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名前

息子が名前でからかわれた事がある。
小学校に入学したばかりの一年生の時、
同じ下校班の子が、息子の名前の事でしつこく、
何度も言ってきたらしい。
同じ下校班のママさんが迎えに行ったとき、
その様子を目撃して、私に連絡してくれた。
「止めてって言っても何度も言われて、とても
嫌そうだった。息子くん大丈夫かな?」と。
息子が私に、からかわれている事を話せないのではないかと、心配してくれていた。

私は息子に「下校班で困ったことある?」と、
それとなく聞いてみた。
息子は名前でからかわれていると話してくれた。
「それは嫌だね」とママが言うと、
息子は「からかわれるのも嫌だし、
もっと嫌なのは、止めてって言っても止めてくれないこと。」と言った。

息子の名前は珍しいとは言えない、
どちらかと言うと古風な名前。
からかわれる本人は嫌だと思うけど、
からかっている方は悪気がないのかも。
息子に「ちゃんと止めてって言えたんだね。
からかうのは悪いことだけど、
一年生になって、新しい友達の名前に興味がある
のかもね」と言った。
ママの言葉は、なんの解決策にもならなかった。
けれど、その子とは放課後遊ぶ仲になり、
その内からかわれた事も大した事ではなくなった。

ある日、テレビを観ている時。
若手のタレントさんが出ていた。
名前をみて、「面白い名前」と思わず感想を言って、息子の方をみて、その名前と同じ様な響きの言葉を見つけては「○○みたい」と、笑った。
すると真顔で息子に「人の名前でふざけちゃダメ」
と、注意された。
思わず「だって芸名だよ」と言いかけて、やめた。
「自分がからかわれたら嫌なのに、テレビに出てる
人をからかうのは良いのか」と、
もし息子に聞かれたら、私は説明出来ない。
代わりに私は「そうだよね、ごめん。」と言った。
そして、息子の前で、人をからかう姿をみせた
事を反省した。

息子が幼稚園に通っていた時、
同じ組のママさんが「自分が子育てしているつもり
でいたけど、お友達に育ててもらってる」と話して
いた事があった。
外の世界で教えられた事は、母親の私が教えて
あげられないことなのかもしれないと、
そのママさんの言葉を思い出して、
そんなことを考えた。

息子は、母親の知らない外の世界で学んで、
少しずつ成長している。
そして教えているつもりが、
息子が教えてくれる時もある。
私も学ばせてもらっている。
私も成長しなければならない。

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