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自己紹介⑪ 新しい仕事と新しい勉強と自己破産

依存体質で借金まみれの人生に嫌気がさし、自分で人生を切り開いていくことにしたのは、34歳になってからでした。34歳という年齢は、結婚して子どももいるような年齢。実際に僕の周りの友人もそのような状態で、その一方、独り身で借金まみれで無職の僕。そのことが僕に大きな劣等感を感じさせ、惨めな気持ちが常に湧いていたのでした。そんな自分、そんな人生を終わらせようと、ビジネスをいったんストップさせ、生活を立て直すことにしたのでした。

職探しをし、決まったのは、清掃業時代のスキルが活かせる仕事。オフィスの平面図をCGにし、そこにオフィス家具をレイアウトするデザイナーの仕事です。この仕事、本当に楽しすぎました。一緒に働く人たちも優しく、職場の建物内にカフェあがったり昼寝場所があったりと環境も最高。それでお金がもらえる。何年かぶりに心に平安が訪れたような気がしました。

この仕事は、2011年の東日本大震災のあとまでの2年半、従事したのですが、その2年半は僕は一度も自分のセミナーを開催することはありませんでした。それは、セミナーのこともビジネスのことも何も分からなかったので、一から学び直すことにしたのが理由です。自分のセミナーはやらない。その代わりに、セミナーのサポートはしてきました。世界ナンバーワンコーチと評されるアンソニー・ロビンズのトレーナーに、ピーター・セージという実業家がいます。そのピーターを日本でプロモートする会社を僕の友人が経営していたのですが、僕はその会社のサポートをするようになりました。

最初は、来日セミナー当日の音響担当だったのですが、次第に関わりが深くなり、フロントセミナーの講師や来日セミナーでの司会、セミナーテキストの作成、音声プログラム教材の作成、動画教材の作成、セミナー統括 などなどたくさんの役割をさせてもらいました。そのおかげでセミナーの全体像、セミナービジネスの全体像を捉えることができるようになったのです。僕を育ててくれた友人には本当に感謝しかありません。

その一方で、デザイナーの仕事も本当に勉強になりました。ここでの一番の学びは、『場をつくる』 ということ。CGを作成するときにクライアントに確認するのは、

どんな職場にしたいのか?

男性が多いのか女性が多いのか、個別作業を重視したいのか、会話を重視したいのか、来客は多いのか少ないのか、カラフルなのが良いのかモノトーンが良いのか などのヒアリングをもとにCGを作成していきます。そのヒアリング内容をもとに、CGを作成していくのですが、平面図は同じだとしても家具のレイアウトの仕方で、その雰囲気はガラッと変わります。入り口からデスクまでの動線、来客の対応、上司と部下の関係性、スカートの女性の足が見えないようにする気配り などを意識しながらレイアウトをしていきます。これがまるでテトリスをしているみたいで、本当に楽しかったんです。そして、家具の配置と人の動線による『場』のつくり方は、セミナーにも活用することができ、僕のセミナーコンテンツのひとつになっていったのでした。

こうして僕は金銭面で生活を立て直すとともに、またセミナービジネスをするための勉強をしていったのです。が、ここで気になるのは借金のこと。セミナー依存症になって高額のセミナーに参加しまくった時につくった借金はどうなったのかというと、結論から言うと、自己破産しました。最初は過払い金請求だけをしたのですが、それだけでは借金はどうにもならず、毎日お金に追い詰められている感じがして生きている心地がしない。友人に紹介してもらった弁護士に相談したところ、自己破産の道しかなくなりました。

借りたものは返す。その思いもあったのですが、もう無理でした。自己破産するかどうか、本当に悩みました。何日も何日も。でも日に日にお金のことで心が荒んでいくのが自分でもわかるし、強盗することまで頭によぎるようになってしまいました。

もう限界……

借りたお金を返せないことの罪悪感や自分の惨めさを強烈に感じましたが、自己破産の道を選ぶことにしました。

自己破産することで僕が一番つらかったのは、親にその事実を伝えることです。両親を悲しませてしまう…… それが本当に辛かった。だけど、これは伝えなければいけない。でも言えない。特に母親には。だからひとまず父に伝えることにしました。実家に行き、父の仕事部屋でその旨を伝えると、

「そうか、わかった」

と一言だけ。それ以上は何も言いません。本当にその一言で会話が終了。慰めることも怒ることもなく、ただそれだけ。ただ受け入れる。そんな様子でした。それが当時の僕にとってはとてもありがたかった。武骨でシンプル。そんな父の言葉が僕に優しさをくれたのでした。

こうして僕は、借金の苦しみから解放されることになりました。新しい仕事で金銭的にも余裕が出てきて、少しずつ心の余裕が出てきました。セミナーやビジネスについての勉強も深まっていきました。ここから人生のやり直しが始まります。

続く


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