソニーオープン・イン・ハワイは、ハワイで最大のチャリティースポーツイベントとして開催され、ソニー株式会社と「フレンズオブハワイチャリティ」という有志団体が共同で事前活動を行ってきました。

1999年に43の慈善団体に25万6千ドルを提供して以来、年間120万ドルを超えるチャリティー収益を上げ、350以上の地元の非営利団体に合計2400万ドル以上を提供しています。

その資金を元に非営利団体が地域のボランティア活動、女性、子供、高齢者や低所得者層へ健康と教育等の支援を行っています。


④地域社会との関係構築

各日数千名の観客が押し寄せ大会の行方を見守ります。彼らの多くは州外からの観光客であるため大きな経済効果が見込まれます。

また、2024年大会には約1,200人のボランティアが参加し、入場管理、プロ選手の輸送、ボランティアプールなどの分野で活躍するなど、「ソニー」の名前を冠したこの大会が地域からの大きな支持を得ていることがわかります。


⑤環境への貢献

ソニーオープン・イン・ハワイは、持続可能なビジネス慣行とエネルギー効率の向上に向けた取り組みに対して、ハワイ州からグリーンビジネス賞を受賞しています。

パークアンドライド方式、再利用可能な素材を用いた食器の利用、太陽光電源の利用、リサイクルボックスの設置など、汚染や廃棄物を防ぐ実践方法を開発・実施することで、環境の質を高めると評価されたものです。


まとめ

ソニーはこの大会を通じて、スポーツを利用した社会貢献、地域社会との関係強化、ブランドプロモーション、環境保護への貢献など、多方面での活動を展開しています。

これらの取り組みは、企業の社会的責任(CSR)を果たすと同時に、ソニーグループのポジティブなイメージを世界に向けて発信する重要な役割を果たしています。

スポーツ大会への協賛を単なる企業認知、商品PRだけではなく、地域との関係構築や環境保全への貢献など複合的な役割を持たせることで、総合的なブランディング効果を狙ったものでしょう。

金額感に違いはあっても、こうした総合的な効果を狙ったスポンサーシップの活用という取り組みは参考にできる部分があるかもしれません。



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