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【VISIONING VOICE Magazine #20】 「地元発!のギフトで世の中を元気に」〜株式会社地元カンパニー 代表取締役 児玉 光史さん〜

NEXs Tokyoが主催する、ローカルおよび国内外の広域展開に挑むスタートアップが“次のステージ”に向かって羽ばたくために、サポートをしてくれる人やファンと繋がる番組VISIONING VOICEをインタビュー記事としてまとめたマガジン「VISIONING VOICE Magazine」 📖

「VISIONING VOICE」はNEXs Tokyoと日経グループがコラボし、次のステージを目指すスタートアップ企業の3つの「カクシン(核心・革新・確信)」に迫り、起業家の想いを深堀りします。
パーソナリティは、長年スタートアップを取材している日本経済新聞社・上 田敬さんとNEXs Tokyoコミュニティスタッフ・閏野が務め、番組をお届けしています。
今回は上田さんの出張に伴い、株式会社日経リサーチ ・持木 俊介さんにお越しいただきました。

ゲストはDIVEコース(地域発)のスタートアップ、株式会社地元カンパニー 代表取締役 児玉 光史(こだま みつし)さんです!

バナーデータ_ゲスト

<登壇者プロフィール>
児玉 光史(株式会社地元カンパニー 代表取締役)
東京大学農学部卒、東京六大学野球のホームラン王。長野県上田市のアスパラ農家に生まれ、大学卒業後は電通国際情報サービスにてシステムセールスに従事。退職後、東京で暮らす農家の跡継ぎコミュニティを立ち上げ、地域の産品を都内で実験的に販売。地域産品の流通を活性化すべく「地元産品限定のカタログギフト」を考案。自身の結婚式で「地元産品限定のカタログギフト」を引出物として配布し好評だったことをきっかけに、株式会社地元カンパニーを設立。
株式会社地元カンパニー 公式サイト:https://www.jimo.co.jp/

作り手の見えるギフトへの転換

地域の野菜や果物、加工品などの産品を応援する、地域の自立分散型ギフトプラットフォームを立ち上げ、選べるカタログギフトの制作、販売をしている株式会社地元カンパニーの児玉 光史さん。カード型の商品紹介の裏に作り手の想いなどをストーリーにのせて紹介することで、地元と人をギフトでつないでいます。

スクショ(事業紹介1)

児玉さん:私たちのプロダクトは、1商品ごとにカードの形になっています。これを地域ごとや、復興支援やコロナ禍の応援、SDGsなど社会性のあるテーマごと、など20枚程度をひとつのラインアップにしてカタログを作っています。カードの裏には作り手のエピソードなどを掲載しています。事業者に取材しながら、ひとつひとつに物語を込める作りにしています。

スクショ(事業紹介2)

スクショ(事業紹介3)

スクショ(事業紹介4)

児玉さん:現在、法人ギフト市場は2.8兆円あり、個人の市場も入れると11兆円にもなる一大産業です。しかし、これまでのギフト市場は商品が出尽くしていて、仕組みとして売るものがなくなっている状況でした。既存のものを売ってもギフトとして喜ばれなくなる中、法人ギフト市場も個人の消費と同様、大量生産から作り手が見えるものへと消費のスタイルがシフトしてきました。そこで私たちは、単なる物ではなく「地元エナジー」を届けるということを目指しました。都心で働いている人が、地元に戻ると感じるような、満ち足りてチャージされた状態。私たちは、カタログギフトでその感覚をチャージしてもらいたいと思っています。特に昨今は過酷な状況にある医療従事者にもチャージしてほしかったので、選択したギフトを自分で受け取るのではなく、医療従事者宛に届けられる「寄付カード」を入れる取り組みを行いました。

【核心】購買が生まれる“鍵”は関係性

―― 起業された背景について教えてください。

児玉さん: 4年間東京でサラリーマンをしていましたが、実家が農家だったので、長男として将来どうするかというのは無視できない問題でした。まずは辞めないと答えも見つからないと思い、会社を退職しました。その後、アスパラ農家である実家の製品を東京で手売りしていたこともあります。そこではじめて商売というものを体感したように思います。サラリーマン時代は法人営業を担当していたので、動かすお金が年間数億円という額になることもありました。しかし、アスパラを売ってもその規模には到底届かない。やり方を変えながら農家のため、地域のためになるような道はないかと模索していました。

―― どのタイミングでカタログギフトというアイディアが出てきたのでしょうか。

児玉さん:自分自身が結婚する際に、参列者に渡す引き出物を考えたのですが、既存のカタログギフトにはあまり惹かれるものがありませんでした。そこで、実家のアスパラや友達が生産している果物が並んでいるカタログギフトを作ってはどうか、と思い立ったのがきっかけです。参列者の方も喜んでくれたので、これは事業になるのではと思い、半年後に地元カンパニーを設立しました。

―― 起業してからこれまで、どのようにしてサービスを伸ばしていかれたのでしょうか。

児玉さん:実は最初は全然売れませんでした。では、なぜ参列者には好評だったんだろう。改めて考えてみると、「地元のカタログギフト」を利用する方は、美味しいものがあるからこのカタログを選んでいるわけではなく、カタログに並んでいる商品の作り手、つまり事業者と自分との間に何らかの関係性を見出すことで初めて「地元のカタログギフト」を使う、ということに気が付いたのです。ということは、カタログに掲載する事業者を増やさない限り、関係性は増えず、商品も売れない。よく考えればわかることでしたが、当時の自分にはわからなかったのです。そして事業者を募っていた時期に、法人からキャンペーンの景品、従業員への福利厚生の品、株主優待、周年記念の景品などを検討したいと問い合わせがあり、さらにこの数年のコロナ禍で事業が一気に拡大していきました。

【革新】「贈与」に内包される猶予を楽しむ

スクショ(配信中)

―― この事業を通して、児玉さんがアップデートさせたい対象はどんなことでしょうか。

児玉さん: 「欠品も楽しむ」「腐敗を楽しむ」ということです。今の世の中は便利で、今日注文したら明日届くのは、もはや当たり前になっています。すると、欠品で届かないことにイライラするようになってしまう。自分たちが扱っている商品は自然に近いものなので、狙い通り手に入らないという事態も起きます。それを“不便”と認識することもできますが、逆に“楽しみ”だととらえてもらいたい、と考えているのです。
以前、猿に商品の干し柿を食べられてしまい、注文してくださった方に納期までに届けられなかったことがありました。その事実は残念ではあります。けれど、日常生活ではなかなか意識することがない猿と、不測の事態が生じたことにより、接点を持つことができた。「猿=自然」と自分との接点を感じる機会が、偶然に生まれたとも捉えられるのではないかと。機会を作って動物園で見るというのではなく、ふとした瞬間に「猿=自然」の存在が生活に現れるという事態を楽しんでいただけたら、と思うのです。

―― 手売りでもギフトでも商品を届けるということは共通していますが、ギフトの場合は少し猶予をもたせることができるということでしょうか。

児玉さん:そもそもカタログは商品を早く届けることをうたっているものではないので、「夏に注文したら翌春にアスパラが届く」というように、旬を待つ楽しみも感じてほしいという思いがあります。即時性のある「交換」と違い、「贈与」には猶予があります。その猶予をどう楽しんでいただけるかという部分で頑張っていきたいと思っています。

【確信】意図せずにみなが充足される世界へ

スクショ(確信)

―― 児玉さんの「欲しい未来」は何ですか?

児玉さん:会社の合言葉でもある、 「地元エナジー足りてますか」とみなさんに問いかけたいと思います。実は「地元エナジ―」は解明しきれていません。手掛かりは見つかっているのですが、定義しきれていないのです。例えば地元に戻った時に、仕事をしたくなくなった状態はチャージされている状態だといえるのではないかと。自身も、地元に戻ると地元カンパニーの社長ではなく、“みっちゃん”でいられる。そのままで生きていていい、と許されている状態のときに満ちてくるエネルギーのようなものだと思っています。

―― それを掲げている理由は何でしょう?

児玉さん:地方の食に携わっている事業者を見ていると、コロナ禍で製品が余ったり、経済的に厳しくなったりしても、みな元気で満ちている気がします。経済と心身が連動していない人たちがいることを感じました。反対に、経済的には厳しくない人でも、つらいと感じることがあるのではないかと思ったのです。

―― 児玉さんにとって地元エナジ―が多くの人に届くことで、どんな世界が生まれるのでしょうか。

児玉さん:ギフトはそもそも欲しいと思ってもらうのではなく、いきなり届くもの。それは地元エナジ―と似ていて、お金と「交換」してチャージできるものではありません。「交換」がひしめくこの世界の中で、カタログギフトなどを通して少しずつギフトや「贈与」が行われるようになれば、地元エナジーを受け取る人も増えます。足りていなかったことに気づく人も出てくるでしょう。ギフトを介して、知らず知らずのうちに地元エナジーがしみわたっていけば、自然とみなが元気になる世界が生まれるのではないかと思います。

「地元エナジ―」のあくなき探求

―― 最後に、児玉さんが今後さらに広域展開を目指していくにあたって叶えたいことや、どんな人に出会いたいか、教えてください。

児玉さん: 現在、仲間を絶賛募集中です。地元にいると満ちている、と感じる「地元エナジ―」を、会社の皆や関係者と解明していけたら楽しいのではないかと思っています。「地元エナジ―」を楽しみながら追求してくださる方は、ぜひご一報いただければ嬉しいです。お客様やユーザーさんと皆で一緒に考えていきたいと思っています。

当日の写真

―― 児玉さん、ありがとうございました!

番組ではその他にも、マガジンでご紹介しきれなかった、児玉さんの事業に対する想いやエピソードを聞くことが出来ます。児玉さんの世界観をまとめたマンガの紹介も必見です。youtubeアーカイブより視聴可能ですので、併せてぜひご覧ください!

次回はJUMP(東京発)コースのスタートアップ、株式会社イースマイリー 代表取締役 矢澤 修(やざわ おさむ)さんにご出演いただいた#45の記事です!

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