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軽井沢と本。

地元の温泉のエリアリノベーションの参考にと、
軽井沢へ弾丸ツアー視察に行ってきました。

目的の施設は「Karuizawa Commongrounds」の中の軽井沢書店。

ここのコンセプトは「軽井沢の森で、働く・学ぶ・遊ぶ・商う・住まう」

もともとは青山学院女子短期大学の中軽井沢寮だった建物をリノベーションした施設で、3500坪という広大な森の中に、軽井沢書店をはじめ、カフェ、コワーキングスペース、お蕎麦屋さん、お惣菜屋さんなど、それぞれのテナントが棟として存在しています。

軽井沢での暮らしを妄想してしまう軽井沢書店の店内


この場所で運命の出会いがあり、
紫波に帰ってからもずっと私の脳内は「本」のことでいっぱいです。

出張は突然に

今月のはじめ、急に軽井沢出張に行けることが決まりました。
理由は、紫波に作りたい文化拠点のイメージに、ぴたり賞をささげたいほどぴったりな書店があることを偶然発見したからでした。

ただの商業施設であればweb上の情報でも足りるのですが、
コミュニティが生まれ育つ施設や、暮らしに根付くような施設は、実際に行って見て感じてみないと機能しているかはわかりにくく、そのことが出張の決め手となりました。

出張が決定した数日後、偶然紫波町を訪れていた「長野から来たサウナと酒の旅人」浩平さんが紫波町図書館の司書さんに連れられて、紫波町役場の商工観光課にやってきました。

「酒とサウナということなので、お連れしました!」
と司書の手塚さんは楽しそう。
となりの公務員のもとへ、いつもこうして誰かが連れてこられて
つながり、何かがはじまっていく紫波町です。(笑)

浩平さんは戸惑いつつも、最終的には話が盛り上がり役場で自撮りしていました。

図書館の手塚さんと、となりの公務員と私と自撮りするゲスト浩平さん


そんなこんなで、偶然にも数日後に軽井沢に行くことが決まっていた私ととなりの公務員をアテンドする運びとなりました。地元の方に混ざれることは、旅を何倍も有意義なものにしてくれます。

どんどんつながる軽井沢のご縁


軽井沢に到着して数時間は、ピザを食べたり日本酒を愛でたりして観光を大満喫しながらWi-Fiを利用してオンラインの打合せを数件こなし、標高1500mにやっと慣れて来た頃、目的地であるKaruizawa Commongroundsにようやく足を踏み入れました。

そこでも偶然の出会いが。
浩平さんがそれとなく話しかけた方、それがあさま社の坂口さんとの出会いでした。

坂口さんは軽井沢へ移住した一人で、おひとりで出版社を立ち上げたと言います。


そして軽井沢書店ではもちろん坂口さんが出版する本が並んでいて、
浩平さんはうれしそうに、

「表紙のイラストを描いた人も、著者も編集者も、全員が軽井沢の知り合いなんです」と言いながら本を紹介してくれます。

この地に集う人がお互いに作用してカタチになった本・・・

軽井沢スピリッツのようなその本が、ビジターである私たちの手に渡った。
この本を読み終わる頃には、きっと何かが変わっているに違いない。
なんだか、そう感じました。

『自分時間を生きる』あさま社


本の内容はもちろん素晴らしいのですが、私は何よりも、軽井沢に移住して、それまでの会社を退職し、出版社を立ち上げた坂口さんがつくりあげる本気の書籍という土台の部分にずっと魅力を感じながら、最後まで一気に読んだという感じです。


あさま社の坂口さんの言葉が何度も私に刺さる


そうしてあさま社と坂口さんを知った私は、坂口さんの言葉を読み漁りました。こういう時にnoteはとても便利です。
坂口さんが移住したことで自分の中で変わった何かを丁寧に言葉にしておられました。

軽井沢に移住をして、自分の中で変化を感じた。
自然と湧き出す、何かやってみたいなという想いをキャッチした。

坂口さんのnoteより抜粋

内側から湧き上がっている輪郭のない思いを
手触りのあるものに変えたくて

坂口さんのnoteより抜粋

・自分のやりたいことを大切にしてほしい
・内発的な衝動をちゃんとキャッチしてほしい
・そのための心と体を整えていってほしい

坂口さんのnoteより抜粋「娘さんへの願い」

移住した時に感じる”衝動”を自分でキャッチして動こうとしていること、子どもにも自分らしい人生を楽しんでほしいという気持ち、うんうんわかると頷きながら読んでしまいます。

同じ移住者として、普段思っている感情を言葉にしてくれている坂口さんの書くnoteはとてもありがたい存在だと思いました。

紫波町の移住者の多くは、こう思っています。
「まちと関わることで自分自身を大切に感じ、前向きに生きようと思える」
そのプロセスを、まちは違えど坂口さんが説明してくれているように感じました。

東京と軽井沢は違うけど、軽井沢は「ないものをなんとかしようとする」
そのときに、人のつながりによって個人に役割が生まれる

坂口さんのnoteより抜粋

その場所を選んでやってくる風の人が、どのようにつながって、どのように悩み、そして活動していくのかを、坂口さんから生み出される言葉がどんどん説明してくれる。書籍も、noteも、全部読みたい。

そして読み進めている中で、とても素晴らしい取り組みを発見しました。


風の本棚・・・・
丁度私たちも「森のとしょかん」という仮称で、本を通じて人が出会い、世界が広がるようなことがしたいと考えていたので、とてつもなく参考になるプロジェクトだなと思いました。

実際のメニューの中で、特に目が釘付けになった「本のバトン」

あなたからの本のバトンをお預かりします。
大切だけど読まなくなった本を、次の誰かに手渡してみませんか?
"風の本棚"では、本の旅立ちをサポートします。

※ご持参の本に、バトンを受け取る方へのメッセージをご記載ください。

イベントメニューより

これを紫波でもやりたい
今私が感じているこの気持ちが、衝動なのだと思います。

きっかけとなったのは2年ほど前、紫波町の廃校活用の説明でのことです。

となりの公務員の母校である小学校を、「酒の学校」として活用しようとする説明会を開催しました。

教室の中に、お酒の本を集めた図書コーナーをこしらえていたのですが、
それを見たひとりの年配の男性が「ちょっと家に取りに行ってくる」と言って出ていき、少ししてから、両手にたくさんのお酒の書籍を抱えて戻って来ました。

自分が大好きなお酒の本を、読み終わったから他のお酒好きの人に読んでもらいたい。そう思って、寄附してくれたのです。

そしてその本を、たまたま説明会に来た若者が手に取り、小学校の机で読みふけっている。

説明会に来てくれた若者がついつい読書にのめりこんでいた

本を通じて、人がつながっている。
気持ちが通じて、「好き」が伝播している。
本のバトンだなと思った瞬間でした。

これを仕組み化できればいいなぁと妄想中です。
たまたま読むことになった本が、自分の中の熱源の輪郭をくっきりとさせてくれるかもしれないし、本の中に自分と同じ想いを発見してうれしくなったり、背中を押してくれたり、悩んでいる友人にもすすめて一緒に前に進もうと思えたりするかも。

本が持つ力と、人間の原動力のメカニズムを再確認させてくれた坂口さん、今回の軽井沢視察で最も意義深い時間でした。ありがとうございました。
つないでくれた浩平さんにも大感謝。

軽井沢から学んだことを、紫波で必ず活かそうと思います。

久しぶりの旅を、たっぷり楽しむことができました。



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