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タスク指向UIは悪なのか? 業務管理ツールに初めて関わったデザイナーがOOUIを読んで考えたこと

導入

こんにちは、デザイナーのたけです。
これまで私はwebのUI改修やバナー・チラシ作成がメイン業務だったのですが、今年の4月に担当する事業が変わり、はじめて業務管理ツールのUIに携わることになりました。そこで業務管理ツールのUIと言えば!と思い、今更ながら書籍「オブジェクト指向UIデザイン」を読んだのです。

その後、オブジェクト指向UIに則ってUIを作ることが正しいんだ!と思っていたのですが、その後エンジニアと話していた時に「じゃあタスク指向UIはダメなの?」という問いを投げかけられたことがありました。

以下、その問いをきっかけに、タスク指向UIについて考えたことをまとめます。


タスク指向UIは悪ではない

タスク指向UI/オブジェクト指向UIそれぞれの概要や違いについては省きますが、UIを操作するには、操作対象となるオブジェクト(名詞)とそれに対して行うアクション(動詞)の2つが明確になっていることが必要です。

普通の生活の中では、オブジェクトを決めてからそれに対して行うアクションを選ぶのが一般的です。逆にすることもできますが、不自然な感じがします。何を渡されるのか全くわからない状態で「受け取りますか?」って聞かれても、「はい」か「いいえ」を答える前にまず「何を?」と聞きたくなるはずです。

ですが、逆に言うと操作の対象となるオブジェクトがすでに決まっているorいつも一定なら、タスク指向UIでも使いやすいということになります。
そこで、「操作するオブジェクトが決まっているorいつも一定」なUIのオブジェクトとアクションを分解して考えてみました。

①ATM
対象:自分の口座にあるお金
操作:引き落とす・記帳する・振り込む など
・・・操作対象を選ぶ(他の人の口座に対して操作を行う)ことがあってはいけない
②電車の緊急停止ボタン
対象:そのボタンが設置されている駅から一定の範囲内を走る電車
操作:停止する、または停止信号を送る
・・・緊急時に押すものなので、対象や操作を選ぶ時間は極力無くした方がよい
③Amazon Dash
(2019/8/31でサービス終了しているのでちょっと古い例ですが。。)
対象:ボタンごとに設定された特定の商品
操作:買う
・・・使用頻度が高いものは、対象や操作を選ぶ対象を省略してユーザーの負担を減らす方が良い
④AppClip
「コーヒー屋さんの近くに行くと、そのお店のアプリを入れていなくてもアプリの一部の機能を利用することで、アプリ上でコーヒーを買うことができる」といったもの

対象:ユーザーから一番近い位置にあるコーヒー屋さん
操作:注文する
・・・ユーザーに「注文する」というゴールへの到達を促す
その後、実際に注文するコーヒー(対象)を選ぶ→買う(操作) という動作が続く

ざっくり4つほどタスク指向UIの例を集めてみましたが、こうして見てみると、確かに使いやすいタスク思考UIは「操作するオブジェクトが決まっているorいつも一定」になっているようです。


「使いづらさ」に対する勘違い

主にソフトウェアのUIを設計する時には「オブジェクト指向UIにのっとって設計するのが良い」というのは書籍を読んで理解できたのですが、理解が浅すぎて「UIが使いにくいのはタスク指向UIだから」という理解をしてしまっていたようです。

そのために「逆にタスク指向UIはどういう時に適しているのか」を具体的に理解できていませんでした。ですが、

①まず「操作する対象が決まっているか?」を考える
②決まっている→タスク指向UIが適している
 決まってない→オブジェクト指向UIが適している

このように考えることで、「タスク指向UIは悪ではない」ということに納得できました。


結論

タスク指向UIもオブジェクト指向UIも、正しく使えばとてもわかりやすいUIを設計することができる

●タスク指向UIの使いどき
・ユーザーが行う操作の対象が常に一定である時
・ユーザーを特定のゴールまで確実に誘導したい時
・緊急時など、特定の操作をミスなく行う必要がある時
・・・ハードウェアが絡むものなど、現実世界におけるユーザーの行動の文脈に強く影響を受けるUIはこちらが適していることが多い

●オブジェクト指向UIの使いどき
・ユーザーが行う操作の対象が、操作のたびに変わる時
・ユーザーが自由に画面間を行き来することが想定される時
・・・画面の中でほぼ全ての操作を完結させる必要があるソフトウェアのUIはこちらが適していることが多い

●それぞれの使いどきを間違えてしまうと、とても使いにくいUIが爆誕してしまう

タスク指向だからダメとかオブジェクト指向だから絶対いいとかではなく、ユーザーが置かれた状況や行動の文脈という本質をとらえて、都度それに合ったUI設計をすべき、という至極当たり前な結論に至りました。

また、これはタスク思考UIを集めていて気づいたことなのですが、タスク指向UIはハードウェアなどの現実の文脈に依存するものが多いことに気づきました。

今後AppClipのように、ユーザーの現在地によって情報を表示するようなサービスはどんどん増えていくと思います。その際、GUIの外=現実世界におけるユーザーの行動の文脈を考慮し、タスク指向UIとオブジェクト指向UIを適切に使い分けることが必要になってきそうです。

拙い文ですが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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