回転寿司にアカマンボウ

昔、まことしやかに囁かれたのが、『回転寿司のマグロは、実はアカマンボウだ』という噂だ。
覚えている人は居るだろうか。

流言蜚語を真に受ける男

数年前のある日、家族で回転寿司を食べに行った。
息子はいつもの通り、マグロとたまごとコーンを注文して満足そうな顔だ。
そんな息子に旦那は笑いながら
「なんだお前、アカマンボウ好きなのか!!バカ舌だなぁ」
と言い放つ。
息子がキョトンとした顔で
「これ、マンボウなの?」
と尋ねると
「そうだぞ、本物のマグロは全然違うぞ~。今度おじいちゃんちで本マグロ食べさせてもらおうな!おじいちゃんは魚屋だから!」
とドヤ顔で言うのであった。

当時はその数年前に大きな食品偽装の事件もあり、食品の表示に関する法律も出来ていて、私は内心「は?」と思っていたのだが
旦那と息子は目の前にあるマグロのお寿司がアカマンボウだと信じて疑わなかった。



マグロを見ると思い出すミートホープ

この一件以来、私はマグロを見るとミートホープを思い出す。
食品の偽装は大事件だということと、偽装するにも努力がいるということだ。先日youtubeにこんな動画があった

ミートホープ事件のお肉を再現した動画。中身について嘘ついてたらそりゃあかんけど、凄くないですか?
めちゃ研究開発?してるじゃん

偽装は研究だからこそ、
あの漁獲量のアカマンボウを、マグロだと偽装するためにしなければならない努力の量を考えると、私の住む地域の大手チェーンでそれを食べるのは現実的ではないと気付くはずだろう。
そう、うちの元旦那はバカなのだ。
キャベツとレタスの違いも分からないようなやつだ。


疑っても無意味、だからこそ告発は難しい

目の前のひき肉が、輸入品か国産か、など消費者の目からはわからない。知る手立てはあるだろうけど、私の身近にはないように思う。
だからこそ、信じるしかないのだ。
表示そのものではない。
それを作っている人の良心と、監査の人の仕事ぶりをだ。そして、良心による内部告発は注意して扱った方がいい。

ミートホープ事件の告発者、赤羽喜六氏が告発の後、どうなったかご存じの方はいるだろうか。
「告発なんてするんじゃなかった」と言わしめる社会の圧があった。まだ知らない方は当時の事件の概要とその後を読む事をお勧めしたい。
私も今日、この記事を書くにあたって、赤羽氏が先月亡くなっていたことを知った。ご冥福を祈る。


私がもし、赤羽氏のような立場にあったら、告発できるだろうか。
出来る人間でありたいと思う。


さて、その後、私とこの旦那は離婚するわけだが、
私はこのアカマンボウ事件を今も忘れない。
子育てをしていく中で、親の情報リテラシーが子供にどれだけ影響するかマジマジと見せつけられた事件だったからだ。

サンタさんはいません!(クリスマスキャロルを手渡して)

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