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Netflixシリーズ『ベッカム』。家族とサッカーへの深い愛

10月4日から、Netflixで『ベッカム』の配信がスタートしました。

本作は4つのエピソードで構成されており、大まかな流れとしては、マンU時代からイングランド代表での苦悩と栄光、銀河系軍団レアルへの電撃移籍とMLSへの進出、その後の挑戦と現在、といった感じです。


当時のサッカー界を見てきた人なら気になる、

・98年フランスW杯後の苛烈な批判と当時の心境
・代表主将として復活していくストーリー
・マンUからレアルへの移籍の舞台裏


などについて触れられており、当時ベッカムが何を考えていたのか、まわりで何が起きていたのかを追体験できます。


相変わらずカッコいい(出典 Netflix)

当時の映像はもちろん関係者へのインタビューも収録されており、ベッカム夫妻以外にも多くの人物が当時を振り返ります。

たとえばマンUからの移籍について、当事者であるベッカムとファーファソン、それぞれの意見を聞けるわけですね。

このように、ひとつの事象に対して、ベッカムと関係者それぞれの視点から振り返るスタイルなので、ある意味中立的というか、ベッカム側の視点に寄りすぎないようになっている印象でした。

ちなみに、出演している関係者を一部あげておくと、ファーガソン、ガリー・ネヴィル、カントナ、ロイ・キーンといったマンUのレジェンド、ロベカル、サルガド、フィーゴ、ロナウドなどのレアル勢などなど。

彼らの出演ギャラだけでもかなりの額になってんじゃないかと思えるくらいに豪華です。

実際に制作費は29億円かかったとか。ベッカム夫妻の出演ギャラが結構高いとのことですけど。


往年のサッカーファンならば、ベッカムが現役バリバリだった2000年代の人気ぶりを覚えているでしょう。

人気や知名度を現代の選手に例えるならば、メッシやC・ロナウド、ネイマールといったところですかね。

もし当時SNSがあれば、アスリートとしてフォロワー数はぶっちぎりの1位だったはず。知らんけど。

まあ、それくらいに人気ぶりってのはすごくてですね。彼が動けばメディアも動くみたいな。冗談抜きで一挙手一投足すべてが取り上げられる、そんな選手でした。

そんな当時の報道の過熱ぶりについては、本作を見ていただければ十二分に伝わると思います。


2000年頃からサッカー観るのに夢中になったぼくも御多分に洩れず彼の虜となりました。今でもぼくは、ベッカムが歴代最高のキックの名手だと思っています。

右足から繰り出される高精度のクロス、フリーキックは本当に最高でした。

日韓W杯の出場権を懸けたギリシャ線での伝説的なフリーキックなんか、いま映像を見ても鳥肌が立つくらいにカッコいいですからね。知らない人はぜひ観ていただきたい。


メディアのあり方やSNSの登場など、現在とは環境が違うでしょうが、後にも先にもあれだけメディアに取り上げられ続けた選手はいないのではないでしょうか。

彼がそこまで注目されるようになった背景には、サッカー選手としての実力やイケメンぶりもさることながら、やはりスパイスガールズのビクトリアさんと結婚されたことが大きかったのだと思います。

今回のドキュメンタリーでは、2人の馴れ初め、お互いや家族への想いについても、当時のことを思い出しながら語ってくれています。


で、本日全エピソードを視聴し終えてんですが、感じたのはベッカムって「愛の人」だなということ。

サッカーへの愛、妻への愛、子どもへの愛、両親への愛、所属するクラブへの愛、チームメイトへの愛。

とにかく愛情が深いんですよ。



大切なものに対して真っ直ぐで素直な人なんですよね。そんな人柄だから周囲からも愛されたのだと思います。

ただ、愛されていたが故に、愛憎入り混じるというか、妬みや憎しみに近い感情も生まれてしまったのかなと思いました。それが過剰なまでのバッシングを生んだひとつの理由なのかもしれません。

ベッカムの周囲で発生する喧騒や熱気は、それはもうすごくて、すごくて。

当時サッカー界のアイコンであったことのプレッシャーは想像を絶するもので、映像を見返すと「よくこれだけのことを背負いながらプレーしていたな」と感嘆しました。

連日、パパラッチに追い回され、その攻勢は本人だけでなく家族にも及び、家族を愛するベッカムが抱えた苦しみは、たぶんぼくらでは言葉にできないほどだったでしょう。

また、今回の作品を通じて、印象が変わったのが妻であるビクトリアさんです。

彼女自身、世界で人気のスーパーアイドルの一員ですが、ベッカムが国を跨いだ移籍を繰り返すたびに生活が激変するだけでなく、生まれたばかりの息子と一緒にいる時もおかまいなしにメディアに追い回され、あることないこと報道され、ととにかくストレスフルな毎日を送っていたはずです。

実際に強いストレスや不安を感じていたことを告白していましたが、それでも家族を守り、ベッカムの精神的な支えとなっていたことが本作でよくわかりました。


当時のメディアが作り上げたイメージに踊らされていたなと反省しつつも、今回のドキュメンタリーもブランディングの狙いもあるかもしれないので、いつまで経ってもメディアに踊らされている感は否めませんが、とりあえず作品としては見応えがあり、楽しめました。

2000年代のサッカーを知る人はぜひチェックしていただきたい作品です。


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