紫波らしさを言語化するラジオ
となりの公務員を支えてくれる頼もしいパートナーのひとり、
ファンベースカンパニーの池田さんが渋谷のラジオで紫波を語ってくれた。
辛い思いをすることもあるけど、
こうやって紫波らしさを語ってくれる周りの方々のおかげさまで
となりの公務員は心の炎を取り戻すことができている。
感謝記念に、ラジオの内容を記しておこうと思う。
『渋谷のgoodトーク』音声で聞けるのでおすすめです!
渋谷のgoodトーク 文章でもお楽しみください
パーソナリティー:Shibuya Good Pass 運営 大家雅広さん
アシスタント:青山学院大学マスコミ研究会 諸橋翔太さん
本日のゲスト:ファンベースカンパニー 池田寛人さん
スタジオでの生放送は久しぶりですね。
だいぶ涼しくなってきたような気がしていますが、
気がしているだけですね。 東京の暑さは異常ですね。
これくらいの時間からビールでも飲めれば最高なんですが、
今の渋谷でビアガーデンに行っても汗ダラダラですよね。
最近は渋谷もシードル屋さんが増えてきまして。
シードルっていうのは、りんごのシュワシュワしたお酒で、
イギリスだとサイダーと言ったりするんですが、
仕事で全国を周る中で、
青森県の弘前に行ったときにもサイダーを造っている会社があったんです。
日本でもこんな会社があったんだと驚きましたね。
ヨーロッパだと当たり前に造られているようなんですが、
日本だとクラフトビールも結構飽和状態だったので、ちょっとびっくりしましたね。
今、全国どこに行ってもクラフトビールが必ずあると言ってもいいくらいありますよね。
渋谷の人たちはクラフトビールの楽しみ方をわかっている人も増えてきたように感じます。
同じように、シードルというのも幅が広いお酒ですよね。
日本ではあまりそれを造っているところがないんですが、
どんどん広がっていってほしいですね。
りんごのお酒なので、ジュースのように軽い感じもありながらワインのような果実酒の深みも味わえて、ぶどうと同じように、りんごのこういう楽しみ方って、深い感じがしますね。
僕も父親の実家が岩手なので、東北のりんごを食べる機会も多いんですが、
りんごの産地は全国にいろいろあるので、全国的な動きになったら楽しいですよね。
日本の酒の文化が広がるのはとても楽しいですよね。
もともとあった文化に、欧米の文化が融合したりしてね。
新しい文化の新拠点としての渋谷だと思うので、渋谷から始まり地方でも楽しみ方が発展していけばいいと思います。
さて、本日はファンベースカンパニーの池田さんにお越しいただいています。
ぱちぱちぱち。
ファンベースカンパニーは、企業や地域が大切にしているブランドを支持するファンの情緒価値を高め、共に未来の価値創出を目指しているということなんですが、社名にもなっている「ファンベース」という考え方とは?
ファンを基盤に、事業価値あるいは地域の価値を高めていく考え方です。
ファンマーケティングとは違う点がポイントです。
ファンマーケティングというのはファンを育てていく、あるいは新たなファンを作っていくというところに重心があるものですが、ファンベースというのは、「今すでにファンになってくれている方々を大切にして、その方々により一つ多く買ってもらう、その方々に周りの似たような方を連れてきてもらう、熱量を伝播してもらう」というような考え方だとご理解いただくといいかなと思います。
ファンというと、アイドルを応援している方々をイメージしてしまいますが、ファンの輪を広げていくというよりも、既存のファンの感情をどれだけ広げていけるかということなのですね。
そうですね、私たちの考えている「ファン」の定義からお話しした方がいいかもしれませんね。
今まさに話していただいたような、アーティストやスポーツのファンをイメージされたと思うのですが、私たちの定義は、企業あるいは地域が大切にしている価値を共感して応援してくれる人、という定義です。
更に補足すると、ファンというのは価値に共感する方ですが、その中でも情緒価値を感じてくださる方と定義しています。
一般的に企業や地域の価値というのは情緒価値と機能価値に分けられると考えています。
例えば渋谷で言うと、「いろんなところからアクセスが良い」であったり「居酒屋が安い」だったり。これらは機能価値と呼んでいるものです。この機能価値は、良いものであればあるほど、他も真似できてしまうものなんです。アクセスを良くしよう、安くしようと。
でもその一方で、渋谷は「ごちゃ混ぜの文化を許容してくれる」そこにすごく共感すると言う感情は他の地域が真似できない。なので、機能価値も大事なんですが、情緒価値まで感じてくれている方々をファンという風に定義しています。
すごくシンプルに言うと、そのまちらしさ、その企業らしさに共感してくれている人々という捉え方ですね。
なるほど、そうですよね、人に置き換えてもそうですよね。
顔がいい、とか足が速いとかで好きということ以上に、この人らしさに惚れているかどうかという点ですよね。
そしてそのファンをベースにした「ファンベースコミュニティ」というものを運営されているということですが、
これはどういったものなのですか?
はい、今その町らしさ、その企業らしさに共感する人をファンと考えるという話をしたんですが、
その共感する人の輪を広げていく、コミュニティになります。
通常「コミュニティ」という言葉だけだと、「囲い込み戦略」などと思いがちですが、私たちが考えているファンベースコミュニティというのは、例えば渋谷らしさをわかっている人々と継続的につながることで価値をさらに高めていく、広げていくものと定義しています。
なるほど。新しい考えですね。考えたことはなかったですね。
それは具体的にはどのような場所でやっているのですか?
弊社としては企業様の案件も多いのですが、
地域としては10自治体と一緒にやらせていただいています。
その中でも北海道の帯広、十勝と、岩手の紫波町さんとは長いお付き合いです。
ファンベースに取り組むときに一番最初にすることはどの地域でも一緒で
「らしさを言語化する」ということですね。
十勝しかできないこと、十勝が特に強みなこと、などをファンの言葉を通じて言語化していきます。
十勝というのは、帯広市という道東エリアの16市町村を合体させたエリアの総称です。
十勝エリアのまちづくりを推進するときに、ファンを増やしたいというのは共通認識でした。
総務省も、関係人口の定義をファンベースだと書いてくださっている。
弊社の書籍を読んでくださったかはわかりませんが、
多くの自治体において、関係人口を増やすということはファンを増やすことだと理解してもらえているようです。
でも、そのファンの実態がわからなければアプローチもできませんから、まずはどのような人が十勝のファンなのか、そのファンは十勝のどこに価値を感じているのかを明らかにしましょうというところからスタートしました。
十勝のことを好きなファンは、一言で言うと「開拓者精神のある方」でした。
十勝のエリアは北海道では珍しい開拓者が集まるエリアなんです。
屯田兵が多い北海道において、十勝だけが何もないところに主体的に開拓をしていったエリア。
濃いファンに話を聞いていく中で、共通点としては開拓者精神がある人たちだった。
小さいことでも自分で何かを作る、そこを応援し合うと言う文化があるようでした。
ファン調査のために、濃いファンに集まっていただく会を複数回やった中で、一つは移住者だけのファンミーティングをしてみました。究極のファン集団とも言えます。
そうすると、中の人だけのファンミーティングでは気づかなかったポイントがたくさん出てきたりして、やはり外からの視点はいつも気づきがあるなと思います。
もう一つの自治体、岩手県の紫波町では酒造りも一緒にやっている?と言うことですが、これはどう言うことでしょうか。
最初のアプローチは十勝と全く一緒でした。
他の自治体と同じ取り組みをしても、その自治体に魅力を感じて移住をしたり共感すると言うことはないと思うので、まずは紫波町らしさを言語化しましょうというところから始まりました。
紫波の場合も十勝と似ていて「チャレンジ精神旺盛な方が多い」と言うのは共通していたんですが、
どちらかというと「外からの文化を許容しながら、新しく何かを挑戦してもらう」と言うスタンスが、すごく紫波町らしさとしてありました。
もちろん、中にいながら新しいことに挑戦する人もいるんですが、どちらかと言うと外からのスキルや外からの文化を、紫波町を舞台にして花開かせると言うところが「紫波らしさ」としてファンから認められていました。
これは後付けなんですが、
紫波町は、日本酒の南部杜氏集団という最大規模の杜氏集団の発祥の地なんですね。
それも、最初の杜氏は近江から連れてきているんです。その人が、南部杜氏の技術を育てて、まちができていった。
酒が先で、その後にまちができているんですよ。
十勝は自分で開拓していく、紫波町は受け入れて育てていく。
それぞれのスタイルが明らかになりましたね。
そして紫波町の事例はとてもわかりやすくて、
紫波町は今、日本酒のコミュニティを一緒にやっていて、
「はじまりの酒蔵」という名前のコミュニティなんですが、
何やってるかというと、シンプルに言うと
「新しい日本酒ブランドを一緒に育ててます」と言う感じですね。
「はじまりのお酒」というブランドを一緒に育てています。
通常の流れだと、地元の人が地元の自治体の助成金で地元で作ると言う流れだと思うんですが、
紫波町のファンタイプを考えると、紫波町は「外の人を受け入れて、紫波町を舞台に何かを一緒に作っていく」と言う強みがあるので、今回のコミュニティも参加者の95%は外の人なんです。
外の人がお金を出し合って、ブランドを育てていくというコンセプトの取り組みです。そうすることで、外の人が自分事化して、紫波町を訪れたりするんですが、紫波町のすごいところは、そうやって外から来る人に対してバリアを貼らないというか、受け入れてくれるんですよ。なので、一緒にやっていく活動にモチベーションが上がりやすい。
現在、コミュニティの参加メンバーは、もちろんここ渋谷の人もいますし、カナダやオランダの人もいます。
もちろん、大元のブランドを立ち上げた会社「(株)酒と学校」は紫波町にあり、地元にコミットする社長がいて、その起点があった上での仲間集めという順番ではありました。
なるほど、すごいですね。
そうやって、ファンから地域の価値を改めて教えてもらうことにもなりそうですね。
話は変わって、ここ渋谷のまちはどういった「らしさ」があると思いますか?
渋谷は、学生時代も今もよく来るまちですが、
ごちゃ混ぜな文化を受け入れるところが好きですね。
チャレンジのハードルが低いというか。
なので、ここら辺をさらに突き詰めていってほしいですね。
なるほど。渋谷にはどういったファンがいると思いますか?
どこの地域にも、らしさに共感する人のタイプというのがあると思うんですが、渋谷の場合はきっと好奇心旺盛な人であることは確かだと思いますね。
ちゃんと分析できていないのですが笑
ファンベースに取り組むことは、自分の地域の良さに気づくプロセスになるのでしょうね。
最後になりますが、池田さん個人としてまたは会社としての目標はなんですか?
ファンベースという考え方を軸に活動していると、
企業や地域を超えて、個人としての生き方だと感じてくるんです。
自分の生き方を認めてくれるのがファンで、そのファンが自分の活動や人生の糧になることがある。
マイルストーンとしては、企業の中にファンベースの専門部署ができること、学校の中にファンベースの授業が設けられることを目標にしています。
去年、サンリオさんがファンベースの専門部署を立ち上げてくれたんですが、授業はまだないですね。
青学でぜひやりましょう!
是非是非!よろしくお願いします。
完
ということで、27分ほどのラジオ番組を聞きながら、
紫波らしさを、紫波を好きでいてくださる方々と一緒にこれからも
伸ばしていきたいなと改めて感じました。
紫波を応援してくれる人がいる。
このことだけで、役場の職員はがんばれると思います。
ファンベースカンパニーの池田さん、ありがとうございました!
そしてはじまりの酒蔵メンバーの皆様も、これからもよろしくお願いします!
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